朝取り野菜は美味しいか?(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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地元野菜が売っている販売店を見かけると、フラーッと立ち寄るのが楽しみです。1
スーパーではあまり見かけない珍しい野菜や新鮮で美味しい野菜に出会えるからです。
“朝取り野菜!”と銘打って販売している野菜は、朝露が光り、瑞々しくて美味しい!と勝手に思っていたのですが、改めて考えてみると、そうなのか?と気になって調べてみました。

朝取りのメリットとは

通常、午前中に収穫された野菜は午後に出荷準備を行ない、夕方にトラックに1
積まれて翌日の朝に青果市場に行き、昼ごろに店頭に並びます。市場を通さない場合は、次の日の朝に店頭に並びます。
朝取り野菜は、早朝、まだ暗いうちに収穫をして、出荷準備をして昼前にトラックに積まれて、夕方に店頭に並びます。
朝取り野菜は、そうでない野菜と比べると約1日の時間差があるため、1日分新鮮と言えます。そのため、とってすぐに食べた方が美味しい野菜は朝取りの方が美味しいと言えます。

果菜類は朝取りが美味しいが・・・

野菜の美味しさは、アミノ酸や糖分によるものです。1
日中、太陽光で光合成をし、葉で作られた糖分・アミノ酸・ビタミン類が夜間に果実に運ばれるため、果菜類は朝が1日の中で最も美味しいです。
果菜類の野菜は、トマト・トウモロコシ・茄子・ピーマン・瓜・胡瓜・冬瓜・オクラ・ゴーヤ・シシトウ・ズッキーニ・大豆類・カボチャ、果物だとスイカ・イチゴが代表的です。
枝豆・トウモロコシは、収穫してすぐの方が美味しというのは有名ですよね。
また、ブロッコリー・カリフラワー・アスパラガスも朝取りの方が美味しい野菜です。
カボチャは、収穫してしばらく熟成させているため、朝取りを謳う事はなさそうですが、朝取りの方が糖分が多く美味しいという事になりますね。

さて、ちょっと待ってください?葉野菜(葉菜類)は、どうなるのでしょう?
ちょっと疑問に思い、調べてみると…
『朝取りホウレンソウは新鮮か?(農文協)』の著者 相馬暁さんは“朝取りトマトはいざ知らず、朝取りホウレンソウは、じつは朝帰りの遊び疲れたコギャルである。”と表現してあり、大笑いしてしまいました。
この本では、夕方の4時頃に一番ビタミンCが多く、糖分は13~16時が多く葉に1
蓄えられ、夜間は成長に使われ、朝は一番ビタミンCや糖分が少ないと書かれてありました。
という事は、ほうれん草・キャベツ・小松菜・チンゲン菜・ニラ・白菜・レタス等の葉菜類は夕取りの方が美味しいという事ですね。

私は小さなベランダで、時期によって色々な野菜を育てているのですが、野菜に1
よって、収穫時間を変えてみようかなと思いました。
今育てているのは、はつか大根。大根を優先させるなら朝、葉っぱの美味しさを優先させるなら夕方でしょうか?
なんだか朝取り野菜のイメージ、変わりませんか?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm