赤福とエネルギー補給

河谷彰子タイトル123


 6月に三重県へ仕事に行って参りました。
 名古屋まで新幹線に乗り、その後、近鉄名古屋線の特急に乗りました。
 そういえば、この特急は2005年に開催された〝愛・地球博〟に行った時、ついでに訪れた伊勢神宮に行く際に乗った~♪ と久しぶりの遠出に心躍らせていました。
 そして、お土産はやっぱり〝赤福〟よね。と買ってまいりました。
 赤福は幼い頃の思い出のお菓子の1つです。
 大人となった今、改めて赤福を見て色々な思い出と共に、色々と考えるところがあったため、コラムにしたいと思います。

・昔は、ヘラで餡子をとるのに苦労した!
 赤福は整然と並んでいて美しいのですが、どうしてもお皿に盛りつけようと思うと、箱に入った見た目のまま綺麗に盛り付ける事が出来ません。その理由の一つが木製の容器であること。
 昔は、木の箱についてしまった餅や餡子が取りづらかった…。餡子の丁度良い甘さが私は好きだったので、何度もヘラでこすった思い出があります。
 それが、今回は餅も餡子もスルッととれたのです!
調べたわけではないのですが、箱の内側が昔と異なり、銀色の小さなブツブツの加工がス~っと餡子をとれやすくしてくれていたのです。
 言ってみれば、カップヨーグルトの蓋からヨーグルトがするりと落ちる加工(ロータス効果)になっているのではないか?感動の取れ具合です!
 老舗のお店が、伝統を受け継ぎ、味はそのままで改良した商品が発売されると、私は感動します。味付けがパッションフルーツやマンゴーと言ったアレンジの商品は、どうも購買欲が上がりません。(ちなみに、パッションフルーツもマンゴーも大好きなフルーツです。)
 沖縄のちんすこうは、やっぱり黒糖!京都の生八つ橋はプレーンなニッキ(シナモン)味が一番好きです。

・粒あんじゃなくて、こし餡のメリット
 アスリートが和菓子を食べている時の話題として〝粒あん派か?こし餡派か?〟があります。
 それぞれの言い分があり、フムフムと私は聞いています。
 管理栄養士の視点から言うと、赤福のこし餡は、お伊勢参りに遠くからやってこられた方に、最高のおもてなしの心を感じる食べ物だなと感じます。
 長い距離を歩いてきた方々にスムーズなエネルギー補給ができるお菓子であり、餅+餡子の炭水化物を多く含むパワーフードだという事。そして、餡子は粒あんではなく〝こし餡〟であることがその理由です。
 小豆の皮が残っている粒あんは、こし餡に比べて血糖値の上がり方がやや緩やかですが、こし餡だとすぐに血糖値が上がり、エネルギーが補給できます。つまり、こし餡は伊勢神宮を目指して長い距離を歩いてきた方々に、素早いエネルギー補給が出来るという事です。
 アスリートサポートのお仕事で三重県へ行ったので、選手に差し入れしたいなと思ったのですが、賞味期限が短い事と、コロナの感染症対策の観点からプレゼントするとしたら個別包装の物が好ましいため、今回は諦め、自分へのお土産に留めました。
 特にエネルギー補給は私には必要ありませんが、昔の人もこの味を味わっていたのだろうな~と想像しながらいただきました。
 ちなみに私は、この赤福をラップに小分けし、冷凍保存しています。

・アスリートと和菓子
 今月は延期になっていた〝東京2020オリンピック〟が開催されますね。
 色々な意見がありますが、私はハードなトレーニングを日々頑張っているアスリートを精一杯サポートするのみです。
 オリンピックを目指すアスリートをサポートする中で、沢山の喜びもありますが、それと同様に涙もあります。
 食を通して、私が最後にできる事は、何だろう…?とよく考えます。
 あれもやったし、これもやった!だから全力で目の前の試合に集中できる!という環境を整えた上で〝行ってらっしゃい!〟と力強く肩を叩いて送り出し、私の念がこもったおにぎりやお稲荷さんを食べてもらう。
 選手が試合中は、ソワソワしながら料理を作り、帰宅後の環境を整えておく。
 帰宅した選手の表情が笑顔の時もあれば、そうでない時もある。食事が喉を通らない時もある。そんな時、エネルギー補給を少しでもして欲しいという思いと、少しでもホッとできる料理としてはデザートかなと思い、念を込めて作ります。
 下の写真は、大切な試合がある日のデザートとしてアスリートに作った和菓子です。
 この1つ1つに食べた時の選手の顔が思い出されるこし餡を使った和菓子達です。

 色々と落ち着いたら、久しぶりに伊勢神社へお参りをし、赤福本店でゆっくり赤福をいただける日を想像しながら、精一杯選手・チームをサポートしてまいります!

 

 

◆執筆者:河谷彰子氏
(公財)日本ラグビーフットボール協会 セブンズ女子代表栄養アドバイザー・サクラフィフティーン女子代表栄養アドバイザー・アカデミー(男女)栄養アドバイザー
慶応義塾大学非常勤講師・上智大学非常勤講師
日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻、筑波大学大学院で体育研究科コーチ学を専攻後、運動指導及び栄養カウンセリング、食サービスの提案を行う、ジュニアユースからトップチームまでのJリーグ選手やラグビー選手への栄養アドバイスを行う。
URL:http://www.kouenirai.com/profile/2448.htm