豆まきと鬼(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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2月3日の節分に豆まきをされる予定ですか?1
幼稚園で鬼のお面を作ったり、自宅では豆まきをしたり…私も子供の頃に、1つの行事として楽しんだり、鬼の姿に泣いてしまったという思い出があります。
節分について調べてみました。

 

節分は季節の分かれ目である。

元々、節分は季節の分かれ目を表す言葉で、立春(2/4頃)・立夏(5/7頃)・立秋(8/7頃)・立冬(11/7頃)の前日が節分です。
日本では、冬から春を1年とし、立春を1年の始まりと考え、特に重んじていたため、春の節分を特に“節分”と言うようになりました。

豆まきで、邪気を祓う。

豆まきは、平安時代に中国から伝わりました。1

平安時代、大晦日の夜に宮中で陰陽師が豆をまき、1年の鬼を祓って新年を迎える“追儺(ついな)”という行事でした。
それが室町時代、春の節分に豆をまき鬼を祓う行事と変わり、民衆にも広まりました。

悪魔のような鬼の目“魔目(まめ)”目がけて豆を投げると“鬼滅(まめ):魔が滅する”とされ、無病息災を祈った行事です。

地域によって、ご家庭によって豆まきの方法は異なりますが、一般的な方法は以下の通りです。
①炒った大豆である福豆を用意し、まく前に豆を升に入れて神棚にお供えする。
    ⇒生豆だと拾い忘れた豆から芽が出て縁起が悪いため、炒った豆を使用する。
    ⇒“炒る”と“射る”をかけて、鬼を封じるという意味がある。
    ⇒新潟県のある地方では落花生をまく所がある。
②夜に豆まきをする。
    ⇒鬼は夜に出てくるため。
③家長もしくは年男・年女が豆をまく。
    ⇒神社仏閣で、大相撲力士等の有名人が豆まきをするイベントもある。
④窓や玄関を開け『鬼は外!』と3回言いながら豆をまき、すぐ窓や玄関を閉める。その後、『福は内!』と3回言いながら部屋の中で豆をまく。
    ⇒外から家の中に向かって『福は内!』と言いながら豆をまくという説もある。
    ⇒鬼を祭った神社や鬼の名前が付いた地域・家庭では、鬼を悪と見なさないため“鬼は内、福は内”
        と叫ぶ所もある。
⑤まいた豆は、厄除けを願って無言で数え年(満年齢+1)の数を食べる。
    ⇒豆が多すぎて食べきれない場合は、茶碗に豆を入れ、熱いお茶を注いだお茶“福茶”を飲んでも
        良い。福茶の作り方は色々ある。
    ⇒妊婦のいる家庭では、この豆を安産のお守りにするところもある。

豆まき以外にも、鬼を祓うための“焼嗅(やいかがし)”を戸口に立てておくご家庭もあるでしょう。焼嗅は、鬼が嫌うヒイラギの枝(とげが鬼の目を刺すため、鬼が入る事が出来ない)に、イワシの頭を刺した(イワシの臭いが臭く、鬼が近づかないから)物です。

鬼~のパンツは、良いパンツ~♪

幼稚園で、こんな歌を振付付きで歌ったという方はいらっしゃいませんか?

鬼のパンツは良いパンツ 強いぞ 強いぞ
虎の毛皮で 出来ている 強いぞ 強いぞ
5年履いても破れない 強いぞ 強いぞ
10年履いても破れない 強いぞ 強いぞ
履こう 履こう 鬼のパンツ
履こう 履こう 鬼のパンツ
あなたも 私も あなたも あなたも
皆で履こう 鬼のパンツ
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子供ながらに“なんで虎の毛皮で作っているのか?”“強いパンツが良いパンツなのか?”と不思議に感じながらも、ノリノリで歌っていました。
虎の毛皮にも意味があるようです。

元々、鬼は姿の見えない災いのような悪い事を表していました。
陰陽五行説の思想から“鬼は毛むくじゃらで身長が高く、赤や青色の皮膚をして、筋肉質で丑寅の方角から来る”と具体的な表現をするように変わったそうです。
鬼の出入りする方角は鬼門である“北東”で、この方角は十二支で言うと“丑・寅”の方角に当たるため、鬼は“牛の角”を持ち、“虎のパンツ”を身につけていると描かれるようになったそうです。

子供達に『豆まきって何?』と聞かれたら『新しい1年・春を祝うために、悪い事を祓って元気に過ごせるための行事だよ。』って答えたら良いって事ですね。

きな粉は炒り大豆を粉砕した物です。福豆が余ったら、すり鉢やミルを使ってきな粉にしたら良いですよ。餅に絡めて・牛乳に混ぜて・ホットケーキミックスに混ぜてパンケーキに・トーストにきな粉+蜂蜜をつけて・クッキーに・ヨーグルトに混ぜて…美味しく頂きましょう。

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm