食事中にお茶を飲む必要はないのでは?(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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皆さんは食事中にお茶や水を飲みますか?1
私が祖母や母から教えてもらった食習慣には、食事中に飲み物を飲む習慣はありません。小学校の頃にも、そのように教えてもらった記憶があります。
ペットボトルの普及により、手軽になったお茶ですが、皆さんはどのように感じますか?

噛む事の大切さ

とある番組で“現代の日本では味噌汁を飲む習慣が消えつつある。一方でペットボトル入りのジュースが食卓にある。”と問題視していました。
ジュ―スを食事中に飲むと、糖分のとり過ぎになると共に、食欲を落としてしまいます。(100%ジュースやスポーツドリンクであっても!https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/185/

よくこのような質問を頂きます。
『飲み物が無いと食事が食べられない。』 『子どもが食事中に牛乳を飲み過ぎていて心配だ。』
そして、私はこう答えます。1
『基本的に食事中は、汁物以外の水分補給は不必要ですよ。』
『牛乳の飲み過ぎの心配の前に、食べ方が心配です。飲み物で押し流していませんか?』
よく噛んでいないから十分に唾液が分泌されず、飲み込みづらいのかもしれません。
とくに子供の頃からよく噛む事は、歯並びや発音に関連します。
(参照:https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/1738/

食事中に水やお茶を飲むと、胃酸が薄まって消化の妨げになるという情報もありますが、健康な人であれば、胃酸が薄まる心配はありません。飲んだ直後に、多少薄まるとしても、すぐに戻るからです。(胃酸はそれだけ強酸性だからです。)
それよりも心配な事は…
小食な方にとって食事中の過剰な水分補給は、胃を膨らませてしまい満腹感を感じ、食欲を落としかねません。
食べ過ぎな傾向がある方にとっては、よく噛まずに飲み物で押し流しているため、食べ過ぎになっているのではないかとも考えられます。
そういえば、食事前に炭酸水を飲む事は、飲み方によって異なる作用がありましたね。
                                                                (参照:https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/1376/
少量で食欲増進効果:冷やした炭酸水100~200ml程度の物を食前に飲む。
沢山でダイエット効果:ぬるめの炭酸水500ml以上を食前に飲む。
しかし、糖分入りの炭酸ジュースではなく、炭酸水ですので、お間違えなく!

いきなり食事中の水分をなしにするのが難しいのであれば、コップ1杯分(200cc程度)に抑えてみる事から始めてみてはいかがでしょうか。

懐石料理はお茶を楽しむ為にいただく簡単な料理。だから食事中にお茶は飲まない。

食事中にお茶等の水分をとらない理由には、いくつかあると感じます。
なにより、よく噛まず・よく味わいもしないでお茶で流し込んでしまうというのは、心を込めて料理をしてくださった方に失礼のように感じます。

懐石料理とは茶道で用いられる料理ですが、お茶を楽しむために、空腹でない状1
態にするためのちょっとしたお料理を指します。そのため、食事中にお茶はいただきません。
和食は素材の味を生かした料理方法であり、日本人が発見した“旨味”を味わい楽しむ事が出来ないのではないでしょうか?

飲食店でサービスとして提供している“水”は、普段の食事では不必要と言えるのではないでしょうか?
ただ例外として、お寿司屋さんでは熱~い緑茶が提供されますよね。これには理1
由があります。
これは、口の中に残っている魚の脂を熱いお茶によって流し、次に食べるお寿司の味を存分に味わうためです。またカテキンは抗菌効果が強いため、魚の臭み等を抑えてくれるとも言われています。

いかがでしょうか。食事中は水分無しで、よく噛んで素材の味を十分に味わってみませんか?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm