たんぱく質20gはどの位の肉や魚なのか?(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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筋肉量を増やすに食事が出来る事は“今よりご飯+おかず・乳製品を食べる”です。1
毎月栄養セミナーを開いていた某学生アスリートチームで、細身だったマネージャーの顔が1ヶ月で急に真ん丸になっていて、明らかに体脂肪が増えていました。理由を聞くと、サプリメントのプロテインを飲んだと言うのです。それもウエイトトレーニング無しで・・・
“筋量アップにはプロテイン!”と過剰に思っている方が多いのが気になる今日この頃です。
私なら、ウエイトトレーニング後に、すぐに食事が出来る環境があると理想的。それが難しいなら“まずは牛乳” さらにたんぱく質量を増やしたいなら“牛乳+プロテイン”ではないかなと感じます。そのため、チームでプロテインを用意する前に、冷蔵庫を準備して牛乳を飲める環境づくりをして欲しいなと考えています。中には“ウエイトトレーニング後にプロテインを飲んだから、食事が食べられない”と呟く学生アスリートがいますが、それは本末転倒なのではと感じます。

”運動をしているから・・・”とプロテインは必要か?

スポーツ栄養の本には“一般人に必要なたんぱく質量は1g/kg・アスリートは1
2g/kg”“筋トレ後、なるべく早いタイミングでたんぱく質をとる。(昔は、30分以内と言いましたが、現在はなるべく早く!がポイントです。)”と記載があります。
どの位のトレーニング頻度や量がアスリートとして考え、たんぱく質を多くとるべきなのでしょう。必要なたんぱく質量は、トレーニング頻度や強度別に、もう少し詳しく分類されています。

ウエイトトレーニングの時期によっても、変化1
するのがお分かりでしょう。
そのため、一年中同じプロテインを同じ量とり続けているというのは、食生活を見直した方が良いかもしれませんね。

週4~5回・1回30分の低~中強度の運動は、トレーニング習慣がない方と同じですね。

前回のコラムで、運動頻度や量が増えると消費するエネルギー量が多くなるので、それに伴ってたんぱく質量も増えるというお話をしましたが、難しく考えず、体重や体脂肪率をコマ目にチェックする事で、今の食事量がトレーニング量に合っているのかを確認すると良いでしょう。
プロテインの前に“今より、ご飯+おかず・乳製品を食べる”です。そして、体脂肪を増やさずに筋量を増やすには食べるタイミングにポイントがあります。
朝食を増やす。
  ⇒午前中の補食を増やす。
    ⇒昼食を増やす。
      ⇒午後のトレーニング前に補食を増やす。
        ⇒トレーニング後の補食を増やす。
          ⇒夕食を増やす。
最後に夜食を検討すると良いです。
食事量が少ないと、現在飲んでいるプロテインは筋肉にならずエネルギー源になっているかもしれません。プロテインを飲み始めたら体脂肪が増えたという場合は“トレーニング量<食事+サプリメント量”とつりあっていないかもしれません。

たんぱく質20gをとるために出来る事

プロテイン商品によって1回当たりのたんぱく質量は様々ですが、20gが1つの目安になります。
ある日、学生アスリートに『たんぱく質20gって、肉や魚にすると、どの位になると思う?』と質問をしたところ『600g!』と返事がありました。サプリメントのプロテインを飲むと、たんぱく質がいっぱいとれる!そして確実に筋肉になる!と過剰に思っている選手にありがちな返答です。プロテインを飲んでも良いとは思いますが、飲んでいるサプリメントから、どの位のたんぱく質がとれていて、食材では何があるのかを知っていて欲しいなと思います。

肉や魚の部位によって厳密にはたんぱく質量は1
異なりますが、約100gでたんぱく質20gがとれると思っていたら良いです。
生姜焼き用の豚ロース4~5枚が100g。
サケの切り身なら、約1枚が100g。

朝食のおかずを今より1品多くする事はできないか?
牛乳を3杯分、1日の中で増やす事は出来ないか?
等、簡単な事でたんぱく質を増やす事はできないかと検討するのも1つです。

表を参考に、体重70kgで運動をしていない方1
としている方の食事を考えてみると・・・
運動をしていない方に必要なたんぱく質は56~70g/日。
筋トレをしっかりやり始めた初期の方は105~119g/日です。
無理なく食べる事が出来る量ではないでしょうか?

たんぱく質は、まとめてとるよりも、コマ目にとった方が筋肉になりやすいので、3食を食べる以外に間食に乳製品をとるというのも1つですね。

プロテインを選ぶ際には、私はこう伝えます。
『1つの会社から複数の商品があり、必ずすみ分けがあります。そして、商品名やその近くに記載がある文字に惑わされず、栄養成分を確認しましょう。』

サプリメントを過信せず、トレーニングと食事の両面から、自己管理できる選手になって欲しいなと考えています。

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm