不純が一番!
タイトルを見ると、ドッキリしますね…
この言葉は、ウエイトトレーニングをし始めて数回の大学生に私が言った言葉です。
ウエイトトレーニング直後、右手にプロテイン+左手にサラダチキンを持った大学生が私に近づいてきて、こう言いました。
『ウエイト後は、やっぱこれっすよね!』
今回は、アスリートではない方々への私の食事アドバイス例です。
・朝食に改善の余地が多い人が多い。
私は大学生に、こう返しました。
『今、手に持っているものが、どうか?の前に… 今朝は何を食べた?』
大学生:『朝ごはんは、いつも食べてないっす。』
私 :『あ~、残念。』
大学生は少し驚いた様子でした。
スポーツ栄養の本を開くと、古い本だと“トレーニング30分以内のたんぱく質摂取が大切”と書かれています。
最近ではトレーニング後30分以内とは言わず、トレーニング後、なるべく早くです。
そして、たんぱく質だけではなく、炭水化物も大切です。つまり、牛乳+おにぎり・飲むヨーグルト+サンドイッチだってGOODです。
トレーニング後だけこだわっても期待どおりの効果は得られません。3食をちゃんと“ごはん+おかず+野菜をそろえて”食べる事は、非常に優先順位が高いです。
食事からのたんぱく質不足は、筋肉を消化してしまい、たんぱく質源として使ってしまいます。
朝食を食べていなければ、夕食から次の食事時間が非常に長く空いてしまい、筋トレすればするほど、筋肉が落ちてしまうという可笑しな結果になり兼ねません。そんな学生には“サプリメントのプロテインが筋肉づくりに直結しない。エネルギー源として使われてしまう!”と伝えます。
別の大学生は、朝食を食べてはいるけれど、菓子パンでした。おかずにあたるたんぱく質が補給されなければ、やはり筋肉がたんぱく質源として身体に供給されてしまいます。
私は、『朝食をちゃんと食べるだけで、筋肉量が増える人は多いよ。』『菓子パンはパンじゃなくて、菓子よね~。だからデザートの位置づけで。』と大学生に伝えました。
朝食に改善の余地がある方々の何と多いこと!朝食を整えるだけで、1日の食事量・バランスが随分とよくなる方は多いです。
朝ごはんを食べる事ができないから、その分、夜に食べよう!は×です。
夜は日中に比べて太りやすい(体脂肪が増えやすい)ので、やはり、朝食の改善の優先順位が高いです。
・卵かけご飯+インスタント味噌汁に冷凍ホウレンソウ
・夕食の鍋料理の残りにごはん+卵を落として雑炊
・食パン・チーズ・ハム+夕食に具沢山の汁物を多めに作り朝にも
・前の日に朝食をコンビニやスーパーで購入しておく。
このように、食べるメリットとその具体例を伝えました。
・運動をする動機は、刺激的な動機が効果的。
運動習慣がなかった大学生が運動を始めるには、相当の理由があるのではないかと感じたので、こんな質問をしました。
『なんで、急にウエイトトレーニングをしようと思ったの?』
大学生:『彼女と海に行く約束をしたんだけど、その時、腹が割れていた方が格好良いから。』
私 :『不純な動機は、一番の原動力よね。』
大学生:『そ~っすよね♪』
大好きな人に格好良く見せたい・綺麗に見せたいという理由は若い人に多いですよね。彼女との海デートに腹筋をシックスパックにすることができたのか?その後、ウエイトトレーニングは継続しているのかが気になるところです。
若くて運動嫌いの方は特に、健康のために運動をしようと思いづらいですよね。そして、深夜までネットサーフィンやバイトをしている学生の方は、授業開始時間が遅いのに、朝起きて朝食を食べようとは思えないでしょう。実施するメリットと実施しないデメリットを伝えると、やってみようかな?と感じさせると信じて、アドバイスをしています。
今年はコロナの影響で、元々運動習慣のない学生の活動量の低下が著しいと想像できます。
活動量が減る。→食事量が変わらない。→太る。
活動量が減る。→食欲がわかない。→痩せる。(筋肉が減る。)→久しぶりに外に出て体力の低下を感じる。
外出が減り、人とのコミュニケーションが減る。→寂しさを感じる。食欲もわかない。
などが、私が耳にした大学生の声です。非常に心配な事態です。
残念ながら、積極的に人とのコミュニケーションをとれないからこそ、工夫が必要ですし、身体のみならず、心の健康を保つよう自己コントロールも必要になってくるでしょう。
私は、こうアドバイスしました。
活動量を減らさない事が、色々なメリットにつながる。食欲もわくし、太らない。運動をすれば自律神経も整いやすいから、心も元気になる 等です。こういう時だからこそ、身体を動かすことを積極的に心がけて日常生活に取り入れないと!なんじゃないかな?
