コレステロールの値が高いから、卵は控えています。は、もう古い考え(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)
我が家では、冷蔵庫に卵が無い事がありません。残り少なくなると、買わなければ!
と、ちょっとソワソワしてしまいます。
理由は、朝食のおかずに我が家では卵が欠かせないからです。
一方で、卵には色々な噂があります。その辺りについて2回に分けてお話ししたいと思います。
コレステロール値と卵の関係
『コレステロールが高いから卵は控えるように医師から言われている!』
このコメントが今では違ってきているというのをご存じですか?
卵はコレステロールが高い食材(1個50~60g≒コレステロール200~240mg)ではあります。
これまで厚生労働省は男性750mg未満・女性600mg未満というコレステロール
の摂取基準を設けていましたが、日本人の食事摂取基準(2015年)では、コレステロールの摂取基準を削除しました。その理由は、食事からのコレステロール摂取が直接LDLコレステロールを上げる事につながらないと今の所結論づけているからです。
体内のコレステロールの内訳は、食べた物20%・体内で合成された物80%。
そして、体内のコレステロールを一定に保つように肝臓が調節しています。
毎日、卵1~2個を1~2か月食べ続けてもコレステロールが上がらないという結果があります。しかし食材からのコレステロールの吸収度合いには個人差があるので、たくさん食べても良いという訳ではないので注意しましょう。
日本人の食事摂取基準(2015年版)と健康な食事の基準作りの状況
厚生労働省健康局 がん対策・健康増進課 栄養指導室 P.30
上記の表からもお分かりのように、コレステロールの過剰摂取はLDLコレステロールを上げてしまう要因の1つではありますが、それ以上に野菜からの食物繊維不足・運動不足・魚より肉を食べる・バター等の摂取が多い等の要因も組み合わさっているので、単純に卵を食べる量を減らしてもコレステロールが減る訳ではないという事です。
私の考えでは、卵はおかずの1品として考え、朝に卵料理・昼に肉料理・夕に魚料理と考えれば良いのではないかと考えています。
卵の黄身まで食べて欲しい。
卵黄の脂質量・コレステロールが多いからと捨てている方がいらっしゃいますが、私は『捨てなくても良いのでは?』と感じます。
卵白は、卵黄に比べて脂質が少なくたんぱく質が多く含まれています。
一方で卵黄は、卵白に比べて脂質は多いですが、たったの5g。
牛乳を低脂肪や無脂肪乳に変える・ドレッシングはノンオイルドレッシングにする・パンにバターやマーガリンは使わない・揚げ物より焼き物を選ぶ…という事で簡単に脂質を控える事が出来ます。
卵黄にはビタミンA(風邪予防のビタミン)や鉄分が含まれています。一方で卵白には含まれていません。
コレステロールが気になって、卵を敬遠されている方も、是非朝のおかずに卵料理を食べてみませんか?野菜たっぷりの食事やウォーキング等の有酸素運動もお忘れなく!
◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。