一皿食いは何故いけないのか?(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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子供の頃、お気に入りのふりかけがありました。1
テレビのキャラクターの入れ物に、ごま塩・カツオ・のりたまが入っているのですが、のりたまの減りが非常に早かった記憶があります。そして、おかずとご飯を一緒に食べていなかったと記憶しています。
なぜ、ご飯とおかずを一緒に食べないといけないのでしょうか?
その理由と子供達の声掛け例について考えてみたいと思います。

和食の食べ方の良さは、お米を中心とした食習慣にある。

パンよりご飯が良いという話は以前にもお伝えしておりますが(https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/308/)、まだまだご飯の良さはあります。

日本の食事は、今でも海外の食事に比べると理想的1
・健康的と言われています。
摂取すべきエネルギー量は年代や性別・活動量によって異なりますが、エネルギー量を構成するたんぱく質・脂質・炭水化物の割合(PFC比)に違いはありません。

右表は、運動をしていない小中1
学生と運動習慣がないそのお母様の年代の食事量の目安です。

あまり難しく考えずに、子供の年代はごはん量と共におかず量が増えてくると考えれば良いです。
一方で大人の肉や魚量は100~160g/日ですから、少ないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
(おかずとして、朝食に卵1個+昼と夜に魚か肉を1品+野菜と一緒にちょっとしたたんぱく質が入ると考えれば良い程度です。)

日本人の食事が欧米化してきた(ごはん量が少なくなり、おかずが増えてきたため)とは言え、まだまだ日本の食事は理想的なPFC比を保っています。それはご飯を中心とした食事方法にあるからです。

一方で、一皿ずつ食べる一皿食いだと、特に子供の場合はおかずを先に食べてご飯を食べる頃に、お腹がいっぱいで食べられなくなります。
また、おかずに比べて味の薄いご飯に物足りなさを感じて、ふりかけ等の塩分を一緒に食べたくなるので、塩分のとり過ぎが心配となります。そして、味を濃い物を好む傾向になり、将来的には高血圧等の生活習慣病が心配です。
ご飯をしっかり食べておかずを適量食べる事で、脂質のとり過ぎを防ぐこともできます

 

ご飯って、甘いんだよ~

子供達に“PFC比が悪くなる”“高血圧になるよ。”と言っても理解できません。1
そこで、私は子供達に“知ってる~?ご飯って甘いんだよ~。”と問いかけます。
食材の味を感じながら(=よく噛んで)食べる事で、塩味のインパクトなしに食べる事の美味しさを感じて欲しいと感じているためです。
子供達は最初“ご飯は甘くないよ~。何も味なんかしないよ~。”と話していますが、よく噛むと“甘くなってきた~!”と教えてくれます。これは、ご飯のデンプンが麦芽糖に分解されたためです。
ご飯とおかずを一緒に食べる事で自分好みの塩味に調整をし、料理の繊細の味を感じられるようになって欲しいなと感じます。

 

ご飯とおかずを一緒に食べるとさらに美味しんだよ~

全ての料理に味付けがされている場合、塩分のとり過ぎになってしまいます。
ご飯とおかずを一緒に食べる事で、口中調味を楽しんでみてはいかがでしょうか?

ちなみに、炭水化物とたんぱく質の組み合わせには味の相乗効果があります。1
そういえば、日本人の人気メニューには、ご飯とおかずが一緒になった料理(カレーライス・寿司・海鮮丼・ロコモコ丼・タコライス等)が多いですね。
のりたまやカツオ・ごま塩等のふりかけよりも、おかずの一部として鮭フレークをご飯と一緒に食べるのも1つでしょう。
“ご飯とおかずを一緒に食べると、それぞれを食べた時よりも美味しいんだよ~。”と声掛けするのも1つではないでしょうか。

いつしか、私の一皿食いの習慣は自然に直ったと記憶していますが、そのまま大人になってしまったという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
日本人の食事のマナーとして、一皿食いは見ていて格好よい物ではありません。
食事マナーという点から、そして健康的な食生活の観点からもご飯と一緒におかずを食べるよう子供達には促したいところですね。

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm