風邪予防に出来る事 ビタミンCは風邪に効果なし!?(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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私がお仕事しているクリニックでもインフルエンザの予防接種が始まりました。1
今年の9月には佐賀県で今季初のインフルエンザによる学年閉鎖があり、いつもより随分早いインフルエンザの流行スタートに驚きました。
冬がシーズンのアスリート・受験生の方々は勿論ですが、風邪をひかないように予防に気を遣いたい時期がやってきたので、風邪予防についてお話しして参ります。

 

風邪ウイルスは付着後48時間経っても感染力あり!

風邪の原因は8~9割がウイルスです。1
ウイルス性の病気は1回かかると抗体ができ、その後は感染しにくくなります。インフルエンザは予防接種で予防できますが、それ以外の風邪はウイルスの種類が200以上あるため予防が大切です。
インフルエンザに罹った場合、ウイルスに対抗する薬にタミフル・リレンザ等があるため、服薬すると治りが早くなりますが、それ以外の風邪はウイルスが特定できないため、有効な薬がありません。発熱はウイルスや細菌を殺すために大切なため、解熱剤は使用しない方が良いとされています。風邪をひいてしまっては、大切な試合や試験に穴を開けてしまったり、1
アスリートであれば、これまで築いていたトレーニング効果を無駄にしてしまい兼ねません。風邪をひいてしまったら、安静と水分補給・栄養補給が何より大切で、自然治癒を待つのみです。
帰宅後の“手洗いうがい”が大切です。手洗いは石鹸を使用して1分以上です。洗いきれていないとウイルスがテレビやエアコンのリモコン・水道の蛇口のハンドル・冷蔵庫の扉等に付着する事になります。風邪ウイルスは付着後48時間経っても感染力があるため、これらの場所の拭き掃除や自宅にいても頻繁に手洗い・うがいは大切と言えます。帰宅後のうがいも勿論大切ですが、1日3回以上はうがいをしましょう。
うがい薬を毎回使用する必要はありません。使いすぎは口の中の常在菌まで殺してしまい良くありません。帰宅後・喉が痛い時・周囲で風邪が流行っている時に使用する程度で良いです。

鼻毛は切らない方が良い!

ウイルス・細菌は上気道(鼻・喉)の粘膜に感染すると風邪の症状が出ます。1
下気道(気管・気管支・肺)にまで広がって急性炎症を起こす事もあります。
鼻毛はフィルターです。ウイルス・細菌が鼻から少しでも侵入しないように、多少は貢献していると言えます。そのため、鼻毛は必要以上に切らない方が良いと言えます。
くしゃみ・咳は、鼻・気道に侵入したウイルス・細菌を押し出そうと、多少は貢献していると言えます。そのため、くしゃみ・咳は我慢しない方が良いと言えます。しかし、周りにウイルス・細菌を巻き散らさないために口を押えた方が良いです。マスクは口を覆っているため、まき散らし防止に貢献します。ハンカチで口を押さえても良いですが、ハンカチにウイルス・細菌が付着しているため、それで手を拭いたら接触感染につながってしまいます。

ウイルス・細菌が鼻や口から侵入しただけでは感染しません。胃に入ってしまえば感染しないため、少しでも早くウイルス・細菌を胃へ押し流してしまえば良いです。
鼻・喉の粘膜に付着したウイルス・細菌を粘液や粘膜にある腺毛が胃へ押し流します。腺毛は気温が高い方が活発に働きます。マスクで口や鼻を覆うことで上気道内の温度や湿度が保たれ、ウイルス・細菌を早く胃へ運んでくれると言えます。
そして、マメな水分補給がウイルスや細菌を胃に流し込むのを助けます。

加湿器を過信してはいけない。

相対湿度(空気の容積に対する水分の割合)が50~60%でインフルエンザが1
失活します。さらに大切なのは絶対湿度(1m³の空気に対する水分量)です。絶対湿度11g/m³以上だと季節性インフルエンザウイルス(新型インフルエンザは除く)は失活しますが、気温13℃未満では絶対湿度が11 g/m³以上になる事がありません。つまり、気温が低い場所では加湿器があっても不十分という事です。
外が寒いからと換気をしないと、外から運ばれたウイルスや細菌が室内に溜まっていく一方なため、少なくとも朝晩の換気が大切です。

風邪をひいたから・・・とオレンジジュースは古い情報かも。

ビタミンC不足は免疫力が落ち、風邪にかかりやすくなるとされていますが、1
ビタミンCの治療効果には賛否両論あります。
大多数の結果では、ビタミンCの大量摂取が風邪症状の期間を1~1.5日ほど短くすると結論づけています。
ある研究では、ビタミンCを5~10g/日とると風邪予防に有効であり、風邪をひいた直後から1時間に500~1000mg/回ずつ数時間とると、風邪をひいている期間を短くし、症状を軽くする事が出来たとしています。しかし、ビタミンCの食事摂取基準は成人で100mg(妊婦:110mg 授乳婦:140mg)が推奨量です。アスリートは100~200mgとれば良いです。(中位のオレンジ1個のビタミンC≒100mg)
ビタミンCは水溶性ビタミンのため、とり過ぎても尿に排出され問題ないとされていますが、下痢・悪心・腹部疝痛やその他の胃腸障害も報告されているため、ビタミンCの許容上限量は成人(妊婦・授乳婦含む)で2,000mgです。ということは、上記の風邪に有効だったというビタミンC量とは大きくかけはなれています。

風邪対策にオレンジジュースを飲み過ぎて、体脂肪が増加したアスリートや受験生を多く目にします…。

ビタミンAは粘膜を健康に保つ役割があるため、風邪予防に役立つビタミンです。1
ビタミンCとビタミンAの両方がとれる緑黄色野菜を積極的に食べると良いと言えないでしょうか?食事で緑黄色野菜を食べる事が理想ですが、それが難しいのであれば、野菜ジュースの中でもビタミンAやβカロテンを多く含んでいる商品を選ぶのも1つです。
緑黄色野菜については、こちらのコラムも参考にしてみてください。(果物は野菜の代わりにならない…https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/1510/

予防接種を受ける派ですか?受けない派ですか?

私の周りには予防接種は受けない!と頑張っている方がいらっしゃいます。1
予防接種をしたからと言って、絶対インフルエンザにかからないという訳ではありませんが、大切な試合がある・受験を控えているという方は、受けた方が良いのではないでしょうか。
私は仕事柄、アスリートとお仕事する事やクリニックで患者さんに触れる事があるため、感染しないためにも、また、うつさないためにも毎年予防接種を受けています。
予防接種の効果を得るのは約2週間、約5か月効果があるそうです。インフルエンザの流行は、おおよそ12~3月です。そのため、10~11月に予防接種を受けるのが理想と言えます。
2016/17シーズンのインフルエンザワクチン株は以下の通りです。
A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
A/Hong Kong(香港) /4801/2014(X-263)(H3N2)
B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
B/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)

厚生労働省のホームページには、インフルエンザの発生状況について毎週発表されています。気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか?(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou01/houdou.html

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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