レバーを毎日は×(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)
貧血にレバーが良い???
貧血対策のおかずには赤身の肉や魚・大豆製品を!
10人のお客様を従えてお散歩をしていた時の出来事です。1名とても顔色の悪い
お客様がいらっしゃったので気になっていました。
途中、人数を確認すると…9名!あのお客様がいらっしゃいません!
慌てて探してみると、と~っても遠くのスタートライン近くでゆ~っくりと、そして苦しそうに歩いていました。すぐに中断してお休みして頂きました。
血液検査をしてみると基準値の約半分のヘモグロビン量!極度の貧血でした。
そりゃー苦しいわけです。
女性に多い貧血(鉄欠乏性貧血)の対策についてお話ししたいと思います。
貧血対策には鉄分以外にもたんぱく質・鉄・葉酸・銅・ビタミンB6・ビタミンB12
・ビタミンC等をとっておきたいところです。
“貧血対策にレバー”と言われる理由には、とっておきたい栄養素にレバーが多く登場するためというのが理由の1つです。
しかしレバーには鉄分以外に脂溶性ビタミンの1つであるビタミンAも多く含みます。
ビタミンAは、緑黄色野菜・卵(特に黄身部分)に多く含まれていますが、レバーは特に多く含んでいます。
水溶性ビタミン(ビタミンB群・葉酸・ビタミンC等)は過剰
にとっても尿として体外に排泄されますが、脂溶性のビタミン(ビタミンA・D・E・K)は体内に蓄積され、過剰にとると副作用が出てくる危険性が出てきます。(子供頃、肝油ドロップ(ビタミンAとDを多く含む)を食べていた方は、1日1粒よ!と言われた事はありませんか?)
緑黄色野菜をたっぷり食べても、過剰症になるようなビタミンA量にはなかなかなりませんが、レバー50gには6,500μg(レチノール当量)が含まれており、上限量を超えてしまいます。
1日位上限量を超えても問題はありませんが貧血対策!
と毎日レバーを食べてしまうと、過剰症を引き起こしかねません。
そのため、貧血予防にと毎日レバーを食べて
は良くないのです。
私は“貧血予防にレバーを食べるのであれば週1回が目安。すでに血液検査で貧血(赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリットが基準値を下回っている)を指摘されている場合は週2回が目安”と伝えています。
レバーが苦手だという方も多いでしょう。
そのような方はレバーは食べなくてもOK。
毎食のおかずに赤身の肉・魚を選べばOK(鮭は白身魚)。
朝に料理をするのは…という方は卵や納豆・豆腐でもOK。
おかずにカツオ100g+牛もも肉(赤肉)100g+卵1個で5.5mgの鉄分をとる事が出来ます。
さらに納豆1パックで1.3mg。
そして緑葉野菜やひじきを食べたら良いのです。
小松菜(50g)+水菜(50g)+ひじき(5g)で5mgの鉄分をとる事が出来ます。
合計で11.8mgの鉄分!
牛乳の中には低脂肪牛乳で鉄分入り(正確には乳飲料)という商品もありますが、毎日登場させたい食材として鉄分入り牛乳(200cc≒鉄分3.8mg)というのも1つですね。
鉄分の吸収を阻害するものとして、リン酸塩(保存料に多く含まれている。)・
タンニン(コーヒー・紅茶・緑茶等の渋み成分)があります。
そのため、スナック菓子をたくさん食べるのは良くないと言えます。
コーヒー・紅茶・緑茶は食事前後30分だけは控えた方が良いですが、それ以外の時間帯は飲んでも問題ないですよ。
◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。