大豆色々(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)
醤油・味噌・豆腐・納豆等、日本の食文化を支えている大豆ですが、平成25年の
大豆の自給率はたった6%。(アメリカからの輸入量が多い。国内では北海道が生産量が多い。)大豆は中国から日本に伝わったそうで、縄文時代の遺跡からもみつかっているそうです。
そんな大豆について、今回は考えてみたいと思います。
・枝豆は少年・大豆は大人
枝豆の正式名称は“未成熟大豆”で、枝豆という植物はありません。
枝豆の収穫は6~9月。1ヶ月程すると完熟し大豆になります。つまり枝豆は少年・大豆は大人なのです。
枝豆をいつから食べるようになったかは定かではありませんが、江戸時代の夏の風景には枝についたままの茹でた枝豆を枝豆売りが売っていたそうです。今で言うファストフードのような存在だったのでしょう。枝付き豆が枝豆という名称になったそうです。
枝豆を食べる食文化は長い間アジア諸国独自のものでしたが、日本食の健康ブームにのって2000年頃に、北米やヨーロッパでも食べられ“EDAMAME”と呼ばれ人気です。
栄養素を比較すると、たんぱく質は大豆の方が多く“畑の肉”と言われるだけあって、鶏肉と同量のたんぱく質が含まれている事に驚きですが、野菜である枝豆も負けない位含まれている事に、また驚きですね。
一方で、枝豆はアミノ酸スコアで負けていません。
枝豆のアミノ酸スコア※は92・大豆は86。つまり枝豆は大豆より良質なたんぱく質という事です。
(※アミノ酸スコア:身体で作る事が出来ないアミノ酸(必須アミノ酸)9種類がバランスよく含まれているかを評価したもの。良質なたんぱく質程、アミノ酸スコアは高い。)
枝豆はアルコールの分解を助けるビタミンB1・ビタミンC、肝臓の負担を減らすメチオニン(アミノ酸の1種)を含みます。ビールと枝豆の組み合わせは理にかなっていると言えますね。
ちなみに、枝豆の中でも美味しさが際立つ“だだちゃ豆”ですが、シジミの数倍のオルニチンが含まれています。(オルニチン:美肌・若返りに効果的な成長ホルモンの分泌を促進する他、疲労回復にも貢献する。)
お酒のおつまみに・サラダに・炒め物に・おやつに、低脂肪で高たんぱく質の枝豆はいかがですか?
枝豆を美味しくゆでるポイント(1ℓの湯でゆでる場合)
・枝豆のサヤを枝から取り外すと、味が一気に低下するので、枝付きを買うのがお勧め。
・新鮮なうちにゆでる。
・サヤの両端を切り落として、あら塩(10g)でもんで5~10分置く。洗い流さない。
・沸騰した湯1ℓに30gの塩を加え、2~3分塩ゆでする。(結果的に食塩4%の塩ゆでになる。)
(NHKためしてガッテン情報:収穫から2~3日経ったものを砂糖2%+食塩2%でゆでると減った糖分
(枝豆の糖分はショ糖、砂糖もショ糖)を補い、甘味を復活させるそうです。)
・ゆであがったらザルにあげ、お好みで塩を振り、よく混ぜる。そのまま団扇や扇風機に当てて冷やす。
(水にさらして冷やすと水っぽくなってしまうので避けたい。)
大豆から作られるもの
納豆:ゆで大豆+納豆菌を発酵したもの。
豆乳:水に戻した大豆をすりつぶし、火を通し濾したもの。残ったのが“おから”。
豆腐:豆乳に“にがり”を加えて固めたもの。 (木綿豆腐:水を切る。絹ごし:水を切らない。)
高野豆腐:豆腐を凍らせて乾燥させたもの。
きな粉:炒り大豆を粉砕したもの。
大豆から作られる食品には色々ありますが、どのようにして作られているかご存じでしたか?
納豆と言えば、納豆キナーゼと思い出す方も多いでしょうが、ゆで大豆と納豆を
比較すると、ビタミンB2に大きな違いがある所にも注目したいところです。ビタミンB2は不足すると、口内炎・口角炎・咽頭炎になりやすくなります。料理をしなくてもそのまま食べられる便利食材なので、忙しい朝のご飯のお供にいかがでしょうか。
(抗血液凝固剤であるワーファリンを服用している方は、納豆は食べないで下さいね。)
出来立ての豆腐って、美味しいですよね。
にがりを入れると豆腐になると謳っている豆乳(調整豆乳ではないもの)に、にがりを加えて電子レンジでチンしただけのお豆腐は、醤油をかけなくてもとっても美味しいです。
(豆乳は牛乳の代わりにならないもご参考に
https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/133/)
きな粉は1回の使用量が少ないため、ご自宅に残っているという方はいらっしゃい
ませんか?餅につける以外に、こんな方法でも美味しく食べられますよ。
牛乳に混ぜて・ホットケーキミックスに混ぜてパンケーキに・トーストにきな粉+蜂蜜をつけて・クッキーに・ヨーグルトに混ぜて…
皆さんは、大豆製品を1日に何回食べていますか?
昔の人は肉・魚・卵等のたんぱく質を多く含む食品を食べる量が少なかったのに、筋肉がしっかりとついていた理由の1つとして、ご飯+大豆製品を食べていたからだという説もあります。
玄米の玄米にはリジンという必須アミノ酸が不足している為、アミノ酸スコアは68ですが、リジンが多く含まれている大豆製品と一緒に食べると、アミノ酸スコアは100となります。
1日1回は、大豆製品を食べてみてはいかがでしょうか。大豆製品は共通して低脂肪・高たんぱく・カルシウム・鉄分を多く含みます。そして、世界が注目している今が旬の食材“枝豆”も、是非美味しく頂きましょ。
◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。