おはぎとぼた餅(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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彼岸花を畦道や川の土手で見かけるようになると“お彼岸か~”と感じます。そして1
“おはぎ”か~と連想します。
また“おはぎ”が大好きな某有名プロサッカー選手を思い出します。又、クラブハウスでの食事で“おはぎ”が登場すると、選手たちは『僕は、粒あん派!』だの『こしあんの方が好きだ!!』と、意見を交わしていた事も思い出します。
皆さんは“おはぎ”と言うと、どのような思い出がありますか?また、どのような“おはぎ”を思い浮かべますか?

お彼岸は故人への想いが一番通じやすくなる日

仏教では、東を“此岸(しがん)”と言って私達が生きている世界であり、西を“彼岸”1
と言って故人の世界と考えられています。
秋分の日・春分の日は、昼と夜の時間がほぼ同じになる日です。太陽が真東から昇り、真西へ沈む日のため、彼岸と此岸が最も通じやすい日になると考えられ、この時期に先祖供養をするようになりました。
ちなみにお盆は先祖を此岸に迎えるのに対し、お彼岸はこちらから彼岸に近づくという日です。
秋分の日を中心に前後3日間の計7日間が、秋のお彼岸ですが、今年は9/23が秋分の日のため、9/20~26がお彼岸です。

秋のお彼岸に“おはぎ ”春のお彼岸に“ぼた餅”

小豆は縄文時代の古墳から発見されるほど、昔から食べられていた食材だったようです。
古くから“”は邪気を祓う色とされていたため、小豆は先祖供養の意味や祝いの席・儀式の際に“あんこ”や“お赤飯として捧げられていました。(お赤飯の話は、また別の機会に)
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“おはぎ”も“ぼた餅”も基本的に同じ材料で作りますが、呼び方は諸説ありますが(上の表参照)、地方性は特に無いようです。又、一年を通して“おはぎ”と呼ぶ場合もあります。
私は一年を通して“おはぎ”と呼びます。イメージするのは、粒あんで、うるち米が多めに使われていて、ご飯は半殺し(粒が少し残っている状態)のですが、皆さんはいかがですか?

試合当日には、こしあんがお勧め!

地方によって、粒あん・こしあんの人気は異なるようで、西は粒あん・東はこしあん1
が主流のようです。
関東でお汁粉と言えば、“こしあん・粒あんの両方”を指しますが、関西ではお汁粉と言えば“こしあん”、ぜんざいと言えば“粒あん”を指します。(関東では汁気の少ない物を“ぜんざい”と呼ぶ。)

粒あん:茹でた小豆を粒のまま砂糖を加えて煮た物。
こしあん:茹でた小豆から皮を取り除いた物に砂糖を加えて練り上げた物。

皮があるという事は食物繊維が多いという事ですが、食物繊維が多い方が“消化に時間がかかる”もしくは“腹持ちが良い”と言えます。
冒頭にお話ししたプロサッカー選手達の“粒あん派・こしあん派” 論争に居合わせた時に、私はこう答えました。
『普段や試合前日なら、好きな方を食べれば良いのでは?と思いますが、試合前の素早いエネルギー補給をしたい時なら“こしあんの方が良いのでは?と思いますよ。 』
学生アスリート(特に持久力が試合の後半に大切となってくる種目)には、さらにこう付け加えます。
『普段通りの3食をしっかり食べた上でのデザートの位置づけで、炭水化物の後押しとしての和菓子ですよ。』

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm