月山筍(がっさんだけ)という筍(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏)

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『今朝はタケノコご飯だよ~早く行かないと無くなっちゃうよ~。』1
5月下旬、1泊2日で月山にスキーへ行った際、宿泊先のお父さんに洗顔中、声をかけられました。
“わぁ~♪タケノコご飯か~。”“山形は今がタケノコの時期なのかな?”等と、楽しみに朝食会場へ行くと…。
イメージしていたタケノコご飯とは違って、細い筍を輪切りにしたものが入っていました。そして、何より“甘味があって美味しい!”
スキー場の昼食には、鍋焼きうどん(写真)を頂いたのですが、そこにも細長い筍が!“アクを感じる事なく、これまた美味しい!”写真の右に細長い筍が写っているのがお分かりになりますか?長さは15㎝弱・直径は1cm程です。
気になってお店のお母さんに質問をすると『これは月山筍といって、6月が旬のこの辺で採れる筍だよ。』と教えてもらいました。

月山筍=姫竹=根曲がり竹は、千島笹の筍

質問して“へ~”と満足していた私ですが、スキーを一緒に滑っていた方に1
“姫竹じゃないの?”と言われました。“たしかに、姫竹と似ているけど…”と疑問に思い、調べてみました。
以前、筍についてコラムにしていますが(今が旬!筍https://www.shirokawa.jp/column/kawatani_akiko/2767/)、私が普段食べている筍は、中国原産の孟宗竹(もうそうちく)で、江戸時代の徳川吉宗が江戸幕府の将軍の頃(1936年)に日本中に伝わったそうです。分類はイネ科マダケ属モウソウチク種です。
一方、根曲がり竹は日本原産で、山陰地方・信越地方・東北地方・北海道が主な産地です。分類はイネ科タケ亜科ササ属チシマザサです。
地域によって呼び名が異なり、“根曲がり竹”は信越から東北、“姫竹”は山陰地方、“月山筍”は山形県の月山周辺のようです。
若芽が地上に出始める頃は雪がまだ残っており、その重みで根本が曲がっている事が多く、信越から東北では、根曲がり竹と呼ばれるようになったようです。
分類を見ると、孟宗竹はマダケ属なのに対し、根曲がり竹はササ属なので、厳密には竹の子ではないようです。

月山筍は、中でも美味しい!

月山は山形県の中央部にある標高1,984mの火山です。1
豪雪地帯のため、冬のアクセスが立たれるため、スキー場のオープンは4月上旬で、7月末まで楽しめる、スキー好きにはたまらない場所です。
千島笹は草丈が1.5~3mにもなり、孟宗竹と違って笹が密集しているため、採取は非常に大変です。しかも、標高1000m以上の場所で、まだ雪が残っている山を越えての採取は、本当に大変だと想像できます。雪が多い所の物ほど、柔らかくてコクがあって美味しい筍になるようで、特に豪雪地域の月山で採取される根曲がり竹は“月山筍”と区別されて、ブランド化されているそうです。
皮を残して、丸ごと焼いて・天ぷらに・味噌汁に・お刺身に…孟宗竹よりアクが少ないため、火が通るまでゆでる程度で良いそうですよ。

早速、帰り道に道の駅に立ち寄り、月山筍を探したのですが、時間が遅かったせいか、もしくは時期が早かったせいか、看板はあったものの、既に売り切れていました。6月に月山へ行かれた際には、是非、月山筍に注目してみてください!本当に美味しいですよ。

 


◆執筆者:河谷彰子氏

管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ  アカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師

日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。

URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm