給食の思い出と管理栄養士になった私の食育への思い(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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学校給食は美味しかったですか?そして、どのような思い出がありますか?1
管理栄養士となった今、どのように伝えたら伝わりやすいのかと食事を様々な角度から考えます。
今回は給食と食育について書いてみました。

学校給食は、とにかく美味しかった!

私が通っていた小学校は校内で給食を作っていました。小学校低学年の頃は、炊飯機能が無かったため、主食のほとんどがパンでした。
給食室の上で授業がある時は、お昼近くになると美味しい香りが気になり、今日のご飯はビーフン炒めだな~なんて思いを膨らませていました。給食では家で食べた事の無い料理や味付けがよく出ていたのですが、私は抵抗なく美味しく食べていました。きっと、皆と一緒に食べていたからだろうなと思い返しています。

給食での楽しみの1つは、班ごとに机を並び替えて食べる事でした。1
皆で顔を見合わせながら、日替わりで班を移動してくる担任の先生と一緒に食べる給食はとっても楽しかったのを覚えています。
私のクラスでは好き嫌いのある子は、最後まで残されていました。授業が始まる直前まで格闘していましたが、皆が入れ替わり立ち代わり『食べられた?』『どうして嫌いなの~?』『美味しいのに~』『鼻をつまで、飲んじゃえ~』等と声援を送っていた事を思い出します。

不定期的に白衣を着た栄養士の生田さんが教室を巡回し、食べ残しが多かった時は1
『全部食べなさい!』と一喝して立ち去ったこともあります。生田さんが怒るから残さず食べようと思ったけれど、他の良い方もあるのではないかと今は思います。
ある日、リクエストメニューを聞かれたので『パンじゃなくて、ご飯が食べたい!』と伝えたところ『無理です!』と一言。だったら、リクエストメニューを聞かないでよ~なんて子供心に感じた記憶があります。今思うと、子供達は皆パンではなくてご飯が食べたい!と思い、たまに出るご飯の時に牛乳が提供されても抵抗感はなかったなと思い返しています。

 

苦手な食べ物に対する気持ちを思い出そう!

先日、学校給食に携わる栄養士さんにお話しをする機会があり、どこの学校でも野菜の好き嫌いが多くて苦労していて、解決策はないかという質問がありました。親御様からも好き嫌いの克服方法に関する質問は多いのですが、私の答えはいくつかあります。
①家族・皆が同じ物を食べていれば、いつか食べたくなる時・食べてみようかなと思う時が来るはず。
とある学校(クラス)で、授業と同じように皆が黒板に向かって給食を食べていました。
理由は、机の移動が面倒くさい・特に理由はない等があるのですが、私にとって、あたり前である給食スタイルがそうでないと考えている担任の先生の価値観に驚きでした。
食事の楽しさ・好き嫌いを克服しようという機会を作る・食事のマナーを見てあげる・子供達の心身状態を観察するためにも、皆で顔を見合わせて食べるスタイルは良い方法ではないかと感じています。
ご家庭でも同じですね。

②食べた方が良い理由を伝えて、子供のチャレンジ精神をくすぐりたい。
『食べなさい!』『残しちゃダメ!』というより『これを食べると、○○に良いよ。』と伝えた方が、子供のチャレンジ精神をくすぐるのではないでしょうか。
スポーツをしている子供達に、私はこう伝える事があります。
『色の濃い野菜(ピーマン・トマト・人参・ほうれん草等の緑黄色野菜)は、風邪をひきにくくするんだよ。大切な試合で風邪ひかないようにしないとね。』
(参照:https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/2133/
残さず食べなさい!という言葉はなるべく言わないようにして、食べた方が良い理由を伝えています。
高校生以上の年代では『大好きな人とデートしていて、グリンピースをチマチマ選り分けていたり、魚の食べ方が残念なほど上手でなかったら、魅力が半減しない?』と伝えます。
とあるアスリートがこの言葉をきっかけに、綺麗に魚を食べられるように努力し始めて、1か月後には、と~っても綺麗に食べられるようになりました。さらに自分の食事マナーを見直したようで『最近は、箸の持ち方を練習しているんです。』と教えてくれました。私は心の中で密かにガッツポーズ&君は素敵だぞ!と叫んでいました。
好き嫌いはあっても私は良いと考えます。しかし“何とか人前では食べられる。”という位である事は、食事でのスマートな姿として大切に感じます。

③好き嫌いの理由を子供の気持ちになって考える。
嫌いな野菜の上位にはピーマン・ナス・葱・人参・トマトが挙げられます。理由を聞いてみると“苦い・モソモソする・香りが嫌い・すっぱい・食べ物の色や形じゃない”等と納得できる理由と笑ってしまう理由があります。
子供は味覚が未発達なので、苦い・酸っぱいという味は美味しくない物と認識されて当然です。
そして噛む力(咀嚼力)が未熟なため、葱・葉野菜等はペラペラしていて噛み切りづらいのです。
大人になると、問題なく食べられても、子供にとっては大変なチャレンジなのです。

私はセミナーで、子供にとっての初めては私達にとってこんな事ではないか?とお話しをしました。

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Q1.この食べ物をご存じですか?

・サボテンの種類の実で、ドラゴンが天に昇って行くような見た目で、なかなか素敵です。
またフルーツそのものの形からドラゴンフルーツと名付けられています。
・ビタミンB1とB2とC・葉酸・ナイアシン・カロチン・カリウム・マグネシウム・鉄分・食物繊維・ポロフェノールやアントシアニン等の抗酸化物質が豊富だそうです。
・そのままでも、サラダに入れて食べても良いのですが、赤い実を使って、スムージーの色付けやジャムにしすると、とっても色が映えます!
何だか、気になってきませんか?

幼稚園の頃に初めてキウイフルーツを見た時『食べ物に毛が生えている!気持ち悪い!』と言った事を鮮明に覚えていますが、ドラゴンフルーツを見た時はそれと同じ位、衝撃的でした。
私自身、ドラゴンフルーツを食べようと何度かチャレンジはするものの、キウイフルーツのツブツブ感はあるけれど、味がない・・・残念ながら好んで食べる食材ではありません。(人前では食べますが…)
もしかしたら子供達にとって、野菜それぞれにそのような衝撃的な感情に似たものがあるのかもしれません。しかし、食べたくなるような料理の見た目や栄養素情報を見聞きしていく内に、食べたくなる時が来るのではないかと私は感じています。そして、誰かが美味しそうに食べていたら、間違いなくチャレンジするように感じます。

基本的に“食育は家庭から”と私は考えますが、そうも言っていられない現状です。1
学校での栄養教諭が出来る事は、その仕掛け作り。
学校を挙げて、子供達の食育に取り組む必要があるのではないかと感じます。
担任の先生・理科の先生・家庭科の先生・図工や美術の先生・音楽の先生…色々な教科の先生とタッグを組む必要がありますし、保護者の方々を巻き込む事も必要になってくるでしょう。
学校でもご家庭でも、今問題になっている事が解決した時、是非心の中で密かにガッツポーズをして欲しいなと感じています。

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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