柚子について考える。(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)
昨年の冬至に、柚子湯に入っていて思い出した事があります。
幼い頃、柚子の独特な香りが苦手だった私は、両親が料理に柚子の皮を乗せて美味しそうに食べているのがとても不思議でした。小さい頃は苦手でしたが、大人になるとThe 日本!を感じる食材の1つである柚子について調べてみたくなったのでコラムにしてみました。
ポン酢はオランダ語に驚き!
日本で生産されている柚子は80%以上が高知・徳島・愛媛で生産されているそうです。英語でも柚子はYUZUです。ちなみにポン酢はオランダ語で「柑橘類の果汁」を意味する“pons”から来ているそうです。
夏に青い実が生り、黄色く熟した柚子になるのは11月中旬~1月です。
果皮は煮物・汁物・漬物の風味づけ・柚子味噌・マーマレードに、果汁はポン酢やドレッシング・シャーベットやゼリー・焼酎に入れる等、香り・酸味・料理の彩りになる食材ですよね。柚子の産地では酢飯の酢には、柚子果汁を使用するそうです。
薬味のような使われ方の多い柚子なので、特別何かの栄養素をとろうと思って食べる物ではありませんが、柚子1個(約40g)の果皮(25g)と果汁(14g)を比較すると、皮にカルシウム・ビタミンCが豊富に含まれているのが分かります。果皮に炭水化物が多いですが、これは甘味成分ではなく食物繊維が多いためです。果皮に脂質は含まれている事から、ここに脂溶性のアロマ成分が含まれている事が分かりますね。
約大さじ1杯分のみかん果汁と柚子果汁を比較すると、ビタミンCも柚子の方が多いんですね。
果皮を冷凍保存する場合は、果皮の油胞(ツブツブ部分)に精油(揮発性)が含ま
れているため、細く切り刻むのではなく、なるべく幅広に剥いて、精油成分を閉じ込めたままにしておくのがポイントです。
柚子を丸ごと絞った柚子酢を保存しておきたい場合は、消毒した保存瓶に“絞り汁9:塩1”で入れておくと良いそうです。精油成分が入ると香りが良いため、絞る時は半分に切った切り口が上・皮の部分が下を向くようにすると、皮を伝わって落ちる果汁に精油が加わります。(レモンも同じです。)
以前、たくさん青柚子をいただいたのでマーマレードを作ってみたのですが、大失敗でした。後日、青柚子では美味しくできないと教えてもらい、柚子胡椒を作ってみれば良かったと反省しました。
城川ファクトリーには、様々な柚子製品があるのですが、中でも私のお気に入りは青柚子胡椒!ここの青柚子胡椒は、他の商品と比べ物にならない位、と~っても美味しいのです。我が家の冷蔵庫の必需品です。(https://www.shirokawa.jp/webstore/products/list.php?category_id=32)
柚子湯とアロマ成分
柚子は奈良時代に日本にやってきましたが、柚子湯の習慣は銭湯ができた江戸
時代頃からだそうです。「邪気」を追い払うため・1年中風邪をひかないという言い伝えがあります。
含まれている精油成分は350種類以上ですが、代表的な物にはリモネン(70~80%)・ピネン・シトラールがありますが、あの柚子らしい香りにはならないそうです。独特なあの香りはユズノンという成分で、柚子1個に1/100万gしか含まれていないのに、あの強い香りがあるそうです。
柚子の精油には、抗菌・抗真菌・殺虫・鎮痛・利尿作用があり、リフレッシュ効果・集中力向上・リラックス効果・血行促進・食欲増進・風邪予防・身体を温める作用があります。また、血行促進をするため冷え症・肩こり・腰痛・神経痛などの痛みの緩和に効果が期待できます。
柚子を湯船に入れると精油成分が湯の表面に溶け出します。湯船から出る時に肌に付いてくるので、次に湯船に入る人は皮を揉んで精油を再度出すと良いそうです。
柚子シーズンは残りわずかですが、柚子の香りをさらに楽しんでみたくなりました。
◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。