また、朝食は自律神経を整えるにも良いし、朝からしっかり身体を目覚めさせ、活動的に行動するためにも大切 等です。私は、朝からテンションを上げるために海鮮丼の日もあるよ!と伝えました。朝起きて、あれ食べよう!と思える前日のちょっとした準備もポイントです。
中高年の方の運動を始めた動機で多いのは以下の通りです。
・健康診断の結果に驚き、どうにかしなければ!と思った。
・数か月後の発表会や家族の結婚式に向けて、素敵な衣装を綺麗に着こなしたい!
・娘に誘われて、散歩をするようになった。
・犬を飼い始めて、散歩をするようになった。
1か月位は継続できる方は多いですが、健康のために始めたのであれば、長期間継続できているかはポイントですよね。
・運動を継続するには、不純な動機だけでは不足な事が多い。
若くても、中高年の方でも、運動や食事の良い習慣を継続するには、動機づけとなった事柄から、少しずつ目的・目標を変えることで、継続につながりやすいでしょう。
ウエイトトレーニングを始めた大学生の中には、筋肉美を競う大会を毎年目指すようになった方が数名いました。そして、その様子を見ていた学生が刺激を受けて、ウエイトトレーニングを始めたり、大会を目指すようになっているようでした。今でも何等かの運動を続けている事を願うばかりです。
7年前に健康のためにスポーツクラブに入会した私ですが、健康のために運動はしていますが、スキーが趣味なので、健康という目的より、スキー場でがっかりする体力になりたくないという気持ちで運動しています。また、あるスキーの目標があり、そのために日々スポーツクラブに通っています。
ダイエット番組のような、短期間でのダイエットは、一時は痩せますが、1年後はどうなっているか?が気になります。急激に短期間でダイエットを成功された方は、1年後には約半数がリバウンドしているそうです。私の経験では、スタートの体重に関わらず、年間8kg以上体重減少させると、リバウンドする方が多いです。
体重が落ちている時は、楽しくて、色々な我慢・規制が苦にならないのですが、停滞すると“こんなに頑張っているのに成果がでない!辛い!!”と感じて、やめてしまうのです。そのため、順調に減りすぎている方に“この1か月は体重キープを目指しましょう。”と提案することがあります。
健康のために、運動や食事を調整したいのであれば、少しずつ改善し、ずっと続けられる習慣でないと継続することは難しいのではないでしょうか?そのモチベーションポイントが何か?という事です。
最近私が注目しているゆりやんレトリィバァさんですが、10月の時点で36kgのダイエットに成功しているそうです。彼女のコメントにグッときました。
“以前は好きな人のためにダイエットをした。でも好きな人がいなくなるとリバウンドしてしまう。(目的がなくなるから。)これではダイエットは成功しない。目標が第3者ではなく、自分自身にないとダメだ!と思った。”というニュアンスのコメントでした。
私は、彼女のダイエットを一視聴者として応援しています。そして、彼女のダイエットのゴールはどこにあり、その先に何をしたいと考えているのか?が気になるばかりです。
◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー及びアカデミー(男女)栄養アドバイザー
湘南ベルマーレ育成 栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm