疲労回復(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

河谷彰子タイトル33

痛みや発熱と並んで、疲労は身体が教えてくれる“助けて~!”のサインです。1
肉体疲労・精神疲労等、疲労にも色々ありますが、今回は筋肉に由来する肉体疲労の回復方法についてお伝えしたいと思います。

 

活動量>栄養+休養が疲労の原因

“たくさん運動した。” “家の大掃除をした”等、身体を動かす量(活動量)に見合った1
食事や休養がとれていないと、疲れたという症状が出てきます。
そのため、少しでも質の高い食事と休養をとった方が良いという事になります。
食事は大切ですが、これを食べればバッチリ疲労回復するという食べ物は残念ながら無いと思っていた方が良いと考えます。

    疲れてバタンキュー、面倒だから食べるの止めちゃおう。1
    おかずを作るの面倒くさ~い。おにぎり1個でいいや~。
            ⇒エネルギー量不足・たんぱく質不足で、筋肉を消化してエネルギー源
                にしてしまう。 
    野菜を切るのが面倒だから止めちゃおう。
            ⇒抵抗力が落ちて、風邪をひきやすくなってしまう。

1回位、食事バランスが崩れても問題はありませんが、継続してしまうと心配です。
健康維持に必要な“ご飯(炭水化物)+おかず(たんぱく質)+野菜(各種ビタミン)”を毎食にそろえて、1日1回を目安に乳製品を食べるようにしましょう。

 

質の高い睡眠を得るために抑えておきたい事

厚生労働省が2014年3月に『健康づくりのための睡眠指針』を発表していますが、1
ここではありがちな習慣で気を付けたい事について触れたいと思います。
寝る前はなるべく副交感神経(リラックスの神経)を優位にしておくことがポイントです。

×寝る前に、明るい光(パソコン・携帯電話・テレビ等)を目に入れる。1
○寝る前は、少し照明を暗くしておく。(蛍光灯より白熱灯色が良いらしい。)
×寝る前の強度の高い筋トレやジョギング
○寝る前のストレッチやマッサージ
×飲酒
    アルコールは眠りに入りやすくなる事はありますが、睡眠が浅くなる他、睡眠中
    にトイレに行く事にもつながり、睡眠の質が高まりません。
×カフェイン(コーヒー・緑茶・紅茶等) ただし、昼寝の前のカフェインは◎!!1
    カフェインは飲んでから約20分で効いてくるそうです。
    長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げるため、昼寝は30分以内に留めておいた
    方が良いです。
    30分以上だと、深い睡眠に入ってしまうため、スッキリ起きづらくなります。
    ということは、昼寝の前にカフェインが入っている飲料を飲むと、起きると良い
    時間帯にスッキリ目が覚めるという事につながりやすくなります。

睡眠指針では、年代によって睡眠時間は若干異なるが、日本人の平均睡眠時間は6~8時間なのではないかと記載してあります。仕事の関係で、短時間しか睡眠がとれないという方でも、睡眠の質を高めると疲労回復に違いが出るかもしれませんよ。

 

積極的休養で血行促進

運動で筋肉が緊張・長時間のデスクワークで肩こり…等、様々な筋疲労がありますが、筋肉の緊張を取ったり、代謝産物を押し流すためにも血行促進をさせる事が大切です。

×シャワーだけの入浴
    眠いな~という朝は熱めのシャワーが交感神経(興奮の神経)を優位にするためお勧めです。
○湯船に入って入浴1
    水圧をかける事で、血行が良くなります。そのため、シャワーでは不十分です。
×就寝前の高温での入浴
    高温だと体表面に血液が集まり、深部(筋肉中)の血行が良くなりません。
    さらに、高温での入浴は交感神経を優位にさせてしまい、睡眠に入りづらくなってしまいます。
○就寝前の40℃以下の入浴
    冷え性の方にもぬるめの長め(20~30分)が良いです。
    副交感神経を優位にして、血行促進をさせると疲労回復に貢献します。
○交代浴
    温かい湯船に浸かる+水のシャワーを繰り返すと、さらに血行促進させる事ができます。
    最後は水のシャワーで締めるのがポイントです。
○入浴後・寝る前のストレッチ

強度が高い運動や筋肉痛が起こりそうな時は運動後の水風呂がお勧めです。(高血圧の方は注意)
上昇した体温を下げる事で、余計なエネルギー消費を抑える他、筋肉の炎症を抑える事にもつながります。

 

とはいえ、食事で出来る事を知りたいという方に

×夜遅い時間の揚げ物1
○遅い夕食は、早めにご飯(炭水化物)を食べ、帰ってから油・脂が少ないおかず
  と野菜を食べる。

    脂質が多い食事は消化に時間(3時間以上)がかかり、睡眠中も内臓が働かな
    いといけないため、睡眠の質を下げてしまいます。仕事で夕食時間が遅い時
    は、揚げ物やオイル入りドレッシングは控えた方が懸命です。夜にデニッシュ
    系のパンやつまみに登場しやすいポテトチップス・ナッツ類もって事ですね。

疲労回復効果や疲労しにくくなると注目されている物質にイミダペプチドがあります。
鶏胸肉・ささみ・回遊魚(マグロ・カツオ・サバの特に尾の部分)に多く含まれています。
これらの食材は低脂肪のため、遅い夕食としても適していますね。

飲んだら元気になる!というイメージの飲料、所謂“健康飲料”には、ビタミンB群を1
多く含んでいる物や、漢方が含まれている物があります。さらに、カフェインを含んでいる物も多いです。
カフェインは疲労感を一時麻痺させるため、飲んだ後しばらくはシャキッとして元気になったような気になりますが、カフェイン効果が切れた時に、どっと疲労感を感じてしまいます。そのため、疲労回復をしたい時にお勧めの商品とは言いづらいというのが私の意見です。

 

運動習慣が無かったり、デスクワークが多いと、頭は疲れているけど、1
筋肉が疲れていないため質の高い睡眠がとれず疲労感が取れないという原因になってしまいます。ちょっとしたお散歩やストレッチでも良いので、実施してみませんか?
血行を良くするためにも、温水での運動は足のむくみもスッキリしますし、心地良い疲労感でよく眠れますよ。そんな私もプールでの運動が大好きな1人です。
愛媛県にお住まいの方・愛媛県へお出かけの方は、クアテルメ宝泉坊へ是非!
https://www.shirokawa.jp/kuaterume/

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm