ジュニアアスリートをサポートしている方々へ伝えたい!③自主性を育てるアドバイスを!

 

 アスリートをサポートするようになり、22年が経ちました。色々な年代・種目・競技レベルのアスリートをサポートしながら、どのような方法でサポートをしていこうかと、常に模索しています。
いかにして、選手自身がパフォーマンス向上のために、食行動を変えられるのか?
そのために、どのようなサポートが効果的なのか?
色々と悩みながらサポートしている中で、良かったかもと感じている例をお伝えして参ります。

・一方的な目標は立てない。

コーチの方が〝チーム全員、〇〇gのご飯を食べる!〟というような一方的な目標を決めていませんか?
体格も違う・目指したい体格も異なるのに、同じ量の食事を食べるというのはどうかな?合宿の時だけ〝食トレ〟と称して実施するのはどうかな?と感じています。
〝どうかな?〟とは、チームとして・アスリートにとって、〝より強くなることが出来る!〟と感じさせることができる行動なのか?と疑問に感じるという意味です。

中高生年代以上のアスリートに個別アドバイスをする際、私は最初にこう質問します。
  ①「何を強化したら、今よりパフォーマンスが良くなると思いま
すか?」

  ②「そのために、現在、何を気にして実行していますか?」
①の質問に対して、アスリートの答えがチームの意向と異なっている事もあります。
でも、ひとまずそのまま話を続けます。
②の答えが①の答えを後押しする答えのこともありますが、そうでない場合もあります。①の答えを後押しするものでなくても、実施していること自体がプラスな事であれば、そのまま訂正する事もなく受け止めておきます。
私が大切にしたいのは、選手が自分の考えている事を受け入れて貰っているという感触です。
色々な話を聞き取りながら、トレーニング面はフィジカルコーチやストレングスコーチと連携をとり、そのトレーニングを後押しするための食事を私から伝えるようにします。
そして、食事のアドバイスは〝いつに・何を・どの位〟食べるという具体的な案を理由と共にいくつか伝え、選手が出来そうと感じた事を1~3つ目標にするようにしています。
ここで大切なのが、選手が目標を決めるという点です。
無理やりやらされているという目標は、アスリートが自己コントロールしているという感覚を得にくいためです。自己コントロールの積み重ねによって、〝自ら勝利を勝ち取った〟という感覚をアスリートには持って欲しいと願っています。

・気づいてもらうために仕掛ける。

自己コントロールをしている感覚を得てもらうために、選手の様子を観察しながら、私は情報をばら撒いています。
面と向かって個別に言われるよりも、アスリート自身が情報を目にしてハッと気づいた方が自ら行動を起こしたという自己コントール感につながり、気分も良いのでは?と感じています。

ちなみに、この方法を思いつくには、相当悩みます。そして選手の様子を観察しながら、継続するか・別の方法にするかを検討しています。

コーチと選手での話し合いによって、個別に目標体重を設定されていたチームでの例です。
題して〝他人のふり見て、我がふり直せ作戦〟です。
測定していた体重や体脂肪率の値を表にしてロッカールームに張り出していましたが、ビジュアルに訴えるよう、私はグラフ化しました。
そして、私からアスリートに物申したい選手には赤字でサインを送っています。
このグラフを食堂のテーブルに置いてみると…
アスリートは、まずは自分のグラフをチェックし、次にライバルとなる選手や気になる選手のグラフをチェックしています。面倒見の良い選手は、良い結果が出ていない選手にアドバイスをしてくれます。
体格の変化は、アスリート自身は勿論ですが、チームメイトが変化をプレーで感じています。それをさらに、このようなグラフにすることで、再認識しているようでした。
メキメキ良い身体になっていく選手を目の前に、隣にいた選手が私に「河谷さん、こいつの体格が良くなっているって言うけれど、ホントに凄いんだよ。チームメイトからサイボーグって呼ばれている位で、プレーも本当に見違えるように良くなっている。」と教えてもらったことがあります。

サポートし始めで、食事の意識が、あまり高くないなと感じたチームでの例です。題して〝付箋作戦〟です。
ブッフェスタイルの食事会場で食事のとり方を見ていると、体脂肪率を気にしている選手が多いのに、魚より肉を食べている・オリーブオイルをサラダにバシャバシャかけている・ジュースをガブガブ飲んでいるという光景を目にしました。
そこで、料理の横に、そっとコメントを添えてみました。
 〝この魚は、高たんぱく・低脂肪。
体脂肪を気にされている方にお勧め♪〟

 〝オリーブオイルは、このさじ1杯=250kcal。
ジョギング1km=100kcal…〟

 〝オレンジジュース コップ1杯=砂糖大さじ2〟
当初、アスリートは誰も何も言いませんでしたが、確実に食事の選び方が大きく変わりました。
魚をとる選手が多くなり、肉と魚の減り方が同じになっていました。
ジュースに関しては、飲む量が半量になっていました。(将来的には、ジュースを飲まなくなった。)
そして、オリーブオイルの表示を見たスタッフが「オリーブオイルって身体に良いんじゃないの?」と質問をしてくださいました。
付箋をきっかけに、そうなの?と思わせ、何故?と思ったら質問をしてくれるだろう。この積み重ねが選手の意識と行動に変化を与えたと感じています。

 アスリートの自宅での食事や外食についての意識をさらに高めたいな…とファストフードでコーヒーを飲みながら考えていて思いついた作戦〝トレーシート作戦〟です。
コーヒーが乗ったトレーに〝ビーフ100%〟〝アルバイト募集中!一緒に笑顔で働きませんか?〟そんなコメントが自然と目に入ってきて、これだ!と思ったのです。
興味のありそうな情報・アスリートからの質問を他の選手にも共有したい情報・簡単レシピ・食に関するクイズ…等、色々と話題にしてみました。
初めは気に留めている様子がありませんでしたが、日が経つにつれて、皿を寄せながら情報を読み出し、食事中に食に関する話題をアスリート同士で会話するようになり、しまいには、家族にも見せたいと持ち帰る選手が出てきました。そして、気になる事があれば、私に相談してくれるようになりました。
選手から、「河谷さんがチームに来ない日も、河谷さんがいるように感じるよ。」と言われたことがあります。
私の作戦通りです。
食事について、セミナーやカウンセリングの時間に考えるのではなく、常にアスリート自身が気にし、困ったことがあればいつでも相談できる環境を作っておきたいと感じています。

こちらも併せてご覧ください。
ジュニアアスリートをサポートしている方々へ伝えたい! | 城川ファクトリー (shirokawa.jp)
食事アドバイスは“もっと食べよう!”より…(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)
| 城川ファクトリー (shirokawa.jp)

ジュニアアスリートをサポートしている方々へ伝えたい!②チームに体重計はありますか? | 城川ファクトリー (shirokawa.jp)

 

◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・ユースアカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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