コロナ禍1年で気づいた私のアスリートサポート方法の変化

河谷彰子タイトル123

この一年、随分と私の仕事の仕方、選手のサポート方法は変わりました。
その中で気づいた事や、今後も継続して実施したら良いのではないか?と感じたことについて触れてみたいと思います。
 
 
・1回目の緊急事態宣言中、もっともジュニアアスリートからの食に関する質問が多かった。 
 2020年の緊急事態宣言中は学校もお休み、部活やチーム活動もしばらくお休みでしたよね。そんな中、ジュニアアスリートはこれまで経験したことのない位、所属チームでのトレーニング時間が失われ、トレーニングをするとしたら自主練だけ…。所属チームによっては、早い時期からトレーニングの指示をされるところもありましたが、指示がないチームもありました。
 意識が高い選手は、生活リズムを変えずに普段と変わらず起床し、朝食をとり、勉強をし、出来る範囲でのトレーニングを実施し…。一方で、起床時間は既に朝でない時間になって、朝食も食べずに…という学生の方もいらっしゃったでしょう。
 これまで経験したことのない位、自分のコントロール下にある時間が増えたせいか、自分の身体・パフォーマンス向上に対し出来ることはないか?と考えたのか、食に関する質問をしてくれた選手がサポートしている選手には多く、今できる事の1つに食からのサポートが果たせる役割が大きいのではないかと感じた去年の春でした。
 そのため、私は〝こんな状況だからこそ、食に関するセミナーをウェブでやりませんか?〟と積極的にチームに問いかけました。

・インターネットの可能性は大である。 
 私にとっての密なコミュニケーションツールの1つは飲食を伴う交流ですが、それがなかなか出来ないこの1年…。
 元々、人とのコミュニケーションツールの中に、インターネットを私はカウントしていませんでした。連絡手段ではあるけれど、議論をするなどの密なコミュニケーションが出来るものとして捉えていなかったからです。
 今では、毎日のようにウェブカメラ越しに、色々な方々とコミュニケーションをとっています。
 ウェブを使ったセミナー個別カウンセリング、そしてトレーニング、そして海外の選手との交流会まで!
 パソコンを使いこなせるチームスタッフに教えてもらいながら、私自身のインターネット活用術を身につける1年でもありました。

 慣れないウェブでのコミュニケーションなだけに、初めは戸惑う事も多かった私ですが、ツールの使い方や対面とは違う相手からの情報量を補うために試行錯誤をしています。
 例:表情が読み取りにくいからこそ、意見や感想を言ってもらう機会
   を増やす。
   複数人であれば、議論の場や情報交換の場を増やす。

 今までは、チームの練習場所へ出向いて、セミナーやカウンセリングを実施していたのですが、ウェブで実施するようになって、直ぐに気づいたメリットがありました。それは、セミナーやカウンセリングに親御様が出席しやすいということです。
 特にジュニア期では、食環境について大人の影響力が高く、協力をしていただけると嬉しい場面は多いです。
 いつもやってもらっているから言いづらいという選手も、親子で実施した方が良い理由を知り、選手自身ができる事・やった方が良い事+ご家族の無理なくできる協力について一緒に考える事が出来たことは、とても良かったと思います。
 また寮住まいの選手と実家の親御様が別々の場所から、一緒にセミナーやカウンセリングに参加することができ、仕送りをするなら、これが嬉しいという私からのリクエストをお願いしたこともあります。
 トレーナーさんやコーチにも同席していただき、パフォーマンス面・トレーニング面と一緒に食事が後押しできる方法は、これがあるのではないか?というアプローチができたのも、とっても良かったと感じています。

 選手からも、普段のトレーニングより、よりチームメイトの事を知ることができた・他の選手の色々な情報が刺激となり、自分の行動が変わったという嬉しい感想を耳にします。私の中で、ウェブを使用した選手サポートは、今後も必需品となりそうです。

 

 

◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・アカデミー(男女)栄養アドバイザー
湘南ベルマーレ育成 栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm