今の時期は、是非さや付きのソラマメを!(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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ソラマメは店頭に並び始めると“初夏か~。”と思います。1
ソラマメは桜の開花後の2か月が旬。つまり4~6月の短い期間に楽しめる食材です。
冷凍ものもありますが、この時期はやっぱり莢に入ったソラマメを楽しんでみてはいかがでしょうか。

日本では奈良時代に伝えられた

原産地ははっきりしていませんが、西アジア~地中海沿岸・北アフリカにかけてと1
考えられています。紀元前5,000年頃のスイスの遺跡で種子が発見されている他、エジプトでは4,000年前から栽培されている古くからある食材です。そして約2,000年前に中国に伝わっています。中国の四川ではソラマメ・砂糖・胡麻油・唐辛子等を混ぜて発酵させた豆板醤が作られています。
日本には奈良時代にやってきたそうです。日本で栽培されるようになったのは江戸時代の頃で、明治時代になると徐々に消費が増えていったようです。
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枝豆と比較すると、枝豆よりも炭水化物が多く、脂質が少ないですね。

空豆・天豆・蚕豆・四月豆・五月豆・・・色々あるソラマメの呼び名

ソラマメの語源は莢がぶら下がるのではなく、莢の先端が空を向いているため空1
豆(そらまめ)・天豆(てんまめ)と名づけられた・莢の内側が蚕の繭に似ているため、または蚕が繭を作る頃に美味しくなる豆のため蚕豆(そらまめ・かいこまめ・さんず)と書く・最盛期の時期から四月豆(しがつまめ)や五月豆(ごがつまめ)とも呼ばれています。
それ以外にも、雪割豆・野良豆(のらまめ)・夏豆(なつまめ)・大和豆(やまとまめ)・一寸豆(いっすんまめ)・唐豆(からまめ)・刀豆(たちまめ)とも書くようです。
ソラマメを完熟させた乾燥豆を甘く調理したものを“於多福豆(おたふくまめ)”、薄皮ごとあげたものを“はじき豆”“いかり豆”と呼び分ける事もあります。

見分け方

“美味しい期間は3日間”と言われるほど、収穫時期が短い食材です。
新鮮なものは、莢にうっすらと産毛がついています。莢がキレイな緑色で、均一に膨らんで弾力がある物、そして中のワタが弾力のある物が良いソラマメです。莢が黒ずんでいる物や、ハリの無い物は避けた方が良いです。
ソラマメは鮮度が落ちるのが早いため、買ったその日に料理するのがポイントです。莢から取り出すと水分が蒸発して甘味が減少するため、莢付きの物を購入する方がお勧めです。

ホクホク・しっとりの見分け方は、豆のあそこを見れば分かる!

私は莢ごとグリルで10分ほど焼いて、豆の皮ごと食べるのが好きです。塩もこだ1
わって藻塩にしています。
ちょうど蒸し焼きになって、豆の甘味が逃げないような気がします。(塩ゆでする際も、莢ごと茹でると豆がシワシワにならない。)
私はどちらかというとホクホクよりしっとりした豆が好きです。この違いは収穫時期です。
豆の爪の黒い部分を“お歯黒”と呼びますが、これは鮮度や収穫時期の目安になります。“お歯黒”部分は豆が莢とつながっていた“へその緒”の名残です。このお歯黒部分を通じて栄養分をもらい、莢の中で成長しています。
出始めは色が緑色ですが、旬の終わりに近づくとへその緒が外れて時が経つと酸化するため黒くなります。

お歯黒が緑色だと、収穫時期が早いためしっとりした食感です。一方、お歯黒の状1
態は豆に十分糖分が貯蔵され、糖分がでんぷんに変わっているため、ホクホクの食感になります。
莢の状態で見分ける場合は、莢の表面が新鮮な緑色だとしっとり、色があせていたり茶色がかっているとホクホク。
莢の筋の色で見分ける場合は、緑色だとしっとり、茶色だとホクホク。
莢の形で見分ける場合は、莢のくびれが小さいと(豆が小ぶりのため)しっとり、莢にくびれが出来ていると(豆が大きくなっているため)ホクホク。
等と、好みで選ぶのも1つです。

塩ゆで・サラダ・揚げ物・炒め物・煮物・スープ等、色々な調理方法で楽しめますが、今の時期だからこそ、莢付きの物を購入して楽しんでみませんか?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm