鏡餅には神様が宿っている!

河谷彰子タイトル123

 1/11は鏡開き。
 年末年始に家の近所を散歩していると非常に気になる光景を目にしました。
 あるお店の脇、奥行15cmの歩道との隙間の砂利の上に、サンタ・雪だるま・鏡餅等のフィギュアが並んでいました。
 う~~ん… 何とも言えない気持ちになりました。
 クリスマスとお正月が一緒になっているためではありません。
 皆さんは、どのように感じますか?

鏡餅をお供えするのは12/28がベスト。

 お正月は歳神様を家にお迎えし、祝う行事です。
 歳神様とは先祖の集合霊で、その年の家族の健康や五穀豊穣を約束してくれるために、年初めに訪れます。
 正月飾り(門松・しめ飾り・鏡餅)は、歳神様を歓迎するために準備します。
 お正月の準備は地域によって異なりますが、関東12/8から、関西12/13からで、12/28迄には済ませます。
 そして、お供えするのは末広がりの〝八〟の日が良いとされています。

 29日は〝二重苦〟というゴロから避けておきたい。
 30日は、旧歴では晦日と言い、月の最後の日を意味するため、31日と同様の扱い。
 31日は〝一夜飾り〟と言われ、忌み嫌われている。
 歳神様をお迎えするのに、前日に慌ただしくしているのは失礼であり、葬儀の飾りが一夜限りである事を連想させ、縁起が良くないとされています。

 そして、鏡餅は鏡開きの日(一般的には1/11)までお供えします。

鏡餅をどこにお供えするか?

 一般的に、鏡餅をお供えする場所は…
 〝大きく立派な鏡餅は、床の間や玄関〟
 〝少し小さなものは仏壇や神棚〟
 〝小さな物を台所・家族の部屋の大事な場所に〟
どの場所も、火の神様や水の神様等、家の中の神様を祀る場所です。

鏡餅の起源

 鏡餅が丸い理由は、その昔、鏡が丸かったことに由来します。
 弥生時代には青銅の丸い鏡が三種の神器の1つでした。
 鏡は日の光を反射し太陽のように光る事から、太陽の神様〝天照大神〟に見立てられ、神様が宿る物とされていました。
 また、餅は稲の霊が宿るものとして神にお供えされていたため、餅を鏡状に丸くして、歳神様の宿った物としてお供えするようになりました。
 大小の丸い餅を月と太陽の陰陽を表し、福徳が重なり縁起が良い・めでたい年を重ねる等の意味が込められています。

 上に乗っているのは、みかんではありません。〝橙〟です。 代々、家が続くという願いが込められています。青い実が冬になって赤みを帯びた黄色に熟した後、落ちずに枝についたまま、翌夏には緑色の生まれたてのような色に戻り、一度生ると4~5年以上落ちません。古い物が枝についたまま、新しい実が生っている様から、長寿・繁栄を願っています。

 鏡餅の下には、大型のシダの〝裏白〟があります。
 表面は緑、裏面は白色です。心に裏が無い・清廉潔白、白髪になるまでと長寿を願ったものです。裏白は、古い葉が落ちずに新しい葉が重なって増えるため、橙と同様、繁栄の願いが込められています。また、葉の模様が対になっているので、夫婦仲睦まじく相性の良いことを願ったものでもあります。

 鏡餅の上には〝昆布〟があります。
 昔は昆布を〝広布(ひろめ)〟と呼び、また蝦夷で獲れるため〝夷子布(えびすめ)〟と呼ばれ、七福神の恵比寿にあやかり、福が授かるという意味が込められています。
 また、昆布はお節の昆布巻きと同様、〝喜ぶのコブ〟〝子生(こむ)=子供が生まれる〟にかけています。

 昆布と橙の間には〝干柿〟があります。
 柿は縁起の良い長寿の木です。また〝幸せをかき集める。〟〝嘉喜(かき)=喜びや幸せが来る。〟等とかけています。そして柿を外側2つずつ、内側に6個串に刺しており、〝外はニコニコ、中(仲)むつまじく〟にかけています。さらに、干柿は〝渋柿でも修練の末には、床の間の飾りにもなる!〟という意味を表しています。

 これらを〝三方〟に大事にお供えしています。
 それにしても、これを考えた方って、どんな方だろうと気になってしょうがありません。今の形になるまでには、色々な経緯があるのだろうなと気になります。

 私がモヤモヤした理由は、本当のお餅でない鏡餅型のフィギアであろうと、歳神様が宿っているとされる鏡餅を、砂利の上・それも交通量が多く、砂ぼこりがかかりまくる場所に置いてある事に違和感しかなかったのです。

鏡割りではなく鏡開き!

 お正月の間に、歳神様が宿っている物としてお供えしていたものですから、包丁で切ってはいけません。刃物で鏡餅を切る事が切腹を連想させるため、それを避けるためです。鏡餅を切る・割ると表現せず、開くという表現には意味があるのです。
 お供えしていた歳神様の宿る鏡に見立てた餅を下げて、開き、歳神様をお見送りし、そのお餅をいただくことで、歳神様の恩恵をいただきます。

 12/28~1/11の約2週間お供えしてあったので、鏡餅は乾燥によりひび割れし、カチコチになっていますが、木槌や手で開きます。それをお汁粉・お雑煮・揚げ餅などにしていただくのが一般的です。

 幼い頃、なんでこんな固くなってしまったお餅を食べなくてはいけないのだろう?と感じた事がありましたが、神様のパワーをお裾分けしていただいているのか~と知ると、気持ちも変わります。

 知らないと、気にならない。でも、知ると気になる。
 マナーもそうですが、気になると知って欲しい!と感じます。
 行事食は、特に色々な願いがこもったものであるからこそ、それを知っておきたいなと感じます。
 皆さんは、どのように感じますか?

こちらも併せてご覧いただければと思います。

 

 

 

 

◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・アカデミー(男女)栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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