柑橘類について考える(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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柑橘類はお好きですか?どの柑橘類がお好きですか?1
昔に比べて、色々な種類の柑橘類があるような気がして、色々と調べてみました。

柑橘類は約900種類あるらしい!

柑橘類は、ミカン科ミカン属・キンカン属・カラダチ属に分かれます。(カラダチ属は食用ではない。)

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柑橘類の中には、発見されている物・掛け合わせによって人工的に作られた物・渡来してから突然変異を起こしている物がありました。
日本にやってきた時期も様々ですが『江戸時代の人はポンカンを知らないんだ~』『晩白柚といえば、熊本の特産だけれど、案外最近にやってきたのね。』なんて思ってしまいました。
ボンタン飴は、餅+水あめ+ブンタン果汁で出来ています。鹿児島県で大正13年1
に誕生した銘菓です。幼い頃はオブラート部分があまり好きでなく、早くオブラートが溶けないかと目をつむって、中の部分を楽しんでいた記憶があります。そして初めて本物のブンタン(ボンタン・ザボン)を見た時の衝撃は忘れられません。その大きさは勿論の事ですが、皮の剥きにくさ・中の白い部分の多さ・食べる部分が最初の大きさとの違い…どれも普段食べているミカンからは想像できない事ばかりでした。

ミカン(温州みかん)が並び始めると“そろそろ冬が来るな。”と感じますが、1
それ以外の柑橘類はあまり気に留めていませんでした。種類によって、生産時期が温かい時期の物から、冬の時期まで様々ですね。

江戸時代にミカンと呼ばれていたのは、現在の紀州みかん(温州みかんより小さい)で、温州みかんとは別の品種だそうです。愛媛みかん(温州みかんの愛媛県でのブランド名)をジュースにしたポンジュースはとても有名ですよね。松山空港の2階出発ロビーでは、今年の3月まで毎月第3日曜日の10~14時に“ポンジュース蛇口”が登場するそうです。子供の頃、大きな瓶のポンジュースを大切に少しずつ飲んでいた私にとって、このイベントは想像しただけでもワクワクします。

愛媛県では48品目の柑橘類を生産しており、全ての柑橘類の収穫量の合計は全国でトップです。次いで和歌山県・静岡県と続きます。愛媛県には、山と海があり、温かい地域と寒い地域では生産される柑橘類が異なります。城川ファクトリーのある愛媛県西予市城川町は山の地域のため、温州みかんの生産はされておらず、柚子が多いそうです。

柑橘類に含まれているビタミンCは多い?そうでもない?

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柑橘類というと、ビタミンC!と想像する方も多いでしょうが、比較してみると、種類によって大きく異なる事が分かります。レモン(丸ごと)はダントツ多いですね。
風邪予防にビタミンC!と最近言わないってご存知ですか?ある研究では、ビタミンCを1日に5,000~10,000mgとると風邪予防に有効であり、風邪をひいた直後から1時間に1回500~1000mgずつビタミンCを数時間とると、風邪をひいている期間を短くし症状を軽くする事が出来たとしています。
しかし、ビタミンCの食事摂取基準は成人で100mg(妊婦:110mg 授乳婦:140mg)が推奨量・許容上限量は2,000mgです。
みかん1個は約100gですので、3個ほど食べれば1日に必要なビタミンCは、ほぼとれてしまいます。そもそも私は、果物はデザートの位置づけでと考えているので(https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/1510/)風邪予防!と一所懸命みかんを食べなくても良いですね。

ミカンは他の柑橘類と比較するとβ‐カロテンが多いですね。β‐カロテンは粘膜の細胞を正常に保つ役割があるため、風邪予防に役立つビタミンとも言えます。風邪予防には、緑黄色野菜(β-カロテンが600μg以上/100g含まれている野菜)がお勧めです。ミカンは緑黄色野菜ほどβ-カロテンが多いわけではありませんが、風邪予防と考えたいのであれば、柑橘類の中ならミカンを選ぶのも1つですね。

アロマ色々

キンカンとレモンは柚子と同様(https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_aki1
ko/2565/)で皮の部分に含まれている精油が脂質量を多くさせています。
柑橘類の精油(アロマオイル)には色々な物がありますね。アロマオイルの好みは人それぞれですが、好きな香りはリラックスしますよね。私は紅茶と言えば、アールグレイ(ベルガモットで香りづけされた紅茶)なので、この中ならベルガモットが好きです。
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柑橘類のアロマオイルの中には、光毒性(シミの原因になる)物があるので、肌に使用する場合は説明書きをよく確認しましょう。

一年中、色々な柑橘類がスーパーにあるため迷ってしまいますが、国産の柑橘類の歴史を思い出しながら味わってみたいと思います。

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm