炭水化物を減らすとどうなのか?(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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低炭水化物ダイエットは今でも流行っているのでしょうか?私の周りにも、一度や1
ってみたものの、ギブアップしたという方がいらっしゃいます。
また、アスリートによる調査研究の中には、炭水化物をとるタイミングを変える事で持久力が上がったという結果もあります。
今回は、最近気になっている炭水化物を減らす・食べるタイミングを変える事に関する情報を私の意見を交えてお伝え致します。

 

ダイエット情報として 炭水化物(米・パン・麺・砂糖)を控えた食事は内臓脂肪が落ちやすい。

低炭水化物ダイエットをすると内臓脂肪が落ちるため、男性はベルトの穴の位置1
のダイエット効果を実感しやすいです。
しかしホルモンの影響で、内臓脂肪が増えるのは男性および閉経後の女性です。つまり、皮下脂肪が増えやすい若い女性は不向きなダイエットと言えます。
低炭水化物ダイエットを実施していた私の友人(男性)の話ですが、一日を通して米はもちろんの事、炭水化物を多く含む酒類(ビール・酒など)を避ける他、徹底して炭水化物を多く含む食品を避けていました。中性脂肪は大きく改善し、腹囲と共に体重は10kg以上減少していました。
私は、1日中炭水化物を控えるダイエット方法は継続が難しい・止めればリバウンドする等、色々な意見を伝えたところ…“デメリットは何?”と言われました。
色々な事を思いついたのですが…
“体臭がきつくなる!”と伝えました。すると
“確かに、今の俺は夏の匂いがする!” (伝えた時期は2月)と答えました。

このメカニズムは…
第1の回路 解糖系

身体を動かすために必要なエネルギー源は基本的に糖質(炭水化物)です
(摂取するエネルギー量の内、炭水化物は約50~65%が基本)。

第2の回路 新糖生

糖質が不足すると、やむを得ずたんぱく質(筋肉)を糖に作り替えてエネルギー源とします。過度の炭水化物抜きダイエットは筋肉が落ちやすく、筋量が減少する事で代謝が落ちリバウンドしやすいダイエットとも言えます。

第3の回路 ケトン体回路

脳のエネルギー源は糖質ですが、糖質が無くなると低血糖状態を引き起こし、集中力低下・無気力の原因になったり、イライラしやすくなります。さらに脳のエネルギー補給のために、脂肪を分解したケトン体をやむを得ずエネルギー源とします。ケトン体は、アセトン・アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸の総称で、血液中に作られます。特にアセトンが臭いの原因となり、甘酸っぱい独特の臭いがします。そのため、過度の炭水化物抜きダイエットはケトン体が過剰に作られるため、口臭・体臭の原因になってしまいます。

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結局、友人は3か月後には、このダイエットを止めました。理由は体重が一定量落ちてから減らず、モチベーションが続かなかったからでした。その後、通常の食生活に戻り、スタート時よりも体重が増加しています。

アスリート向けの情報として 夜に炭水化物を抜く”スリープロー”で持久力アップ!?

アスリートにとって、走り込み+たっぷりの炭水化物をとることは、持久力アップに欠かせません。グリコーゲンローディングについてはhttps://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/3115/をご覧ください。

2016年1月にフランス国立スポーツ体育研究所(INSEP)の研究結果が学術雑誌1
『メディスン&サイエンス・イン・スポーツ&エクササイズ』に発表されました。(
http://toyokeizai.net/articles/-/111651

・21名のトライアスロン選手が対象とした3週間の結果である。 

・毎食に炭水化物を豊富にとるA群と夕食の炭水化物を抜くB群に分けた。

・B群は夕食分の炭水化物を朝・昼に振り分けて食べた。
                                        ⇒1日分の炭水化物量は変わらない。

・午後、高強度のインターバルトレーニング(筋グリコーゲン貯蔵量が激減する)を週4回実施。さらに、翌朝の朝食前に中強度のエアロバイクトレーニングも週4回実施した。その他の3日間は、食事は自由にし、低強度のランニング・自転車・水泳を実施した。

⇒B群は夕食でグリコーゲンローディングができないため、朝のトレーニングではケトン体回路になっている。

⇒朝食・昼食で十分な量の炭水化物をとっているため、午後のトレーニングでは、グリコーゲンローディングが十分にされている。

・トライアスロンの最後に行なわれる10kmのランニングで、B群は実験の始めのタイムより約75秒・3%タイムが縮んだ。(A群では変化はなかった。)

・B群の体脂肪が減少した。(A群は変化がなかった。)
実験結果の見解として“B群は脂肪をエネルギー源として効率的に使用できるようになったため、スピードが向上した”としています。

しかし、B群に不満の声が…“夕食のおかず量に変化はないが、主食が無くなり、単純に食事量が減るため、夜中に空腹感を感じた。”

スリープローについて河谷が感じた事

スリープローの食事方法の特徴は、1日分の炭水化物量は変わらず、食べるタイミングを変えています。朝食と昼食の主食量が増える分“トレーニングに差し支えないか?”が心配です。
体脂肪が減少した理由は“夜は日中より体脂肪が増えやすい(
https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/400/
)”とも言えるため、夜の炭水化物を控えたためだと考えられます。また、体脂肪が減少した事も持久力アップに貢献したのではないか?とも感じます。
大前提として、もともと食事量がアスリートとしてのバランスの良い食事であり、食事量が確保されている場合だということは念押ししたいところです。
アスリートの現場で、私は体重や体脂肪率の変化をチェックし、コーチとパフォーマンスの変化を考慮した上で、食事の量やタイミングを指示しています。今回のように、炭水化物を食べるタイミングについても同様です。脂肪分や余分な菓子類を減らした上で、思うように体脂肪量が減少していない場合、夕食の主食量を減らし、その分朝食・昼食に振り分ける事もあります。つまり、結果的にスリープローの方法になっているということです。ただし、いきなり夕食の主食を無くした事はありません。
体脂肪を減らしたいなら、まずは夕食や夜食のジュースやお菓子類はもちろんの事、フルーツをやめる・油・脂を控えた調理方法や食材にする・寝る前のプロテインを止める事を1つずつ実施してみます。

いかがでしょうか?1
ダイエット中の方の中には、米は太ると過剰に信じて、芋を変わりに食べている方がいらっしゃいます。芋も炭水化物が多い食品ですよ。
皆さんは、どのように感じますか?
炭水化物のとり方、変えてみます?その前に実施した方が良い事はありませんか?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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