KAKIの思い出

河谷彰子タイトル123

 

 『暑い暑い、いつまでこの暑さが続くの~。』と言っていたら、あっという間に上着が必要な気温になりましたね。
 そして周りを見渡せば、柿が実っています。柿を見ると、色々な思い出が蘇ってきます。

・ブラジルでも柿は〝カキ〟

 以前、某Jリーグチームのサポートをしていた際の出来事です。
 来日して1年未満のブラジル人選手に、こう声をかけてみました。
  私 :「最近、スーパーで買った食べ物は何ですか?」
  選手:「カキ」
 日本の食事は口に合うのかな?と心配していたのですが、すでに日本の果物を試してみたのか~!と驚きました。
 そこで
  私 :「美味しかった?」
  選手:「美味しかったよ。ブラジルでもよく食べていて、好きな果物だよ。」
  私 :「え!ブラジルに柿があるの?なんて名前?」
  選手:「カキ(Caqui)」
  私 :「え~!!!ブラジルで柿はカキなの!!!驚き~!!」

 柿は日本ならではの果物と思っていたので、まさか地球の裏側でも食べられていて、しかも同じ呼び名という事に非常に驚きました。

 携帯の翻訳アプリを使ってみると、スペルは異なっても〝カキ〟という発音の言葉が非常に多い事に驚きます。
 イタリア語・フランス語・オランダ語・スペイン語・ドイツ語・フィンランド語・スロバキア語・ポルトガル語(ブラジル)・スロベニア語・デンマーク語・ユカテコ語・高地ソルブ語
 英語ではPersimmon(パシーモン)ですが、〝カキ〟と発音しない国の多くは〝パシーモン〟に近い発音でした。ポルトガルで話されているポルトガル語はパシーモンに似た発音でした。
 中国では〝柿〟と記載しますが、発音は〝シー〟、韓国では〝カム(감)〟。
 何故〝カキ〟と発音する国が多いの??? これは気になる…。

・柿はどのように世界に広まったのか?

 柿はどうやら中国が原産のようで、弥生時代もしくは奈良時代ごろに日本に渡来したようです。
 日本の柿が16~18世紀に日本と交易のあったポルトガル人によって、呼び方と共にヨーロッパに伝わり、さらに北アメリカに伝わったそうです。
 柿の生産量国別シェア(2019年)は、以下の通りです。https://urahyoji.com/crops-persimmon-w/より)
  1位 中国 75.1%
  2位 韓国 7.4%
  3位 日本 4.9%
 また、中国での柿の生産量が1990年代後半からグ~ンと伸びている事にも注目です。世界での需要が高まったのでしょうか?
 日本の色々な文化や習慣は中国の影響を沢山受けていますが、日本から世界に広まったというのは、何だか嬉しい限りです。しかも呼び方も同じな国が多い事にも、何だか感動です。

 日本では、今年4月に発表された農林水産省のデータでは、2021年の柿の収穫量は以下の通りです。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kekka_gaiyou/sakumotu/sakkyou_kajyu/nasi_kaki_kuri/r3/index.htmlより)
  1位 和歌山県 21%
  2位 奈良県 15%
  3位 福岡県 8%
 さすが和歌山、海に囲まれ、山に囲まれている影響からか、温暖で雨が多いのが良いのでしょうね。

・庭に柿の木があるお家は多かった。

 とはいうものの、収穫量として挙がってこない柿も多いだろうなと感じています。
 昔からある戸建てのお庭に、柿の木が植わっているお家は多いですよね。以前、愛媛県へ仕事に行った際、会う人ごとに柿をいただき、持ちきれないほどの量になったことがありました。「皆家に柿の木があるから、もらってもらえる人がいないのよ。もらって~」と皆さんが口をそろえて仰っていました。(頂いた柿は、近所の方に配り、全て美味しく頂きました。)
 私の両親の両実家(山口県・東京都)にも柿の木がありました。収穫する前にカラスにつつかれてしまったという会話や、今年は実らなかった・柿は隔年に豊作になるから、来年は実るかな~等という会話がありました。年によっては段ボールで送ってくれた事もあった位です。何故、柿の木を植えているのだろう?調べてみました。
 江戸時代に屋敷の周りに柿の木を植える事を推奨したこともあったようです。
 食べる以外に柿の渋を塗料・染料・薬として色々使った事も由来しているのでしょう。
 そういえば、学生時代に番傘を買った事がありますが、防水作用のために柿渋が塗ってありました。柿渋の染物にもありますよね。

・柿の花ってご存じですか?

 以前住んでいたアパートの隣の家に柿の木がありました。その柿の木がせり
 出していて、丁度2階の我が家の玄関先に突き出していたため、初夏から秋に
 かけて柿の花から実が実るまでを毎日観察する事ができました。(右写真)(決して食べていません!)
 オレンジ色の実がなると目立って柿に気づきますが、高い位置にあるので、
 柿の花をまじまじと観察する事はあまりないですよね。
  5月末:柿の木ってこんなに淡いクリーム色の花なんだ~。
  6月 :お!実が出来てきたぞ~
  7月 :わ~!青い実が大きくなってきている!
  10月:だんだんオレンジ色になってきているけど、カラスにつつかれないかな~…
 等と、自分の家の柿の木でもないのに、毎日観察し、柿に話しかけていました。

・柿の栄養。

 柿1個(150g)・干し柿1個(32g)・温州ミカン1個(100g)を比較すると…

カリウム:
生のフルーツは基本的にカリウムが多いのですが、1個当たりで比べると、柿はみかんより多いです。(生野菜もカリウムが多い。)
カリウムは余分な塩分を体外に排出する役割があるため、塩分のとり過ぎで血圧が高いという場合は、高血圧の予防に効果があるかもしれません。
また、長時間運動する際に、カリウム不足により筋肉が痙攣し足が攣るという事がありますが、それを予防する事も期待できます。
干し柿になっても、あまり減らないようですね。

β-カロテン:
みかんのβ-カロテン量は非常に多いですが、柿も多いと言えます。(みかんを食べすぎて手が黄色くなったという経験のある方もいらっしゃるでしょうが、それはβカロテンの影響です。)
β-カロテンは身体を酸化から守る役割や、粘膜や皮膚機能を正常に保つ役割があり、風邪予防のビタミンとも言えます。

ビタミンC:
成人に必要なビタミンCの推奨量は100mgです。柿1個でとれてしまいます。
〝ビタミンCと言えば、柑橘類よね!〟と思っていらっしゃる方も多いですが、柿のビタミンC量は多いですね。
ビタミンCは、身体を酸化から守る役割や、コラーゲンの生成や血液づくりに欠かせない栄養素です。
ビタミンCは、酸化しやすいため、皮を剥いた状態の干し柿では、ビタミンCは激減してしまいます。

〝果物はデザートの位置づけで〟と思っている私にとって、果物は旬を味わうデザートです。
果物は野菜の代わりにならない・・・(執筆者:管理栄養士・体育学修士 河谷彰子氏) | 城川ファクトリー (shirokawa.jp)
基本は野菜を1日に350g以上食べ、緑黄色野菜は350g中1/3量あるようにすることが大切です。
(アスリートの場合は緑黄色野菜が1/2量が理想)
今年は何個の柿を食べるでしょう?そして干し柿は何個食べるかな~なんて考えています。

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◆執筆者:河谷彰子氏
管理栄養士
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・ユースアカデミー栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm

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