食を通したコミュニケーション色々(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

河谷彰子タイトル100

食を楽しむ・食から元気をもらう・食から応援する…1
今回は、アスリートを食からサポートしている中で、感じている事をコラムにしたいと思います。

“VS 〇〇戦は私にとっても、戦である!”

“次回は“VS 〇〇戦”です。食事のチェックをお願いします。”とメールが届くと、私の気持ちはピリッとします。私が出来る精一杯の応援の気持ちを、遠征先の食事オーダーに込めています。(選手は私の気持ちを知らないけれど…)

合宿や試合時の遠征先での食事は、普段の食事と大きく違える必要はないのですが、その場所に来たなという“ちょっとしたエッセンス”があるとアスリートは嬉しいのではないかなと感じています。
合宿中であれば、その場所ならではの楽しみも取り入れるようにしています。
“この料理だったら、選手の顔がほころぶだろうな~”
“この郷土料理は選手にとって奇抜過ぎるから、控えておいた方が良いだろうか?”
等と、選手の顔を思い浮かべながら調整しています。
試合前等、グリコーゲンローディングの観点から炭水化物を多く食べて欲しい時、前日の料理の一品として“お好み焼き(広島方面)”“ほうとう(山梨方面)”“シュウマイや餃子(横浜方面)”もオーダーします。
また、私の“この料理を食べて相手チームに勝って~”という気持ちも込められています。
海外遠征の場合、どのような料理であれば選手は食べやすいのだろうか?と遠征先の国や地域の料理をインターネットで調べ、私の頭の中では遠征先の食視察が行なわれています。

試合後は、試合前には適していないという理由で食べる事が出来なかった郷土料理も遠征先の宿泊場所にお願いし、食事調整を通して選手の疲労回復を願っています。
選手が帰ってきた時に“食事、問題なかったよ。” “〇〇が美味しかったよ。”と教え1
てくれると、ホッとします。

ご家庭でも、日々の食事やお弁当作りでも、家族の顔を思い浮かべながら、皆さんは食事の準備をされているのではないでしょうか?
“美味しかったよ。”と毎日は言ってくれませんが
、家族の顔を浮かべながら日々の食事を考え料理をする事は、家族が元気に過ごすためにも家族円満のためにも、とって大切だと感じるのですが、いかがでしょうか?

食はコミュニケーションの場である!

トップアスリートは、食事中にコミュニケーションを積極的にとっているように感じます。また、トレーニング中は厳しく指導するコーチや監督も、食事中に選手との他愛無い会話を大切にしている方が多いように感じます。

会話の内容は様々ですが、チームメイト同志を知ろうと、積極的にコミュニケーションをとって、結束力を高めているように感じます。
学生と違って、選手の年齢層が幅広いため、若い選手は年の離れた先輩選手には話しかけづらいと感じる事も多いようです。しかし、食事の場所で先輩選手から後輩選手に積極的に話しかける様子をよく目にします。

毎日同じ場所で食事が出来ないように、私も仕掛けています。
とあるクラブハウスでは、座席数はチームの人数より少なく設定しています。
食事を一斉に食べる訳ではないので、人数分の座席数は必要ないという事や、入れ代わり立ち代わり選手が食事をするように仕向ける事で、日々異なる選手と会話が出来るように仕掛けたのです。
お陰で、移動で使用するバスには選手それぞれの指定席があるようですが、食堂では指定席が出来なかったです。
また席に座る様子や食事の時の表情で、選手の微妙な心情を伺い知る事が出来ます。
“今は、声をかけない方が良いな。”とか“知らないふりをして、あの話題をきっかけに声をかけてみよう。”等、私も策を練ります。

また、私自身、選手に助けられた事もあります。
ある日、食事場所で若手選手に食事アドバイスをしていた時の事です。
私との信頼関係がまだ築けていないためなのか、食への意識が高まっていないためなのか、その選手は私のアドバイスを前向きに聞いていない様子でした。“困ったな~”とあの手この手でアドバイスをしていると、私から一番離れていた席に座っていたキャプテンがツカツカッと歩いてきて、若手選手に一言
“ちゃんと、聞けよ!”
と、肩をポンと叩いて、その場を離れました。すると、急に若手選手は態度を変え“何から始めたら良いですか?ちゃんとやります!”と私に答えました。
キャプテンの視野の広さ・チームとして強くなるために後輩選手に指摘してくれた事、1
とにかく私はとっても感動しました。

まさに“同じ釜の飯を食う”ではないでしょうか?

一緒に食事をする事・一緒の時間に食べられなくても家族が同じ物を食べる事・同じ場所に居る事・出来れば手作りであると好ましい事等、食・時間・場所を共有する事は、色々な意味でコミュニケーションになると感じます。
皆さんはどのように感じますか?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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