血糖値が高いという方に新情報!(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)
日本人にとても多い病気の一つ“糖尿病”。
糖尿病はインスリンの分泌不足、又は作用不足によって高血糖をきたす病気です。
無症状の事も多く、治療していない方も多い病気の1つです。
そのまま放置してしまうと、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞・腎不全・神経障害・失明・足の壊死…とても怖い病気です。
インスリン非依存型糖尿病(Ⅱ型糖尿病)と言われ、治療中の方もそうでない方も、試してみる価値ありなのでは?!という情報を目にしたので新しい食事に関する情報も加えてお伝え致します。
適正体重を目指し、3食のエネルギー量を同じ位にする。
一般的に糖尿病の食事療法のポイントは以下の通りです。
① 標準体重に合った食事量をとる。(特にエネルギー量)
② 3食のエネルギー量を同じ位にして、ごはん+おかず+野菜をそろえる。
標準体重は身長と体重から算出したBMI(Body Mass Index:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))が22としていますが体脂肪が適正である事も重要です。
そのため急激な体重減少(=筋肉量を落とす方法)では血糖値改善につながりにくいと言えます。
食事はできるだけ同じ時間に、そしてほぼ同量である事も大切です。欠食したり、多食しては良くありません。(服薬治療中の方は担当医の先生の指示に従いましょう。)
食事量についてはお医者様が指示する1日量の1/3を1食に食べると良いです。
栄養指導で“糖尿病食事療法のために食品交換表”を使用してアドバイスされる管理栄養士さんもいらっしゃるのではないでしょうか?この本はダイエットにも便利ですよ。
80kcalを目安に同じ分類の食品の何と何が同じに相当するのかが分かり易く説明してあります。
80kcal(1単位・卵1個分に相当するエネルギー量)の目安を一部紹介致します。
例:ご飯50g (小さい茶碗で軽く1/2膳)=うどん80g(うどん1/3玉)=じゃがいも110g(中1個)
バナナ100g(中1本)=みかん200g(中2個)=梨200g(1/2個)=キウイ150g(中1.5個)
タラ100g(大1切れ)=アジ80g(中1尾)=鮭60g(中2/3切れ)=サンマ30g(中1/3尾)
=木綿豆腐100g=枝豆(ゆで)60g
=牛もも(脂身無し)40g=豚もも(脂身無し)60g=鶏もも(皮なし)60g=ウインナー30g
血糖値が上がりやすい食習慣には、色々ありますが、まずは気を付けたい事は以下の3点です。
・寝る直前に菓子類やジュースを飲食する・夕食量が多い・夕食後の果物量が多い
一方で高血糖にならない食習慣として勧められるのが、
・野菜(食物繊維)を毎食に食べる。
急激に血糖値が上がらない(緩やかに血糖値が上昇する)ため、高血糖状態になりづらい・
・脂の多い肉や魚は食べる量に気を付ける。
魚の方が肉に比べて脂質が少ない物が多いため、魚の方がお勧め。(特に夕食)
等が挙げられます。
①血糖値を下げる腸内細菌がいるらしい!
②野菜⇒魚⇒ご飯の順番に食べると良い!!という新情報
2015/6/10放送、NHK“ためしてガッテン”より
・インスリンを膵臓から分泌させるよう指令を出すホルモン“インクレチン”は小腸の上部
と下部から分泌されている。
・“インクレチン”の働きを強くするのが善玉の腸内細菌である。
・善玉の腸内細菌を増やすために、水溶性の食物繊維が良い。
ゴボウ等の根菜類(芋類除く)・キノコ類・ヒジキやワカメ等の海藻類・納豆やオクラ等の
ネバネバ食品がお勧め。ごはんに大麦や玄米・五穀米を加えて食物繊維を増やすのも
1つ。
・腸内細菌にエサをやるつもりで、今までの食事に野菜料理を1品増やす。
・ヨーグルトに含まれている乳酸菌も腸内環境が整い、結果的に血糖値を下げる菌が繁
殖しやすい。 (乳脂肪や糖分が多い乳製品はエネルギー量が多いため、低脂肪・無脂
肪・低糖・無糖を選びましょう。)
・腸内細菌を増やすには時間がかかるため、気長に続ける事が大切!
・魚も“インクレチン”の働きを強める食材である。
・糖質(炭水化物)より先に魚を食べると、“インクレチン”がよりたくさん分泌される。
・野菜⇒魚⇒ご飯の順番に食べると良い。
(糖質を先に食べて、小腸を通過させてしまうと、働きが弱まってしまう。)
これまで食物繊維・魚が異なる理由で良いとはされていましたが、さらに良いという事を知って、テレビを見ながら“ヘ~”と久しぶりにメモをとりました。
血糖値が高い・糖尿病であるという方は、是非試してみてはいかがでしょうか?
◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。