睡眠時間は何時間?何時就寝?何時起床?朝食は?

河谷彰子タイトル123

最近、コロナ禍でメンタル面が不調な(だった)学生の話をよく耳にします。
不自由な生活が2年も続けば、そうなりますよね…。
外出不足が活動量低下につながる。オンライン授業が増え、ヒトとの直接の交流が減る。通学等の移動時間が少なくなり、夜更かしすることが増え、朝食をさらに食べなくなる。
良くない行動のそれぞれが悪くつながってしまった結果、心と身体の健康を害してしまう…。
自分でコントロールできる事から、少しずつ気を付けておくことが体調管理に大切なのでは?と感じます。そして、ちょっとしたポイントが夜から朝にかけて詰まっていると感じます。

〝The brain structure and genetic mechanisms underlying the nonlinear association between sleep duration, cognition and mental health. 〟
今年4月に出版された〝Nature Aging〟の論文のタイトルです。概要には、以下の事が書かれています。
  中高齢者では、睡眠時間・精神疾患・認知症が相互に密接に関連している。
  中高齢者では、睡眠時間は7時間が最適かも。
  睡眠時間不足・過剰の両方が、認知機能の低下と有意に関連している。
どれも気になるキーワードです。この研究では38~73歳の成人約50万人のデータを基に調査していますが、睡眠時間とメンタルヘルスは若年者でも関連があるでしょう。
睡眠に関する様々な研究をチェックすると、睡眠時間6時間を切ると、心身に悪影響があるという結果が多いです。
私は個人的に睡眠時間と認知症が関連しているという情報が気になりました。

・生活リズムを整えるポイントは睡眠時間と朝食。

 年齢に関わらず、生活リズムが崩れると体内リズムや自律神経の乱れにつながり、色々な体調不良を起こしやすくなります。という事は、生活リズムを整える事が大切ということです。生活リズムを整えるポイントのスタートは睡眠時間の確保です。

 明日の朝は何時に始動する?睡眠時間を確保するために、何時に就寝する?ここはセットです。
そして、睡眠中にリラックスしている身体を始動させるために交感神経を優位にするポイントが、光と体温です。
起床後にカーテンを開け、目に光が入ると交感神経にスイッチが入ります。不思議な位、パチッとスイッチが入るのが感じられます。

 そして、朝食を食べる事で体温が上がり、さらに交感神経が優位になります。
ポイントは、噛んで食べる+最低でもご飯(炭水化物)とおかず(たんぱく質)をとる事です。
 ご飯(炭水化物)は、脳のエネルギー源であり、午前中を集中してイキイキと活動するために大切です。
 〝成績が良い子供は朝食を食べている。〟という日本の調査報告があります。
 〝金銭的に朝食を食べる事が出来なかった学生が多かった公立の小学校が、朝食給食を提供したところ、成績が上がった。〟というアメリカでの調査報告があります。

炭水化物・たんぱく質・脂質を消化する際、体温が上がります(食事誘発性熱産生 / DIT)。中でもたんぱく質が消化される際に体温が上がります。つまり、おかずを食べると体温が上がりやすくなり、身体の中から目が覚めます。言ってみれば、1日を活動的に過ごすためにウォーミングアップが朝食で出来るのです。
また噛むことが、口周りの筋肉を動かし、体温上昇につながります。飲むだけの食事では体温が上がりづらいです。ゼリー飲料では…という事です。
身体がしっかり目覚めていないと、通勤電車の中で立ちくらみを起こす事につながりやすくなります。
心が元気でないな~と感じる時こそ、起きるべき時間に起き、カーテンを開け、噛む朝食を9時までには食べて欲しいと私は学生にも中高齢の方にも伝えています。

・朝食に何を食べるかは、事前の準備が大切。

担当している大学の授業で、学期の始めに取り上げるのは、朝食の大切さについてです。
食育基本法が制定されたのが2005年。もう17年です。
当初から、朝食欠食が問題視され、色々な取り組みが行なわれていますが、朝食の欠食率は一向に下がりまりません。むしろ欠食率は右肩上がりです。伝え方に不足があるのかな?と感じます。

 卵かけご飯・納豆かけご飯・サケフレークかけご飯・ハムチーズサンド…あっという間に準備できます。
朝起きて、家に有る物が朝食になると言えるので、前日までに何を朝食として準備しておくのかが大切と言えます。

私の場合〝今日は気合を入れるぞ!〟という日の勝負朝食に海鮮丼を食べる事が多いです。そのため、前日に刺身を買っておきます。漬け丼にすることもあるし、そのまま酢飯に乗せる日もあります。
ご飯はまとめて炊いて、1食分ずつ容器に入れて冷凍しておきます。朝にすることは、ご飯をレンジでチンして、酢飯を作り(酢飯の素をご飯に混ぜるだけ)、ゴマ・キッチンバサミで刻んだ葉ネギ・海苔を手でちぎり、刺身を乗せる。
夜の内に野菜で具沢山の味噌汁を多めに作り、朝は温めるだけ。
そんな朝食を食べると思ったら、早く朝食をとりたくて、朝から元気にパチッと起きる事ができます。

皆さんは、睡眠時間は何時間で、何時に就寝して、何時に起床ですか?そして朝食に何を食べていますか?
勝負朝食はありますか?

4月からスタートした今学期の大学の授業を通じて、少しずつ朝の習慣を改善して体調が良くなったと感じている学生がチラホラいますよ。

こちらも併せて、お読みいただければと思います。

春眠暁を覚えず…でも、寝るべき時間に寝て、起きるべき時間に起きよう!https://www.shirokawa.jp/2017/04/05/%e6%98%a5%e7%9c%a0%e6%9a%81%e3%82%92%e8%a6%9a%e3%81%88%e3%81%9a%e3%81%a7%e3%82%82%e3%80%81%e5%af%9d%e3%82%8b%e3%81%b9%e3%81%8d%e6%99%82%e9%96%93%e3%81%ab%e5%af%9d%e3%81%a6%e3%80%81%e8%b5%b7/

◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・アカデミー(男女)栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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