スポーツをする方には、ビタミン類を多くとる必要がある!(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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小学生の時に使用していた家庭科の教科書の表表紙の裏に、五代栄養素のイラ1
ストがあり、ビタミンは“身体の調子を整える”と記載してあったように記憶しています。
子ども心に『分かるような分からないような…どのように調子を整えるのか?』と疑問に思ったものです。
ビタミンについて知っている事は何ですか?と学生アスリートに質問すると、ビタミンCという名前は出てくるものの、それ以外のビタミンやその役割を知らないというケースをよく目にします。どうりで、ビタミン不足の学生アスリートが多い訳です…
今回は、アスリートがちょっとしたことで実践できそうなビタミンの話をしたいと思います。

水溶性ビタミンは、体内に貯める事が出来ない!だから、毎食に補いたい。

身体に不可欠なビタミンは13種類が挙げられます。(下表参照)
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ビタミンには水に溶ける水溶性ビタミンと油に溶ける脂溶性ビタミンがあります。水溶性ビタミンは、体内に貯めておく事が出来ないため、毎食からとっていく必要があります。例としては、栄養ドリンクやビタミン剤を飲んだ後、尿の色が濃くなりますが、これはビタミンB2の色です。
人参やほうれん草を油で炒めると、皿にオレンジや緑の油がつきますが、これが脂溶性のビタミンです。脂溶性ビタミンは体内に貯める事ができるため、とり過ぎると過剰症が起こります。
                                              (レバーを毎日は×https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/1900/

ビタミンB1は積極的にとりたい。だから玄米を取り入れると良い!

水溶性ビタミンの中で、アスリートが特に気にしたいのがビタミンB1です。
アスリートはエネルギー消費量が大きいため、エネルギーを生み出すのに欠かせないのがビタミンB群です。中でも炭水化物の代謝の補酵素として働くビタミンB1は欠かせません。ビタミンB1が欠乏した食事が続くと、最大酸素摂取量の低下を起こすという研究結果もあります。又、お菓子やジュース等、砂糖を多く含む食品にも注意が必要です。糖分のとり過ぎは、ビタミンB1の欠乏を招いてしまいます。

アスリートのビタミンB1の目安量は、1,000kcalあたり0.60~0.80mgと考えてい1
ます。つまり、消費するエネルギー量が多いアスリートほど、ビタミンB1の必要量が増えるという事です。
ビタミンB1を多く含む代表的な食品は豚肉です。 毎日・毎食、豚肉を食べるわけにはいかないので、毎食に無理なく取り入れる事ができる食品として、玄米を取り入れるというのは、いかがでしょうか?
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男子高校生を例に考えてみると…
        例)男子高校生アスリートに必要なエネルギー量 : 約3,000~3,500kcal/日
                                                                                    ⇒ ビタミンB1の目安量 1.80~2.80mg/日
            ご飯の目安量300g/食⇒900g/日= 玄米100%にした場合、ビタミンB1 1.44mg/日
                                                                = 白米2:玄米1にした場合、ビタミンB1 0.60mg/日
                                                                = 白米100%の場合、ビタミンB1 0.18mg/日

玄米100%でなくても、1/3量を玄米にするだけでも良いです。1日に必要なビタミンB1の1/3をご飯から補給するだけでも、不足しづらくなります。

野菜の1/2は緑黄色野菜を!

表を見ると、緑黄色野菜は色々なビタミンを多く含む事が分かります。1
健康と言う観点で“野菜は350g以上/日が必要で、その内1/3以上は緑黄色野菜を食べましょう”と言われています。アスリートの場合は、必要なビタミンの量も増えてくるため、1/2以上は緑黄色野菜を!と考えると良いでしょう。
野菜は必要量をとっていれば、ビタミンCが不足する事はありません。不足しやすいのは風邪予防に役立つビタミンAです。
アスリートに必要なビタミンを全て野菜からとるのが難しいという場合は、350gは食材から、残りは野菜ジュースというのも1つです。ただし、野菜ジュースだけで終わらせてしまうのは良く無かったですよね。
                                                      (野菜はタワシhttps://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/101/
                      (果物は野菜の代わりにならない…https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/1510/
野菜ジュースを選ぶ際には、緑黄色野菜が多く含まれている(ビタミンA・もしくはβカロテンを多く含む)商品を選ぶと良いですよ。

ビタミン類は、エネルギー源にはなりませんが、まさに身体の調子を整えるものです。風邪をひきやすい・足がつりやすいというアスリートは野菜不足の方が多いように感じるんですよね…

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm