すもも色々

河谷彰子タイトル124

茨城県にお住まいの方が『バタンキョウを食べたよ。』とお話しされてい1
たので、『バタンキョウって何ですか?』と質問すると、『筑波(茨城県)の辺りでは、プラムをそう呼ぶのよ。』と教えてくれました。
調べてみると巴旦杏と書き、呼び方はバタンキョウの他に、ハッタンキョウ・ハッタンキョ・バタンキョ・ハタンキョウ等があるようでした。そして、巴旦杏はすももの1種と記載がありました。バタンキョウ・すもも・プラム?
夏の果物として、すももやプラムが好きな私は気になって調べてみました。

すももとプラムは同じ!

すももを英語では“プラム”、フランス語では“プルーン”と呼びます。つまり、巴旦杏=すもも=プラムという事です。驚きです。確かに“すもも”も“プラム”も、植物学的には同じ分類です。
すももには、日本すもも・アメリカすもも・西洋すももがあります。
巴旦杏が本来どの品種を指す果物なのかは分からなかったのですが、昔から呼ばれている呼称だとしたら、日本で昔から食されている種類なのかな?と想像しました。

日本すももは元々中国原産で、奈良時代(弥生時代という説もあり)に伝わってきました。すももは漢字で“李”と書き、古事記にも登場しているようです。
当時の日本では、酸っぱすぎる桃(だから“すもも”)のため、観賞用として楽しまれていたようです。19世紀後半にアメリカに渡ってアメリカの品種と交配され、日本に戻ってきてから栽培されるようになったそうです。
現在日本でよく食べられている日本すももには、下記の通りです。
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表内で色付けした品種は、アメリカすももや西洋すももと交配されていないと考えられる純粋な日本種と想像できる品種です。
作付面積が大きい上位は、1位大石早生(約35%) 2位ソルダム(約20%) 3位太陽(約10%)で、産地は1位山梨県 2位長野県です。収穫時期が短い理由の1つには、栽培されている場所が少ない事にあります。

西洋すももはヨーロッパ・コーカサス原産で、ローマ帝国の書物に登場1
するほど、古くから食べられていたフルーツです。日本では一般的に“プルーン”と呼ばれています

日本へは明治時代に伝わったようです。プルーンは雨に弱いため、日本での栽培はなかなか定着しなかったようです。そのせいなのか、プルーンというと、まず輸入のドライフルーツを想像する方も多いのではないでしょうか?今では品種改良により、日本でも栽培されています。
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作付面積が大きい上位は、1位サンプルーン(約30%) 2位シュガー(10%強) 3位スタンレー(10弱)だそうです。また、産地は1位長野県 2位北海道です。
プラム(プルーン)は店頭では種類の記載がないため、種類を気にした事が無かったのですが、これからはどの種類かを想像しながら味わってみたいと思いました。

巴旦杏を食べたと教えてくださった時期が7月上旬のため、日本で一般的にプルーンと呼ばれている果物でない事は確かなようです。そこで“きっと、大石早生か貴陽を召し上がったのでは?”と想像しています。

ちなみに、含まれている栄養素を比較しようと思ったのですが、すももの種類が多いためか、日本すももとプルーンしか、日本食品標準成分表には掲載されていませんでした。
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プルーンと言えば鉄分が多いフルーツとされますが、生の状態では鉄分が多い食材とは言えませんね。乾燥させると水分が抜ける為、鉄分量が多くなりますが、その分糖分量も多くなるため“貧血対策にドライフルーツのプルーンを!”と食べ過ぎれば、中性脂肪が上がってしまったり、体重増加につながったりしてしまいかねませんのでご注意を。
成分表の情報が少ないため、説明しづらいのですが…
酸味はクエン酸やリンゴ酸です。暑さで食欲が落ちた時に、酸味でさっぱりと食べられるデザートとして良いのではないでしょうか。
赤・紫色の濃い品種はアントシアニンのような抗酸化物質が多く含まれていると想像できます。
表面についている白っぽいものは、“ブルーム”と言って、乾燥を防ごうと果物自身が分泌した蝋で無害です。

すももジャム

ある年、梅の実の収穫が終わった頃に『我が家にすももが食べきれない1
程生っているから、とりにおいで~。早く来ないとハクビシンに食べられちゃうよ~。』と声をかけて頂いた事があります。
それでは!と梯子を担いで、収穫した事があります。
1本の木から、スーパーのビニール袋で2~3袋も収穫できたので、ジャムにしました。
ポイントは、皮ごとジャムにする事です。
すももの皮を剥いてしまうと、味がぼやけてしまい、スモモらしさが無くなってしまいます。
ジャムを作る際には、酸味を加えるためにレモン汁を入れる事がありますが、すももの酸味が十分あるので、私はレモンを使用しませんでした。

  1.完熟すもものヘタを取り、周りを洗って、半分に切る。(種は取らなくても良い。)
  2.すももの重量の1/4位の砂糖(スモモの甘さにもよる。)を1にふりかけ、水分が出てきたら
      弱火で煮る。味見をして、甘味が足りないようであれば、砂糖を足す。
  3.アクを取りながら煮詰め、とろみが出てきたら出来上がり。
      種が気になる場合は、種を取り出して容器に保存する。

色々と調べていく内に、果物コーナーですもも・プラムが気になり、これまで購入した事のない種類を試してみたくなりました。
皆さんは、どの品種の巴旦杏が一番お好きですか?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm