夏に体重を落とさない!(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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急激に体重を落とさない事は、熱中症対策の観点でも大切です。夏休み中で1
トレーニング量が多くなったのに、その分食事量が増えないとやはり体重が落ちてしまいます。普段より食事量や食事回数を増やす事で、1日の食事量を確保する事が大切です。
以前“夏バテを吹っ飛ばせ!(https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/1438/)”で、トップアスリートが実施している夏バテ対策についてご紹介した事がありますが、併せてお読みいただければと思います。

 

朝食量を増やす。

年齢や性別、実施しているスポーツ競技により、必1
要となるエネルギー量や各種栄養素の必要な量は異なりますが、今回は体重増加をしたい高校生男子アスリートを想定してお話ししたいと思います。
エネルギー量の目安は3,000~3,500kcal/日です。
また、食品量の目安量は右表の通りです。

朝食は日中の暑さの影響を受けづらいため、暑さによる食欲低下は起こりづらいですよね。(ただし、普段から起床後は食欲が無いという場合は別ですが…)そのため、日中の食欲低下を見越して朝食量を増やすのは1つの方法です。
・今までより、ご飯は0.5膳分増やす。  ・お茶碗自体を大きな物に変える。
・ご飯とパンを組み合わせて食べる。   ・ご飯を食べやすくするために、納豆を活用する。1
・バナナ(炭水化物が多いフルーツの代表)を食べる。
・固形物だと食べにくいなら、バナナミルクにして飲む。 
方法は色々ですが、普段から朝食量が少ないという方は特に気を遣いたい部分です。

補食量や回数を増やす

朝食量をどうしても増やせないという場合は、午前中に補食を取り入れる事で、午前中の食事量を増やすのも1つです。また、トレーニング直後の食事量が確保できないという場合は、午後にも補食を取り入れる事が大切です。
そこで問題なのが、補食量や内容です。
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1合のご飯は330gです。3,500kcal/日の食事を目指す場合、1食あたりのごはん量は約1合・6枚切りのパンなら約3枚になります。
朝にご飯200g(おにぎり約2個分)を食べ、補食におにぎり1個というのも良いでしょう。
表から推察するに、おにぎり1個は素麺1把分ですね。

コンビニのうどん料理はうどん約200gです。練習後の昼食にコンビニの冷やし1
サラダうどんだけでは足りないという事です。おにぎりをさらに1個加えないと食事量が不足してしまいますね。

アスリートのエネルギー補給として積極的にとっておきたい栄養素は、炭水化物とたんぱく質です。デニッシュパン・ドーナッツ・メロンパンのような菓子パン類は脂質が多すぎるため、おにぎりやサンドイッチを食べた上でのデザートと考えた方が良いでしょう。

外食の大盛りは、選手にとっての大盛りではないのでは?!

チームから体重増加を指示されているにも関わらず、体重が落ちてしまった高校生アスリートが、私に胸を張って“ファミレスでご飯は大盛りを食べました!”と報告をしてくれた事があります。
体重が落ちているという事は、食事量が不足しているという事です。
調べてみると、某ファミレスDは大盛りが280g(普通盛り200g)です。3,500kcal/日1
が目安量のアスリートにとってのごはん量には届いていない事になります。ちなみに、某牛丼屋の大盛りは320~330g・普通盛りは250~260gでした。
各店舗のごはん量を量ったり、調べる必要はありませんが、体重が減っているのであれば、今より食事量を増やさないといけませんね。

運動量の多くなりやすい夏だからこそ、筋肉も付きやすいはず!
私はよく選手にこう伝えます。
“今実施しているハードなトレーニングを変えずに、食事量を変えるだけで身体が変わるとしたら…こんな楽な事はありませんよね。”
“ウエイトトレーニング後のプロテインが駄目とは言いませんが、朝食におかずが無いのに、そのプロテインは筋肉になるのでしょうか?(エネルギー源として使われてしまっているかもしれませんよ。)”

夏バテしないでね~。さらに強くなるんだぞ~。と叱咤激励している私です。

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm