料理色々(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)
ある方がこんな事を教えてくれました。
地域の人が集まる時、各家庭で同じカレーのルーを使って、一切のアレンジはせず、箱に書いてある通りにカレーを作って持ち寄って皆で食べるのですが、家庭によって全く異なる味や仕上がりになると。
食材の切り方?塩コショウ少々に違いがある?火加減?…本当に不思議です。
切り方色々
薄切り・輪切り・半月切り・いちょう切り・みじん切り・細切り・千切り・千六本・拍子木切り・短冊切り・一口大・乱切り・くし型切り・ざく切り・小口切り・ぶつ切り・ささがき・さいのめ切り・あられ切り・蛇腹切り・白髪葱・飾り切り…
切り方も色々です。
専門的な料理本でなければ、ここまで細かく書き分けていない物も多いですが、赤字の用語位は知っておきたいところです。
下記は、同じような切り方ですが、大きさ・太さに違いがある例です。下に行くほど、細かくなります。
拍子木切り:約5cmの長さ・縦に約1cmの厚さ・縦に繊維にそって1cm幅に切る。
→千六本:マッチ棒位の太さに切る。
→千切り:1mm幅に切る。
角切り:サイコロ状に切る事。作り方には○cm角・○cmの角切り等の記載があり。
→さいの目切り:拍子木切りを1cmのサイコロ状に切る。
→あられ切り:約5mmのサイコロ状に切&る。
→みじん切り:1~2mm角に切る。少し大き目の3~4mm角は、粗みじんと言う。
好きなように切っても食べる事が出来ますが、味のしみこみやすさや煮崩れに違いが出そうですね。
基本的には全ての食材に火が均一に通るために大きさや切り方をそろえると良いでしょう。
それにしても改めて、切り方の名前って、たくさんありますね。
カレーを作る時、皆さんは何切りですか?具材は大き目に切った方が噛むという行為につながり、特にお子さんの場合には、歯並びや発音にも関連していましたよね。
(https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/1738/)
アク色々
アクにも色々あります。
煮込み料理のアクは、少し濁った感じの泡となって出てきます。丁寧に取らないと煮汁が濁る等、見た目に違いが出ます。味については賛否両論あるようですが、人によってはたんぱく質系の食材のアクには旨味成分を含むため、アクは取らなくても良いと言う方もいらっしゃいます。
肉の脂が多めでたくさんの脂が浮いていた時は脂を取りますが、私は基本的にアク取りしません。アクが浮いている状態が見た目上、気になった時アクを取る代表料理は鍋料理です。
最近ではアクを取るシートが売っていますが、肉や魚の場合は灰汁取りじゃくし(天ぷらかすを取るネット状の物)を使うか、お玉でアクの部分をすくい取れば十分です。
アルミホイルをシワシワにした物を乗せてもアクが取れます。ひたひたの煮汁の場合は落とし蓋にもなるので、一石二鳥ですね。
本格的に料理をする場合、西洋料理では泡立てた卵白を煮汁の中に入れてアクを絡めて除去するという方法もありますが、ご自宅ではそこまでやらなくても十分に美味しく仕上がります。
それ以外のアクにも注目してみましょう。
ほうれん草は通常“たっぷりの湯で茹でましょう”と言いますが、シュウ酸の
減る量はたっぷりの湯でも少量でも、それほど大きな違いがありません。さらにビタミンCは少量の方が多く残ります。(NHK ためしてガッテンより)ほうれん草100gに対して1ℓの水で良いそうです。)
ちなみにサラダほうれん草はシュウ酸が少ないため、生食でも問題ありません。
一方、サラダほうれん草ではない物をグリーンスムージーの具材として使用されている方は、シュウ酸を多く含むため生のままの使用は止めましょう。
ごぼうは通常“ささがきにして、水にさらしてあく抜きを”と言いますが、水にさらさ
なくても良いそうです。水につけると茶色くなりますが、それは抗酸化作用があるポリフェノールです。さらに皮の部分は中心部に比べて旨味成分も多く、皮を剥くというよりこすって汚れを取る程度で良いです。アンチエイジングに良いと“ごぼう茶”が流行りましたが、その作り方もごぼうを皮ごと使用し水にさらしません。
渋味もある意味ごぼうの味なので、水にさらしても良いですが、さらし過ぎは食材そのものの味の特徴を半減させてしまいますので加減が大事とも言えます。私は1回だけ水にさらします。理由は、比べた事はないのですが、えぐみが強いのではないかと想像しているからです。
カレーの場合、ジャガイモやナスを水にさらすのか?という違いがありますね。
ちなみに、私は水にさらしません。理由は面倒だからです。
余談ですが、こだわりのカレーを作る知人は、切った野菜を切って半日天日干しするそうです。野菜の旨味が凝縮して、美味しいそうですよ。
具材を炒めた後、煮込む時は初めから弱火がポイントだそうです。野菜に含まれているペクチンがゆっくり加熱されることで、煮崩れしにくくなるためだそうです。また、ルウを入れる時は、火を止めて粗熱を取ってから入れるのがポイントだそうです。熱い内に入れると、ダマになりやすいからだそうです。(NHK ためしてガッテンより)
誰でも簡単に作る事ができるカレーを同じように作っても、作る人によって味が異なるなんて、料理って奥深いな~と改めて感じます。
何だかカレーが作りたくなってきました。
そんなこんなも含めて、家庭の味なのかな~なんて感じています。
◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。