土鍋で炊いたご飯に、はまっています。(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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先日、新潟で宿泊した際、宿のご飯がと~っても美味しく、久しぶりにお1
代わりをしてしまいました。そして、宿のおかみさんに、お米の銘柄や購入先を伺い、帰りにそのお米屋さんへ行き、買ってきた位です。“やっぱり食事の基本は米よね~”という事で、最近は土鍋で炊いて、新潟の思い出に浸りながら、美味しく頂いています。という事で、今回は炊飯についてお話ししたいと思います。

米の美味しさは、でんぷんの割合にあり

米の美味しさは、香り・外観・味・粘り・硬さ等で判断されます。一般的に美味しい米は、炊き上がりが美しく、ふっくらで柔らかく、粘りと適度な硬さがあるものです。
粘りと硬さを決めるのが、アミロースとアミロペクチンというでんぷんで、粘りと硬さは、この比率で決まります。
    うるち米に多く含まれているでんぷん:アミロース 硬くパラパラしている。
    もち米に多く含まれているでんぷん:アミロペクチン 粘りがありモチモチしている。

同じ品種の稲でも育成環境が異なると味に違いが出て、気温が高温で日射量が多い時はアミロースの含有量が低くなり、粘りのある米が出来るそうです。ちなみに、美味しいと人気のコシヒカリのアミロースの含有量は19%だそうです。

炊き方でも味が異なる。

米の品種によって総合的な味は異なりますが、炊き方でも味は異なります。
我が家では3合炊きの炊飯用の土鍋で炊いているのですが、以下の手順で炊飯しています。
    ①20分浸水
    ②3合(2.5合白米+0.5合ビタヴァレー)に600mlの水
    ③8分中火:ちょうど沸騰する。
    ④12分とろ火:プツプツという沸騰の音から、小さなパチパチという音に変わったら火を止める。
    ⑤15分蒸らす。

“はじめチョロチョロ、中パッパ、赤子泣いても蓋取るな”という言葉があり1
ますが、これは釜戸(竈)での美味しい炊飯方法を示しています。
鍋部分が鉄である釜戸炊きの場合、初めは弱火(チョロチョロ)で加熱する事で美味しくなりますが、土鍋の場合は、初めから中火(パッパ)で良いです。鉄なべは熱伝導性が良いため、初めから強火だと米粒の表面だけが糊化してしまい、芯のあるご飯になってしまいます。しかし、土鍋の場合、熱伝導性が低いため、中の温度が上がるまでに時間がかかるため、“はじめチョロチョロ”でなく、中火でもゆっくり加熱されます。
また、米のでんぷんを分解し、ご飯の甘味を増やすアミラーゼは40~50℃で活発になるため、沸騰までの時間をゆっくりかけると、甘味が生まれ美味しくなります。

“中パッパ”の状態は、沸騰して水が対流する事で米にまんべんなく熱が加わります。土鍋は保温性が高いため、火を弱めても沸騰した状態が続くので、沸騰後に火を弱めても美味しく炊く事ができます。火を止めた後も、保温状態が続くため蒸らしている間に熱が加わる事と、余分な水分が逃げていき、ふっくらと美味しいご飯になるのです。

その他にも、以下のような工夫で自分好みに調整する事ができます。
    粘りのある柔らかいご飯が好きな場合:浸水時間を長めにする。
    柔らかいご飯が好きな場合:水加減を多めにする。
    あっさりしたご飯が好きな場合:水加減を少な目にする。

水にこだわった結果、ミネラルウォーターを使用。

宿のおかみさんと米の話をしていた時、「昔はこの辺の水質が違って、も1
っと美味しかったんだけどね…。」という話題が出ました。
何と言ってもご飯の半分以上は水分です。水が美味しさを決めるという事は、十分にありますよね。であれば、新潟の米には新潟の水を!と思ったのですが、おかみさんにミネラルウォーターを勧められたため、自宅ではミネラルウォーターを使って炊飯する事にしました。
色々な情報をチェックすると、米を洗う時の1回目の水だけをミネラルウォーターにすれば良いという物もありますが、私は炊飯に関わる全ての水をミネラルウォーターにする事にしました。水道水で炊いたときと比べると、味に丸みが出て美味しいような気がします。

最近では、随分と高級な炊飯器があり、ご飯の味に違いもあるようですね。
皆さんは、どのような炊飯方法のこだわりがありますか?

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm