和栗って(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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店頭で栗を見かけると“もう、秋か~”と感じます。1
ゆで栗・栗ご飯・渋皮煮・栗きんとん・マロングラッセ・栗羊羹・モンブラン・・・秋を感じるからなのか、栗の皮むきが大変だから、より美味しく感じるのか、栗や栗の商品を目にすると買ってしまいます。最近では、和栗!と強調したスイーツが多くなったように感じたのですが、何が違うのか?と疑問に思い、調べてみました。

 

栗は縄文時代から食べられていた。

青森の三内丸山遺跡(約5500~4000年前・縄文中期の遺跡 )で、栗の巨木を1
柱に使った建造物があったり、周辺の森は栗の林で栗を栽培されていた事が発見されたそうです。当時の食べ方は、和栗とシイの実をすりつぶして、卵・山芋と混ぜた物を丸め、熱した石の上で焼くだけ。調味料は何も使っていないため、かなり素朴な味だったと想像できます。
長野の小布施で栗が栽培され始めたのは室町時代だそうです。また江戸後期になって当時普及し始めた砂糖を使って、栗菓子が作られるようになったそうです。

和栗は風味が良い

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栗の種類は大きく分けて、上記の4つに分けられますが、アメリカグリ(アメリカンチェストナット)は、1904年にニューヨークから発生した焼き枯れ病で壊滅してしまい、現在でも北米の一部では栽培されていますが、市場ではほとんど流通していないそうです。
つまり、私達が口にしている栗は大きく3種類という事です。
日本の栗だけが渋皮がむきにくいですが、これは渋皮が果実とピッタリくっついているためです。(以前、楽な栗の皮むき方法をご紹介しております。https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/525/
和栗は水分が多いため甘味に欠けますが、あくが少ないため風味が良いのが特徴です。
栗ご飯は和栗で作らないと、あの良い香りが出てきません。香りの成分はメチオナールというサツマイモにも含まれている香りの成分と、イチゴやパイナップルに含まれている甘い香りのフラノンという成分です。
最近では、“和栗のモンブラン”等、和栗を使った洋菓子が売れていますが、これはつまり香りが良い!というのが特徴と言えます。

栗の栽培事情

国内の栗の収穫ランキング(2014年)は1位 茨城(シェア24.2%) 2位 熊本(17.9%) 3位 愛媛(7.2%)で、この3件で全国の約半分を生産しているそうです。
初夏に栗の花が咲き、秋に実が生ります。品種によって収穫時期は早い物で8月中旬、遅いと11月まで収穫が続きます。
和栗は野生の芝栗を品種改良したものですが、その種類は100種類以上あるそうです。
愛媛県にある、城川自然農場で取り扱っている栗は、早生・銀寄・利平・筑波・石鎚・岸根だそうで、収穫時期が少しずつ異なるため、長い時期楽しめるそうです。

道の駅 きなはい屋(西予市城川町下相1008番地1)では、様々な栗製品を扱っ1
ています。
オンラインショップ(https://www.shirokawa.jp/webstore/products/list.php?category_id=27)で購入できる商品も多いのですが、お店でないと購入できない商品もあります。
中でも私が気になっているのが8月からの新商品“蜂蜜和栗 プリンハニートラップ”という和栗ペーストの上に豆乳・生クリームを使用したゼリーのような食感のプリンの上に蜂蜜ゼリーが乗っている3層仕立てのスイーツです。これは、直接お店に行くしかありません!

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm