夏バテを吹っ飛ばせ!(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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毎年夏になると夏バテするのよね~という方はいらっしゃいませんか?1
今回は、トップアスリートの食事風景から夏バテ予防のエッセンスをお伝えしたいと思います。
スポーツをしている方々にも参考になりますよ。

 

毎日数回体重を測定している。

トップアスリートは一日に何回も体重測定をして体調管理をしています。1
起床後の排尿後・トレーニング前・トレーニング後・就寝前…
トレーニングが1日数回ある場合は、それぞれのトレーニング前後で体重測定をしています。

トレーニング前後の体重変化は発汗による体水分の損失と水分補給量に大きく左右されます。
十分に水分補給が出来ていないと、大きく体重が減少し脱水症状を起こしてしまい、食欲を落としてしまいます。
そのためトップアスリートは、トレーニング中の水分補給は適切だったか?トレーニング量に合った食事量をとれているか?就寝前の体重測定は、その日に失った体重(特に水分量)をその日の内に食事と水分補給で取り戻しているかを確認しているのです。

トレーニング前後の体重減少は-2%以内に留めておきましょう。(3%から良くない脱水症状が起こりやすくなるため。)そして朝の体重は前日と比較して1kg未満にしておきましょう。
運動習慣の無い方は、朝と晩に体重測定をすると良いですよ。

 

食事量を落とさないという意識が大切!

トップアスリートが夏バテをしている姿を見た事がありません。1
そして、ハードなトレーニング後であっても食欲が落ちるという事はありません。
正確に言うと、食欲があまり無くても食べなくてはいけないという意識があるため、食事量を落とさないように工夫をしています。
トレーニング直後に必要な食事量がとれなかった場合は、補食で食事量を確保しています。
食事前に水分をとり過ぎると食欲が落ちると心配している選手は食事前や食事中に水分をとらないようにしています。

食欲低下の要因の一つに体温上昇が挙げられます。1

トップアスリートは、クーリングダウンとしてアイスバスやプールを使用します。
学生選手や運動習慣の無い方の場合は、水で顔や腕・足等を洗う事で、外から体温を下げるというのも1つですよ。(ヒンヤリするシートやスプレーでは体温を下げるには不十分ですね。)
洗う事が出来ない場合は、動脈が表面にある部分(脇の下・頸動脈部分・股関節部分)を氷や冷たいペットボトルを使用して冷やすのも一つです。(おでこを冷やすよりも効果的ですよ。)

 

ご飯におかずを乗せて丼風に十麺料理で食事量を落とさない。

健康を維持するための食事は “毎食に、ご飯(主食)・おかず(主菜)・野菜(副菜)1
がそろっている事”です。
食欲が落ちている時は、皿数が多いと箸が進まないので、この3つの要素をコンパクトにすると食べやすくなり、食欲も湧いてきやすくなります。(カレーライス・ロコモコ丼・タコライス・親子丼・牛丼・冷やし中華・冷やしサラダうどん・冷麺…)

トップアスリートは、ご飯の上におかずを乗せて丼風にして食べる姿を良く目に1
します。
そのため丼になりやすいおかずや野菜料理を用意するようにしています。(豚キムチ・生姜焼き・麻婆豆腐・刺身・とろろ・麻婆茄子・ナムル…)

おかずと一緒にご飯を1膳、さらに納豆やキムチと一緒にさらに1膳と、食事量を確保する選手も多いですし、ごはんと麺類と組み合わせ、味に変化を持たせる事で食べやすくしている選手もいます。

食べる側と食事を作る側、それぞれで工夫出来そうな事は見つかりましたか?
ご飯の半分、野菜の約80%が水分です。
つまり、夏ばて予防には水分補給は大切ですが、食事量を落とさない事も水分補給になるんですよ。

 

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm