オリゴ糖はどうなのか?(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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ハチミツについて以前にお話ししていますが1
https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/3546/)、“オリゴ糖は良いんでしょ?”という声が聞こえた為、お話ししたいと思います。
以前、膝への負担を軽くするために体重を落とすよう担当医から指示されている変形性膝関節症の患者様が、“便秘気味なので、対策として朝昼晩に飲んでいるコーヒーにオリゴ糖を入れている。”と話していたため、私は“う~ん…”と唸った事があります。

オリゴ糖と言っても、約20種類ある。

オリゴ糖は日本語にすると“少糖類”で、単糖類(ぶどう糖や果糖等)が約2~10個、鎖のように結合した物を言います。代表的な物は、表の通りです。
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ダイエットに良い・お腹の調子を整える等の謳い文句でオリゴ糖が販売されていますが、ダイエットに良いと言っても、カロリーゼロではありません
オリゴ糖には小腸で吸収されてしまう物と、胃や小腸で消化・吸収されにくい物があります。消化・吸収されにくいオリゴ糖は2kcal/g(ブドウ糖:4kcal/g)のため、体重や血糖値・中性脂肪を上げにくいというのも特徴の1つです。
ただし、1日に20g以上をとると、ガスが溜まる・胃部不快感・腹痛・下痢・むくみ・こむら返り等の副作用を起こすという報告もあります。(乳糖不耐症やイヌリンにアレルギーがある場合は、1日に5gでも副作用が生じやすくなる可能性があるそうです。)
消化・吸収されにくいオリゴ糖は大腸まで到達すると、ビフィズス菌等の善玉菌の餌となり、善玉菌を増殖させる働きがあるため、腸内環境を整える効果があります。そのため、これらのオリゴ糖を含む特定保健用食品も多いです。
このように間接的に善玉菌を増やす物を体内に取り入れる事を“プレバイオティクス”と言い、甘味料やシロップ・ヨーグルトや飲料にオリゴ糖が添加された特定保健用食品があります。
しかし、オリゴ糖と共にブドウ糖等の他の糖類が含まれている物もあるため、原材料やエネルギー量等の表示を確認する事が大切です。

私がオリゴ糖入りのコーヒーを飲む習慣のある方への返答に悩んだ訳

ダイエット目的や便秘解消のために、オリゴ糖を日々の食生活に取り入れる事は問題ないと考えます。特にダイエットをしたいという場合は、砂糖の代用としてオリゴ糖を料理に使用するのは1日の摂取エネルギー量を抑えるのにも効果的だとは思います。

大さじ1当たりの甘味料別エネルギー量を1
表にまとめてみました。

黒砂糖はサトウキビを絞った汁を煮詰めて作られます。精製されていくと、三温糖⇒上白糖と色が白くなってきます。さらに、グラニュー糖や粉砂糖のようにさらさらとした状態になります。精製される内に、カリウムやカルシウム等がなくなり、雑味がなくなってきます。それに伴って、大さじ1当たりの糖分量が高まり、エネルギー量も高くなってきます。
煮物を作る際に上白糖と黒砂糖を使用した物を味比べしてみると、黒砂糖で作った物の方がミネラルや香りの効果で甘味を強く感じます。またハチミツでは照りが出やすくなります。
料理によって、また味の好みによって使用する甘味料は異なりますよね。
オリゴ糖の甘味は、表にある通りですが、砂糖に比べると控えめの物もあります。甘さが控えめなオリゴ糖を使用して、普段通りの甘さを出そうと思うと使用量が多くなってしまうとも言えます

一日に必要な砂糖の目安量は大さじ1~2杯です。ダイエット志望の場合は大さじ1が目安量ですが、この適量をどこで・何に使用するかがポイントとなります。大さじ1~2杯の砂糖量は、食事で使用する調味料で終わってしまう量です。
特にダイエット志望の場合は、甘味を強く感じる黒砂糖を使用する事で、砂糖の使用量を少しでも減らせるならば黒砂糖や三温糖に切り替えるのも1つです。また、オリゴ糖で料理を作ってみて、味に抵抗がなければ使用するのも1つでしょう。

さて、先ほどの患者様の話です。
私はオリゴ糖入りコーヒーを飲んでいる方の食の好みや食習慣が気になりました。1
ブラックでも飲む事ができるコーヒーに、オリゴ糖を入れるという事は甘党なのではないかと、想像したのです。
日々の食べ物を詳しく伺うと、毎日3時のおやつと夜食にチョコレートを食べる習慣がありました。3食で使用する甘味料に加え、間食に含まれている砂糖量、そしてコーヒーに入れているオリゴ糖を合計すると、糖分のとり過ぎである事が容易に分かります。
将来的には毎日のチョコレート習慣は止めておきたいところですが、私はこうアドバイスしました。まずは1日2回のチョコレートを食べる習慣を1回にし、特に夜食のチョコレートは止める事を勧めました。さらに、コーヒーにオリゴ糖を入れるのは1日1杯までにし、特に夜のコーヒーには入れない事をアドバイスしました。
また、野菜・キノコ・海藻類を食べても1食だったため、便秘対策として、具沢山のスープとサラダのように毎食に2品を目安に取り入れてはどうかと伝えました。

この方の場合は、オリゴ糖の前に食の好みや、食習慣の問題があったんですよね。
我が家の砂糖は、基本的に奄美大島産の黒砂糖を使用していて、上白糖は家にはありません。皆さんのご自宅では、どんなお砂糖を使用していますか?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm