絹さや⇒グリンピース⇒エンドウ そして豆苗(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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幼い頃、グリンピースを食べながら私は母にこう言いました。1
『これを作る人は大変だね。』
『どうして?』と母。
『だって、こんな薄い皮の中に、ジャガイモを潰して、チューッと中に入れるのは大変でしょ。工場の人は大変だな~と思って…』と私。
『これは作られた食べ物じゃなくて、こういう植物なのよ。』と慌てて答える母。
魚が切り身で泳いでいると思っている子供がいるという話はよく耳にしますが、同じレベルの話です。見たことがなければ分からない・知らない…
さすがに、グリンピースはどのような植物なのかは分かっているつもりではいるのですが、本当に知っているのか?と疑問に思い、調べてみました。

グリンピースの旬は4~6月頃!

グリンピースが嫌いな方が多いためか、最近のミックスベジタブルには、グリンピースの代わりにインゲンを刻んだ商品もありますよね。そんなグリンピース嫌いの方にお伝えしたいのは、是非、冷凍や缶詰でない生から調理したグリンピースを食べてみて!という事です。
生のグリンピースから作ったポタージュスープは絶品です。もはやシュウマイやかに玉の上にちょこんと乗っているような彩のための食材ではない事を感じる事ができます。
鮮度が落ちやすいため、莢から豆を取り出すのは、調理直前がお勧めです。
混ぜご飯にする時は、一緒にご飯と炊いた方が味のなじみは良いですが、彩を優先する場合は、塩ゆでしたグリンピースを加えた方が綺麗です。という事で、炊き込むグリンピースと後乗せのグリンピースを組み合わせるのは、味・見た目の両面から良いと言えます。
ここまでは、私が知っているグリンピース情報です。

グリンピース:えんどうの未熟な豆。

グリンピースはマメ科エンドウ属の植物です。エンドウには色々な種類があり、食べる部分によって様々な食材があります。

・莢を食べるエンドウ:絹さや・大型の絹さや1
    (オランダ莢・仏国大莢等)
・莢と豆の両方を食べるエンドウ:スナップエ
    ンドウ・サトウエンドウ(砂糖さや)
・豆を食べるエンドウ:グリンピース・アオエ
    ンドウ・アカエンドウ・うすい豆です。
・芽を食べるエンドウ:豆苗

グリンピースは“実エンドウ”とも呼ばれ、未熟なエンドウマメです。
エンドウマメが熟すと、緑・茶・黄色があり、緑色のアオエンドウを甘く煮たのがうぐいす豆やうぐいす餡で、茶色のアカエンドウは豆大福やみつまめに入っている赤い豆です。
グリンピースより未熟なうちに収穫したものが、絹さや(関東の呼び名)・さやいんげん(関西の呼び名)があります。しかし、色々調べてみると、莢ごと食べられる食材全てを“さやいんげん”と表現している情報もあります。

また、絹さやとグリンピースは品種が違うという情報(莢の柔らかさの種類が元々違うので)と、グリンピースまで育つ前の食材が絹さやだとう情報と、そして現状は絹さや用・グリンピース用・エンドウ用と目的別に品種が異なるが本来は同じという情報があります。2番目の情報が正しいとしたら、絹さや⇒グリンピース⇒エンドウマメという事になりますね。
栽培してみたくなりました。

スナップエンドウは同じエンドウ属の植物ですが、改良された品種のため、グリンピースとは異なります。
紀州が産地で西日本に流通している“うすい豆”はグリンピースと近い品種ですが、異なります。関西エリアで流通しているグリンピースと呼ばれる豆は“紀州うすい”の事も多いようです。

豆苗

エンドウの若芽(スプラウト)が豆苗です。1
ただ、色々調べてもどの種類のエンドウなのかは分かりませんでした。
炒め物・おひたしや胡麻和え・ナムル・鍋に入れて…と味に癖がないため、色々な料理の味を邪魔せず美味しく頂けますよね。
写真は我が家の窓辺で再収穫を待つ豆苗です。
水耕栽培された豆苗が手軽に購入できますが、下部に脇芽があるため、脇芽を残して切り取った後は、2回ほど再収穫できる楽しみな食材です。
“ジャックと豆の木”に登場する天まで伸びていくあの豆の木は豆苗だと耳にした事があります。さやえんどうは木ではないので、本当は“ジャックと豆の苗”になるのでしょうか?
マメ科の植物で茎が木化する植物には“オヤマノエンドウ”がありますが、5~10cmと小さいため、ちょっと天まで届くという表現には無理があるように感じます。
調べてみると、“ジャックと豆の木”(別名オーストラリアン・ビーンズもしくはブラックビーンやカスタノスペルマムやグリーンジャック)というオーストラリア原産の観葉植物があり、40mにもなる大木です。この植物であれば“ジャックと豆の木”でも良さそうですね。

スプラウトについては“悪天候続きの時は、天候に左右されない野菜を選ぶと良い!
https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/3038/でご紹介しておりますので、そちらもご覧いただければと思います。

エンドウの事で頭がいっぱいになった私は、スーパーで絹さや・スナップエンドウ・サトウエンドウを購入してしまったので(写真)、食べ比べをしてみたいなと思っています。

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm