大豆ミートって
プラントベース・フェイクミート・オルタネティブミート等、色々な名前がありますが、最近、大豆を加工して作った大豆ミートの商品をよく見かけます。
初めて私が口にしたのは、約10年前だったような気がします。どこかの道の駅で大豆ミートを唐揚げにして実演販売をしていました。あっさりとした鶏肉のから揚げのような味で、美味しいなと思い、乾燥したブロック状の商品を購入して、生姜焼きにして食べました。
最近では、そのまま食べられる商品や、飲食店でも大豆ミートを使用した料理が売られていますよね。
大豆ミートについての〝アハ体験〟があったので、コラムにしたいと思います。
・大豆ミートはヘルシー
色々な商品がありますが“まるでお肉!”という謳い文句が書かれている商品が多いように感じます。
つまり、お肉のようだけど、ヘルシー?美味しい?という事が伝えたいのでしょう。
〝ヘルシーって何だ?〟とよく感じます。
人によっては、ダイエットに効果的な商品?エネルギー量が少ない?腸内環境を整える?塩分が少ない?脂質の種類がコレステロールをためづらい?低糖質?等と色々な捉え方があるでしょう。
日本食品成分表2020年版(八訂)の情報を比較してみました。
粒状大豆タンパクとは、脱脂大豆(大豆から大豆油を絞ったもの)を加工しています。乾燥食材のため、3倍の水で戻す事を想定し、1/3量で計算しています。
・肉類よりエネルギー量が少ない。(脂質量が非常に少ないため。)
・たんぱく質がとれる。植物性の食材なのに、肉と同等量含まれている。
(大豆たんぱくのアミノ酸スコアは100)
・肉類より炭水化物は多い。
・鉄分は赤身の肉である牛肉と同等量。
・食物繊維が圧倒的に多い。
脂肪の種類を比較すると…
・動脈硬化の原因となりやすい、飽和脂肪酸が非常に少ない。
・コレステロールはゼロ。
結果、大豆ミートについて、下記の事が言えそうです。
① 良質のたんぱく質であり、肉よりもエネルギー量が少ない。+脂質の種類も生活習慣病になりにくい種類である。
② 鉄分がとれて、貧血対策の食材として◎。
③ 食物繊維が多いので整腸作用がある。+大腸菌の中でも、善玉菌が増えやすくなる。
④ 大豆イソフラボンをとることが出来る。
⑤ ③+④の効果により、エクオールを体内で生み出しやすくなる可能性が高まる。
大豆イソフラボンが女性ホルモンのように働くのは、日本人なら約半分参照
皆さんにとって、嬉しいヘルシー情報はどれですか?
・料理の際には、香辛料を使うと◎。
ヘルシーなキーワードとして、低脂肪を嬉しいと感じるなら、唐揚げはやめた方が良いのでは?と考えてしまう私は10年前に生姜焼きで食べてみたのですが…大豆の独特な香りが食べている時に、肉ではない!と思い出してしまうのです。
これを解決するには、2つの方法があります。
乾燥タイプであれば、水に戻した後、〝絞って水を変える〟を数回繰り返す。香辛料を使用することで、大豆の香りを隠す。
しょうが焼きであれば、豚肉の生姜焼きを作るときよりも生姜を多めに使用すると良いです。さらに、食べている時に水分が逃げてしまうのを防ぐために、片栗粉を使用することでタレが口の中で残りやすくなります。
最近では乾燥タイプより、そのまま食べられる商品(ミンチ状・ブロック状・ヒレ状)も多いですが、やはり香辛料を使った料理の方が肉だよね♪と感じたまま食べ終えることが出来ます。
私は、ミンチ状の大豆ミートをキーマカレーにして食べるのが好きです。
・大豆ミートとSDGs
ダイエットのために、特定の加工食品を選ぶのは、私は好きではありません。理由は、特定の食品を一生食べ続ける事は難しいし、特定の企業の商品ばかりを購入する事に抵抗があるからです。
ある日、テレビを見ていて、それなら気持ちよく大豆ミートを食べよう!と思えました。
肉・大豆製品に関わる食や環境に関するトピックス例
① 食料不足問題と肉の生産量
近い将来、需要>供給となり、食糧不足問題が発生するのではないかと問題視されている。
② 温暖化と牛のゲップ
牛のゲップにメタンガスが含まれている。メタンガスが地球温暖化の原因になると指摘されている。
③ 肉1kgに対する、飼料である穀物量と食糧不足問題
牛肉1kgを生産するのに、穀物は11kg。
豚肉1kg 〃 、 7kg。
鶏肉1kg 〃 、 4kg。
肉が食材になるまでには沢山の時間と穀物(畑)、そして水が必要であり、同じ量のたんぱく質
を作り出すのであれば大豆ミートは効率的であり、食糧不足を解決するのに貢献するのではない
か?という内容の番組でした。
日本の食料自給率はカロリーベースで38%、肉類は、牛肉12%・豚肉6%・鶏肉8%です(令和3年度)。
日本の場合、飼料のほとんどを輸入に頼っているため、輸入できなくなると、肉類の食料自給率がさらに下がります。
とはいえ、日本の大豆の食料自給率も6%と低い。
自分の身体にも良いだけではなく、世界レベルで見て、肉から大豆へとたんぱく質源をとるようにしたら、少しは良いのかも?と感じた事が私の〝アハ ポイント〟でした。
ただ、大豆の食料自給率も非常に低いので、日本の食料自給率upにはつながらないという問題もあります。
〝ヘルシー〟という謳い文句だけでなく、SDGsにもなるという点に、私は魅力を感じました。
皆さんは、どのように感じますか?
余談ですが…大豆製品として、納豆・豆腐・大豆ミートを買う事はありますが、〝乾燥おから〟もよく使用します。
〝おから〟を作るために加工されるわけではなく、大豆から豆乳→豆腐を作る過程で〝おから〟が出てきます。食品としての需要が供給を大きく下回るため、沢山廃棄されているそうでう。最近では乾燥した商品もあり、長期保存ができるため、我が家の冷蔵庫には常備してあります。
先日も鶏ひき肉を使用したキーマカレーに乾燥おからを加えました。
今回の材料は、鶏ひき肉・玉ねぎ・人参・茹でたエンドウ豆・乾燥おから。
以前ご紹介しているドライカレーの4の過程で、乾燥おからを加えています。
大豆イソフラボンが女性ホルモンのように働くのは、日本人なら約半分
ご飯に乗せても良し、トーストしたパンにスライスチーズと共に載せても良し、オムレツのようにして卵で包んでも良し。おからを入れたという事を忘れてしまう美味しさです。
これまで大豆について触れているコラムは以下の通りです。
◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・ユースアカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm