たんぱく質!たんぱく質!!と思い過ぎていないか?

 

何故、プロテイン(たんぱく質)がこんなに注目されているのでしょう?ホント不思議です。
サプリメントのプロテインを使った、プロテインダイエットが注目されたり、脂質の種類によってダイエットができるという商品があったり、炭水化物を減らすダイエットがあったり…
若い年代では韓国アイドルがサツマイモを食べるダイエット〝コグマダイエット〟が流行っているようで、ご飯の代わりに芋を食べていて、どの時代もダイエット方法にブームがあるな…と私は感じています。
色々な方の栄養相談をする中で、たんぱく質に関するこんな事がありました。

・1食をプロテインのみにして半年間で8kg体重が落ちたが…

 私が 中高年の方と食事の話をする場合、血液検査の結果がなんらかの問題がある方です。
 LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値がとても高く、ダイエットを決心。どこからか、もしくは誰かから聞いて、プロテインを飲むようになり体重は落ちているようでした。
 私は、その方のLDLコレステロールが高い理由として、野菜不足(食物繊維不足)と運動不足(特に有酸素運動不足)を指摘しました。
 しかし、体重が順調に落ちているから、次の健康診断まで、このまま続けたいとお話しされていました。
 結果、体重は落ちていましたが、驚くほどLDLコレステロールに変化はなく、依然高く、場合によってはドクターに服薬治療を勧められるのでは?というほど高いままでした。
 このようなケースは、男女共結構多く、中には体重は落ちたけど、お腹周り(内臓脂肪)は減らないという方もいらっしゃいます。

 これまでの食事がプロテインだけになった分、エネルギー量(カロリー)が減った事により体重は減ったのでしょうが、それ以外の部分でLDLコレステロールが上がってしまう習慣が解消されなかったためでしょう。

・筋トレを始め、プロテインを飲み始めたが身体が引き締まらない。

 引き締まった身体を目指し、筋トレを初めたけれど、筋肉量が増えないという相談があった場合、朝食を食べていない・もしくは十分な量ではないというケースは多いです。
 トレーニング面では、強度が不十分だったり、頻度が不足しているケースもよく目にします。

 筋肉に刺激を与え、余力がなければ筋肉は作り出せません。その余力とはエネルギーであり、炭水化物をとると効率が良いです。ごはん量(炭水化物量)が不十分で、たんぱく質だけとっても、たんぱく質はエネルギー源として使われてしまいます。(たんぱく質が糖に作り替えられてしまう。糖新生)
 スポーツ栄養の本には、トレーニング後のたんぱく質摂取を勧める物が多いですが、スポーツ栄養の本のレベルの運動強度でトレーニングをしているのか?という点も注目ですが、スポーツ栄養の情報の手前には健康のための食事があり、そこを飛ばしてスポーツ栄養の情報だけ実施しても効果は少ないでしょう。まして、血液データの改善のために運動を始めたのであれば、読むべきはスポーツ栄養の情報ではありません。

 さらには、トレーニングが夜で、その後ガッツリ夕食を食べているため、体脂肪が増えてしまっている方もよく見かけます。夜は日中より太りやすいため、食事量を増やす場合は慎重にならなければなりません。炭水化物をとり過ぎても肥満の原因になりますが、たんぱく質もとり過ぎれば、体脂肪となってしまいます。

・和食はヘルシーと世界中が注目しているのに…

 和食がヘルシーという理由の一つは、総エネルギー摂取量に占めるたんぱく質・脂質・炭水化物の割合が良いからです。特に、米を中心とした食習慣が食事の栄養バランスを良くしています。

 健康という観点で、厚生労働省は右図のような比率を示しています。

 日本の食事は時代と共に、エネルギー比率が変わっています。
                (フードシステム研究第24巻2号 2017年より、河谷がグラフ化
                 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfsr/24/2/24_82/_pdf

 時代と共に、炭水化物の割合が随分と減り、たんぱく質量が少しずつ増えています。
 たんぱく質が増える=主菜(おかず)が増え、内容は肉・卵が増えています。
 脂質については、肉や卵が増えることで、そこに含まれている脂質が増え、さらには調理の際に使用する油も増えていると言えます。
 日本の食事の良さとして、海に囲まれているため魚を食べる量が多いとされていましたが、それも減ってきています。それに伴って、脂質の種類も血液中の飽和脂肪酸量が増え、魚に含まれている不飽和脂肪酸の割合が少なくなっているのが現状です。
 油については以前のコラム〝アマニ油・エゴマ問題〟アマニ油・エゴマ問題 | 城川ファクトリー (shirokawa.jp)をご覧ください。

 国立健康・栄養研究所からの2021年6月15日をグラフ化すると…
   https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/download_files/foreign/foreign_index.pdf

 さらに、日本の炭水化物の比率が減っています…今後、どうなってしまうのでしょう…
 日本の食事はヘルシーだと50年後も言われているのでしょうか?

・成美堂出版より〝たんぱく質大全〟という書籍の監修を担当致しました。

 たんぱく質は不足してもいけないけれど、とり過ぎても良くない。
 私に必要な食事量はどの位?たんぱく質は?
 何を食べたら良い?
 美味しいレシピも知りたい!
 にお応えする書籍になっております。

 前回のコラムで触れた話題のように、浦島太郎状態にならないよう
 に、運動を取り入れ、食事はどうしたら良いのか?のヒントが書いて
 ありますよ。きっと。

 

◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・ユースアカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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