ジュニアアスリートをサポートしている方々へ伝えたい!④チーム力を育てたい!

 

 自主性と共に非常に大切だと私が感じているが、チーム力です。
食とチーム力?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、食事中の様子を観察していると、不思議とチーム力の高低を感じます。
言いづらい事も言いあえるチームは本当に強いと感じます。食事は栄養素をとる場ではありますが、コミュニケーションの場として非常に大切な役割があると感じます。

・時間管理を育てたい。

 試合で最高のパフォーマンスを発揮できるのなら、又は良いコンディショニングで最高のトレーニングができる体調に整えてくるのであれば、その前に何をしていても究極良いと私は考えています。
私はよくこう伝えます。〝帳尻を合わせてきて。〟
最高のパフォーマンスを発揮できる身体に整えておくために、私はアスリートに色々な情報を伝えます。

例えば…
体重が短期間に落ちると疲労回復につながらない・睡眠は習得した技術の脳への固定化につながる・朝食を食べないと夕方のトレーニングがきついと感じる・野菜不足は骨づくりにもマイナス…

こういった情報を基に、アスリートが自分にあった体調管理をしてきて欲しいなと感じています。
そして、最高のコンディショニングに整えるために時間を逆算しておいて欲しいと感じています。

合宿時、コーチの方々はどのようなスケジュールを伝えていますか?

この2つのスケジュールの違いは何でしょう?何を意図しているのでしょう?
右のスケジュールには、起床時間の記載がありません。
朝の体操(軽く散歩程度)に間に合うように身支度の時間を逆算して起床して欲しいからです。
さらに、右のスケジュールには、セルフウォーミングアップの時間があります。
各個人で入念にしておきたいストレッチ等をして身体と対話して欲しいからです。
 合宿での過ごし方は、普段の生活に活かして欲しいと感じます。
朝食前に、10分程度動くだけで朝食の食事量に違いが出る事を体感させたい。
体操後にシャワーを浴びたら、さらに朝食量が増え、美味しく感じる事を体感させたい。

 朝食は、昼食や夕食よりも静かですが、私はあえて選手に声をかけます。
「いつもと比べて、朝食量はどう?」「身体を10分だけでも動かすと、美味しく食べられるよね。」
「体操が難しいなら、シャワーだけでも浴びたら違うよね~。」

アスリートが自分の身体と向き合い、対話する事が体調管理に大切だと感じます。だから、全てを管理しすぎるのは、かえって良くないと感じています。

・コミュニケーション能力を高めたい。

あるチームでの出来事です。
朝の体操場所に続々と選手が集まってきました。人数を確認すると1人いません。そう、寝坊です。
同部屋の選手は集合しているのに、何故…。私は思わず「同じ部屋なのに、なんで声をかけてあげないの~?冷たいな~。」と言ってしまいました。

よく見かける風景として、練習時に「声だせ~」と伝えるコーチがいらっしゃいますが、その意図は何でしょう?選手には伝わっているのでしょうか?どのように声を出して良いのか分からないのでは?と感じる事もあります。
ボールゲームであれば、良いパスをつなげるために、自分はここにいるよ!と伝えるため。
緊張すると(心拍数が145を超えると)視野が狭くなるのを、周りの選手が声をかける事で周りの状況を伝え、少しでも視野を広く持たせるため。
チームメイトが今どのような状況かを知りたいから。
作戦が成功したことに対しての称賛。
作戦が上手くいかなかったときは、気持ちを切り替えて行こうという激励。
普段から声を掛け合って行かないと、緊張しているのか・絶好調なのか・助けが必要なのかが分かりません。

チーム力が高いあるプロチームでの出来事です。
チーム活動以外での生活習慣が乱れている選手に対して、チームメイトが「そんな生活していると、来年の契約がないぞ。」と伝えていました。
基本、私は厳しい事は言いません。〝帳尻を合わせてきて〟というスタンスなので。
そのため、自分にストイックなアスリートが私に「こいつに、もっとバシッと厳しい事を言えよ。」と言われたこともあります。
ケガをした時・ライバルが出現してきた時・悔しいと感じた時…少しでも良いコンディションにしておかなければ!と食事を始めとする生活習慣を見直すターニングポイントは様々です。そのターニングポイントをチームメイトが作っても良いのでは?むしろその方が抵抗なく受け入れやすいのでは?と感じています。周りの選手を見て、ハッとして欲しいなと感じているため、色々な仕掛けは作るようにしています。(前回のコラム参照)
自分で気づいて、チームメイトと共に高め合って、皆で勝利を勝ち取りに行こうという雰囲気があると良いなと感じています。

食事の場面でも同様です。選手同士が考え、声を掛け合う。
寝癖を付けたまま、食事会場に来た選手に対して、身だしなみを整えて食事会場に!と選手が言ってくれる。
10分のトレーニングが目覚めにつながり、寝癖を直そうという気にさせ、食欲も出る。しっかり食べよう!という雰囲気がある。
良い事ばかりです。

・選手を信頼する。

私は最も大切にしているのは、ここです。
信頼していなければ、「帳尻を合わせてきて。」とは言えません。
選手が能動的に行動できるように、様々な仕掛けは必要です。
選手の前向きな行動を想定して私は仕掛けを考えるようにしています。
色々な決まり・制限が多いチームを見ると、選手を信頼しているのかな?制限がないと不安な事が起こりそうなのかな?と感じてしまいます。
コーチの皆様は、自主性とチーム力を高めるために、どのように仕掛けていますか?

 

こちらも併せてご覧ください。
ジュニアアスリートをサポートしている方々へ伝えたい! | 城川ファクトリー (shirokawa.jp)
食事アドバイスは“もっと食べよう!”より…(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)
| 城川ファクトリー (shirokawa.jp)

ジュニアアスリートをサポートしている方々へ伝えたい!②チームに体重計はありますか? | 城川ファクトリー (shirokawa.jp)
ジュニアアスリートをサポートしている方々へ伝えたい!③自主性を育てるアドバイスを! | 城川ファクトリー (shirokawa.jp)

 

◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・ユースアカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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