もはや贅沢病ではない“痛風”について(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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医療機関での栄養指導で、アドバイスした事をと~っても守ってくださるのが1
痛風の痛みを持った患者様です。
足に腫れが出て靴も履けない・痛みで地面に足を付けない・混雑した所で足を踏まれて脂汗をかいたという方もいらっしゃいます。
大学生で発症した患者様もいらっしゃいます。“風が吹いても痛い”という位ですから、相当な痛みですよね。


 

ビールの前に、だし!

尿酸値が高くなる原因の1つは、プリン体が多い食品のとり過ぎです。2
(遺伝は10~20%)尿酸値が高くなる食材と言うと、ビールを思い出す方も多いと思いますが、私なら“まずはだしに気をつけましょう。”と答えます。
動物性のだし・レバー・白子・イクラ等は、毎日食べると尿酸値が上がりやすいです。
動物性のだしにはカツオ・いりこ・あご・チキン・ビーフ等ありますが、風味調味料が普及している時代だからこそ、気を付けたいですね。
毎日の味噌汁や煮物はかつおだしなら、昆布のだしの方がお勧めです。(干し椎茸のだしにもプリン体を多く含むため、避けておきましょう。)
洋食なら、玉葱・人参・セロリ・トマト等のグルタミン酸(旨味成分の1つ)の多い野菜やハーブを使うと良いですね。
難しく考えず、風味調味料を減らして具だくさんの汁物にすると良いですよ。


 

肉や魚のおかず量が多くないですか?

夕飯のおかずは何品ありますか?肉や魚にもプリン体は含まれているので、3
食べ過ぎはやはり尿酸値を上げる原因になります。
厳密には年齢・性別・活動量によって必要なたんぱく質量は異なりますが1食のおかず量は約100gです。
魚なら切り身約1枚・豚肉の生姜焼きの肉なら約4枚が目安です。
一般的に身体に良いとされている魚も食べ過ぎは良くないと言えます。


 

やっぱり野菜って良いんですよね。

尿酸値が高いと尿が酸性になり尿路結石を起こしやすいのですが、5
アルカリ性食品を食べる事によって尿がアルカリ性に傾き、
これを予防できる可能性があります。
アルカリ性食品:野菜・海藻・キノコ類(干し椎茸のだしは避ける。)等
酸性食品:肉・魚・魚介類・卵類 等
やっぱり野菜たっぷりの食事は良いんです。おかずが多い方は、1品減らして、野菜料理を1品増やしてみませんか?


 

そしてお酒

前回にプリン体については少し触れていますが、6
お酒の種類によってはプリン体を多く含むものもあります。
しかし、レバーは210~310mg/100g、海老・イワシ・カツオは210~270mg/100g。
ビールをたくさん飲む方でないなら、おかず内容や量に気をつけた方が良さそうですね。

痛風はホルモンの影響から圧倒的に男性に発症しやすい病気です。血液検査の尿酸値が7.0を過ぎた状態が何年も続いていると、
痛風と呼ばれる痛みが出てきやすくなります。つまり、高くても痛みが出ないのです。
しかし、内臓特に腎臓に対して負担があるため、喉元過ぎて(痛風の痛みが無くなって)も、放っておいては良くありません。
年末の食事会、どんな料理を選択しますか?飲み物は?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm