利き芋 Kumara クマラ



 11月末から16日間、セーリングチームのニュージーランド遠征に帯同して参りました。
 写真はキッチンからの景色ですが、私は遠くに見える海を眺めながら声援を送りながら、選手の美味しかったという嬉しい一言が聞けるよう、そして選手の笑顔が見られるよう、早朝から心を込めて力いっぱい12人分の料理をしていました。
 ある日、“ニュージーランド人のお宅に招かれた際に食べた、クマラという芋を蒸したものが日本のサツマイモのようで美味しかったから食べたい!”とリクエストがあり、さっそくスーパーで食材を探してみました。

・Kumaraとは、ニュージーランド原住民マオリ語で“サツマイモ”
 調べてみると、さつまいもの原産地は、ペルー説とメキシコ説があり、鳥によって運ばれたとか、ニュージーランドの先住民族であるマオリ族が南太平洋の島からニュージーランドに移住した際(約1,100~1,200年前)に持ってきた等の説があるようです。
 ニュージーランドでは、蒸したり・揚げたり・肉や野菜と共に蒸して食べているようでした。

 早速スーパーへ行くと、色々な種類のKumaraがありました。選手がどの種類を食べたのか…と迷ったため、スーパーにあった全てのKumaraを購入しました。

 写真左から、①クマラ レッド ルーズ ②シャルロット ③クマラ オレンジ ルーズ ④クマラ ゴールド ルーズ ⑤クマラ パープル ルーズ

 下の写真は、30分蒸した後の断面です。


 15時ごろ、トレーニングから帰宅した選手は、早速、色・味の違いを比べていました。
 以下が選手の感想や、食べた時の様子です。
 ①見た目も味も日本のサツマイモに一番似ている。
 招待していただいたお宅でいただいた芋のようでした。
 ②紫芋だね。としか言わず、味は可もなく不可もなくといった様子。
 ③水っぽくて酸っぱい。そのまま食べるのは難しい!と、ラップで封印していました。
 ④ジャガイモのような見た目によらず、一番甘くて美味しい。と言いながら、沢山食べていた。
 ⑤少し甘いね。と言いながら、やっぱり④が一番美味しいねと話していた。

 そして、夕食で食べ比べ後に残った芋をデザートとしてアレンジして提供しました。
 一番の難問は③です。水っぽくって、美味しくないとの評価ですから…
 そこで、マッシュした後に水分を飛ばすために鍋で火にかけながら練りました。味見をしても、まだ味が薄く酸味が残っていたため、少量のバターとハチミツを加えて練ったところ、さっぱりとした味の何かのジャムのように非常に美味しくなりました。カリカリにトーストした薄切りの食パンにペーストを塗って提供したところ、美味しいとの評価をいただきホッとしました。(写真は撮り忘れてしまいました。)

 ③以外の芋は一口大に切り、少量のバターでソテーをして、皿に盛りつけ、上からハチミツをかけて提供しました。
 芋の甘味とハチミツのコラボにより、すっかりデザートだねと選手達は話していました。

 海外遠征続きの選手にとって、慣れ親しんだ日本の食材や料理の味は、やっぱり食べたいと思うんだなと再確認したひと時でした。
 私は、初めて見る食材をどのように料理をしたら美味しくなるのか?と想像しながら料理するのは、大変ではありながら楽しい時間でもありました。

◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・アカデミー(男女)栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm