食塩、あと-2gに出来る事。(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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平成24年国民健康栄養調査(厚生労働省)によれば、日本人の食塩摂取量1
は男性11.3g/日・女性9.6g/日
。一方で“日本人の食事摂取基準(2010年版)”(厚生労働省)では食塩摂取の目標量として成人男性9g未満/日・女性7.5 g/日としています。さらに日本高血圧学会では6g未満/日、欧米のいくつかの国では高血圧症でない方も6g/日、WHO(世界保健機構)は世界の人の減塩目標を5g/日にしています。

あと-2g、もしくはそれ以上を何とかしないといけないという現実です。

 

パンやめん類よりご飯が減塩につながりやすい。

目標量を目指すとしたら2.5~3g/食。1
1食にご飯+おかず+野菜をそろえるとして、全てに調味料を使うと、どれも薄味になってしまうので、どれか1品は調味料として塩分を使用しないと考えると良いでしょう。
白ご飯は米+水。塩分不使用の食べ物です。
一方、パンやめん類は、小麦粉を加工する際に塩分を加える事で粘着性や弾性を得るために(グルテンが作られる)、塩分が欠かせない食べ物と言えます。ラーメンやうどんの場合、減塩のためにスープ(汁)を飲まないというのは大切な事ではありますが、麺自体に塩分が含まれている事を考えると、麺類を食べる
頻度は少ない方が良さそうですね。
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パンであれば、さらにバターやマーガリンを使う事で塩分をとってしまいます。
やはり、主食にはご飯が良さそうですね。

 

汁物と漬物は1日1回

味噌汁を1日3回飲むとすると、それだけで3.6g/日の塩分をとってしまうことに3
なります。漬物(たくあん)3回で2.4g/日。合わせて6g/日・・・
和食の基本形とされている1汁3菜(ご飯+汁物+おかず(主菜1品+副菜2品))ですが、 減塩を考えるなら汁物と漬物類は1日1回にしておくと良いでしょう。

汁物の塩分を少な目にしても美味しく感じるポイント例は以下の通りです。
・出汁を効かせる。(尿酸値が高い方は、植物性の昆布だしで)
・七味・唐辛子・柚子・レモン・三つ葉等の香辛料・酸味・香りを効かせる。

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卓上に醤油を置く習慣のある方は、こっそり出汁割り醤油にしてみましょう。グルっと一周醤油をかける習慣は、なかなか変えづらいものです。そこで、醤油に出汁を加える事で、1回に使用する塩分量を抑えるという戦略です。ポイントは1週間ずつ少しずつ出汁の量を増やしていきます。
案外、塩分が少なくしてある事に気づかないですよ。

 

具だくさん味噌汁を取り入れてみたら良いのでは。

カリウムは塩分を排出する効果があります。(腎臓が悪い方でカリウム制限が3
ある方は、医師の指示に従ってください。)生野菜や海藻にカリウムは多く含まれています。
サラダを食べる時には、全てにまんべんなくドレッシングをかけてしまうのではなく、かけなくても食べられる野菜はそのまま食べるのも1つです。
ドレッシングをサラダそのものにかけるのではなく、別皿に取り分けるのも1つです。

汁物であれば、具だくさんにする事で、スープ量が少なくて良いので、3
塩分濃度を薄くしなくても口にする塩分量を控える事が出来ますし、野菜のカリウムもとる事ができますね。
便秘と高血圧は密接な関係があります。野菜を積極的にとると、一石二鳥ですね。
(野菜はタワシhttps://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/101/も併せてご覧ください。)

減塩の調味料も色々販売されていますが、家族と一緒のメニューで出来そうな事、見つかりましたか?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm