電車でフラッ!それは貧血?(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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“立ち上がるとフラッとするので、レバーを食べるようにしているんです…”もしくは“1
鉄剤のサプリメントを飲んでいます。”と教えてくださる方がいらっしゃいます。
フラッとする症状がある場合、ヘモグロビンが低い事による貧血ではないケースもあります。
朝の通勤電車でクラッとする・朝礼などでクラッとする・長風呂をするとクラっとする…これらは脳貧血の可能性もあります。
今回は、この脳貧血についてお話ししたいと思います。

 

脳貧血=脳に必要な量の血液が回らなくなって起こる症状

血液検査項目の中でヘモグロビン値(血色素量)・ヘマトクリット・赤血球数等1
が貧血を判定する検査になりますが、これらの項目に問題が無い場合はいわゆる貧血ではありません。そのフラッとする症状は、脳貧血(起立性低血圧・脳循環不全)かもしれません。
脳貧血は急に立ち上がったり長時間立ち続けた結果、足元にたまった血液が身体の一番高い所にある脳に必要量が送られなくなった結果起こる症状です。原因は大きく3つあります。

 

低血圧・自律神経の調整が上手くいかず脳貧血

血圧が正常だと、自然に調整して脳まで血液を送る事が出来ますが、血圧が低いと脳まで血液が十分に届きません。(血圧が高い方の場合でも何らかの原因によって急に下がると脳貧血を起こす事もあります。)
末梢神経の1つに自律神経があり、自律神経は交感神経と副交感神経に分かれています。
  交感神経    :身体を活発に活動させる時に働く神経。
                     血管が収縮したり、血圧や心拍数が高くなる。
  副交感神経:身体がリラックスしている時に強く働く神経。
                     血圧や心拍数が低くなる。

日常生活の改善で脳貧血を改善できる場合もあります。以下について1
心当たりはありませんか?
・不規則な生活をしている。
  ⇒自律神経の調整が上手くいかず、朝起きても血圧が上がらない。
・朝食を食べていない。
  ⇒体温や血圧が上がらなかったりと身体のスイッチが入りません。

低血圧の症状自体は治療の対象にあまりなりませんが、日常生活の改善から改善出来る事も多くありますよ。
睡眠時間6時間は確保し、朝食を食べる。ここまではやっておきたいですね。

ちなみに朝に熱めのシャワーを浴びると交感神経が優位に働き、シャキッと目を覚まさせる事につながりやすいですよ。

 

筋量不足で脳貧血

“ふくらはぎは第2の心臓”という言葉を聞いた事はありますか?
血液は心臓から動脈を通って全身を巡り、静脈を通って再び心臓に戻ってきます。
動脈は心臓の押し出す力が手伝って、勢いよく流れます。しかし静脈はその圧力が弱っています。そのため逆流しないように静脈弁が付いています。周りの筋肉がポンプの役割となって心臓へ戻るのを助けてくれます。だから第2の心臓と言われているんですね。

小学生の頃、朝礼や始業式などの式典で急にバタンと倒れる子っていましたよね。
子供は筋肉が十分に発達していない(=第2の心臓が十分に機能しない)ため、脳へ血液が十分に送られず脳貧血になってしまいやすいのです。

大人の場合でも、運動不足で筋量不足だと脳貧血が起こりやすいとも考えられます。1
心地よい程度の運動は、自律神経の調節もしてくれます。運動不足を感じていらっしゃる方は、まずは朝のストレッチからやってみるというのも1つですね。

脳貧血の症状が出そうだな(目の前がだんだん暗くなる・冷や汗・めまい・立ちくらみ・気持ち悪い)という時はしゃがむ等、頭を低くして頭に血液が行きやすくするようにしましょう。
冷たい水を飲むなど、温度の刺激によって交感神経を刺激するのも良いでしょう。
お婆ちゃんの知恵袋的な話ですが、私の祖母は湯あたりで脳貧血を起こした時には決まって醤油を舐めると良いと言っていました。一口舐めただけで、唇が真っ青になって気持ち悪くなっているのが、嘘のような早さで回復してきます。(あれは何故だか不明です。)

ヘモグロビンが少ない貧血を疑う場合は、血液検査ですぐに分かります。貧血を過剰に心配して自己判断で鉄剤のサプリメントを飲んでいる方もいらっしゃいますが、鉄分の過剰摂取は身体に副作用があります。
次回はヘモグロビンが少ない貧血についてお話ししたいと思います。

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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