身体のために、運動も大事。メンタルヘルスに、コミュニケーションも大事。

河谷彰子タイトル123

 〝運動クラスは、高齢者の孤独感・社会的孤立を減らす?〟という情報を目にしました。
 (LINK de DIET:http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=73386&-lay=lay&-Find
 この論文では、運動クラスに参加する前と6か月後の結果では、孤独感が6.9%減少し、社会的つながりが3.3%改善されたと記載されています。
 運動を実施したことによる運動機能の向上に加え、孤独感や社会的孤立を減らすことができるなんて、見逃せない情報だ!と感じます。
 高齢者の場合、ストレス原因のトップは、健康不安です。高齢者のストレス解消方法として、友人に話を聞いてもらう・配偶者に話を聞いてもらう・スポーツなどをして体を動かす等を公益財団法人 長寿科学振興財団では勧めています。
                    (公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネットより
             :https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/sutoresu.html

・〝コミュニケーションを重視した運動指導形態が健康満足感および生活充実感に及ぼす影響〟
 これは、私の修士論文のタイトルです。
 健康づくりには運動は大切。せっかく始めた運動を継続するには、楽しさも大切。楽しさを感じる要素として、人とのコミュニケーションを取り入れることは指導する上で大切なんじゃないか?と感じていた23歳だった私の調査結果です。

 週1回・約2時間の運動(ウォーミングアップ+有酸素運動+ウエイトトレーニング+クーリングダウン)を実施し、グループ①は、好きな時間に一人で運動するのに対し、グループ②は、毎週同じメンバーで運動を実施し、有酸素運動やウエイトトレーニングは個別に実施しますが、ウォーミングアップやクーリングダウンは、指導者を中心に皆で行ない、ちょっとしたコミュニケーションを必要とするエクササイズをプラスしました。
 つまり、主運動は同じですが、主運動の前後にコミュニケーションをとることができるように仕掛けたのです。
 調査の結果、運動による身体機能や体格は、両群とも同様の結果でした。(体脂肪率減少・持久力向上・筋力up等)
 一方、健康満足感や生活充実感といった主観的評価の結果は、グループ②では運動を実施する時間に比例して、評価が上がるという傾向にありました。
 私は、論文を以下の通りまとめています。
 “目的が健康づくりを主としている健康な一般成人における運動は、QOLを高める可能性が高く、中でもコミュニケーションを積極的に取り入れた指導形態のもとで行った群に、よりその効果が見られた。”
 これまでの人生の半分地点で、こんな点に着目したことに自画自賛しています。

・コロナ禍で、どのようにコミュニケーションをとったら良いのか
 2020年4月22日放送のガッテン!からの情報です。
https://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20200415/index.html
 ・コロナ禍により、高齢者の社会的孤立が心配。
 ・社会的孤立は、循環器・血圧・認知機能等に関わる病気のリスクを高める。
 ・脳から分泌される〝オキシトシン〟は、不安やストレスを軽減してくれる〝ハッピーホルモン〟である。
 ・オキシトシンは、親しい人と触れ合った時に分泌される。
 ・オキシトシンは痛みの緩和・認知症の症状改善等の報告もある。
 ・アメリカ・ウィスコンシン大学の研究で、親しい人の声を聴くだけでオキシトシンが増えたという結果がある。
          ⇒コロナ禍では、人と会うことすら難しいので、電話を使った会話をしよう!
 ちなみに私は、表情を見て話したいと思い、昨年からは実家の両親とビデオ通話で、話すようにしています。

 冒頭の論文では、コロナ禍では、オンラインを利用して運動教室を継続しているようですが、どのような方法で実施しているのか気になるところです。
 運動することは健康のためにも大切ですが、さらにメンタルヘルスを考えると、+αのコミュニケーションが大切だと感じます。
 誰かと一緒に運動を実施しているという感覚が大切。
 可能なら、同じ空間で実施することが、より積極的なコミュニケーションにつながりますが、現状はオンライン(オンデマンドではなく)で、画面を通じて一緒に運動をやっているという時間の共有という方法も1つではないか?と感じています。

 昨年、サポートしているジュニアアスリート達とオンラインで一緒に自重を使った筋トレを実施しました。ストレングスコーチの〝あと〇回!〟〝ラストだよ~ガンバ~!!〟というパソコン越しの声掛けに、気合が入りました。
 YouTubeのような動画で、様々な運動を見ることができますが、一人で実施するより、家族で一緒に実施した方が良いとも言えるのではないでしょうか?
 離れて住んでいる高齢のご家族が、お散歩を続けている・こんな運動をしていると耳にしたら、電話で称賛することも◎でしょう。
 また、ご自身が実施している運動をSNS等で発信して、ご友人から励ましてもらうことも◎なのではないでしょうか?
 コロナに惑わされず、心も身体も健康でありたいものです。

 

◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・アカデミー(男女)栄養アドバイザー
湘南ベルマーレ育成 栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm